EV部門最終戦はイゴール・フラガ選手が優勝。タイトルは小高一斗選手の手に!
2024年11月28日
11月24日に東京都江東区のシティサーキット東京ベイで開催された全日本カート選手権 EV部門 第5戦は、2024年度を締めくくるシリーズ最終戦。20周の決勝ではイゴール・フラガ選手が逆転優勝を飾り、小高一斗選手が2位フィニッシュでチャンピオンを確定させた。
2024年JAF全日本カート選手権 EV部門 第5戦
開催日:2024年11月24日
開催地:シティサーキット東京ベイ(東京都江東区)
主催:RTA、TOM'S
選手権の発足から3年目を迎えた2024年の全日本カート選手権 EV部門は、四輪レースのトップチームや企業をオーナーとしたチーム制の採用、東京の一大観光地に隣接したCCTBでの大会開催など、過去にない多くの試みを盛り込んでシリーズが行われてきた。今回の第5戦は、そんな1年間の末尾を飾る最終戦だ。
新交通ゆりかもめの青海駅に隣接したサーキットには、今回も多くの一般観戦客が来場。そのギャラリーたちがレース以外でも楽しめるよう、全日本のカートのバッテリー充電時間を利用した参加型イベントが実施された。サーキット所有のレンタルカートによるタイムアタック大会と、プロドライバーたちの運転で全日本用のサーキットを体感できるタンデムカート同乗走行は、これまで二度のCCTB大会でも行われていたものだ。
また今大会では新たな試みとして、身長105cm以上150cm未満の児童を対象にしたキッズEVカートの走行セッションが設けられた。まず行われたのは、全日本のレースに使用されるSKY TRACK(屋外コース)での走行セッション。続いて『キッズEVカート無料走行祭り』と銘打って、全長70mのLIGHTNING TRACK(屋内コース)での体験走行が行われ、約60名の未来のレーシングドライバーの卵たちがカートを走らせた。
大会のメインイベントとなる全日本EV部門には、今回も12名のドライバーが参加。海外レース参戦のため欠場した松井沙麗選手の代わりには、第3戦にもスポット参戦していきなりタイムトライアルでトップタイムを叩き出してみせた髙口大将選手がステアリングを握ることとなった。
シリーズはここまで4戦のうち2戦でレギュラードライバーの代役としてスポット参戦した選手が勝利を奪う意外な展開となっていた。そんな中、小高選手が2位3回とコンスタントに好成績を挙げ、1戦を欠場しながら66点を挙げてチャンピオンへの最短距離につけている。
ポイントレースでそれに続くのは、第4戦を制して60点を獲得しているフラガ選手。さらに三村壮太郎選手、中井陽斗選手、鈴木悠太選手が56点の同点でチャンピオン争いに加わっている。小高選手は今回の決勝を3位以内でフィニッシュすれば、無条件でチャンピオン確定だ。
空は快晴。11月の終わりになっても日差しはまだ力強く、日なたでは肌が痛いほどだ。一方、日陰はひんやりとして、風が吹くとブルッと震えるような寒さ。レースを行うのには絶好の秋晴れだ。まずタイムトライアルで24秒455のトップタイムをマークしたのは小高選手。24秒518で2番手につけたのはフラガ選手。ランキングトップ2のふたりが、それぞれ予選A/Bグループのポールにつくこととなった。3、4番手には三村選手と鈴木悠太選手が続いている。
予選
予選は15周。Aグループでは小高選手がポールから後続を引き離してトップのままゴールして決勝Aグループのポールを手に入れ、チャンピオンに一歩近づいた。2番手のゴールは三村選手、3番手にはスタートでひとつ順位を上げた金本きれい選手が入り、女性ドライバーで唯一決勝Aグループ進出を決めた。
予選Bグループでは、やはりポールのフラガ選手がリードを広げてフィニッシュし、決勝のセカンドグリッドを獲得。その後方では中井選手がスタートで鈴木悠太選手の前に出て2番手でゴールしたのだが、フロントフェアリングがずれていたため5秒加算のペナルティを受け、代わって鈴木悠太選手が2番手に、佐藤蓮選手が3番手に繰り上がり、それぞれ決勝Aグループ進出を果たした。
決勝
決勝は20周。CCBT大会恒例のグリッドウォークを経て、最終結果を競い合う戦いが始まった。先に行われたのは、予選各グループの4番手~6番手が出走するBグループの決勝だ。酒井龍太郎選手が出走を取り止めて5台でスタートしたレースは、ポールの鈴木恵武選手を中井選手が中盤に攻略。ここから中井選手は独走を続けてトップでフィニッシュし、総合7位の結果を残した。中井選手の後続も残り3周で鈴木恵武選手を相次いでパス、髙口選手が総合8位、白石樹望選手が同9位となった。
14時25分、日が傾き全域が日陰になったサーキットで、予選各グループ1番手~3番手によるAグループの決勝が始まった。これが2024シリーズ最後のレース、そしてチャンピオン争いが決着するレースだ。
ポールの小高選手は先頭のまま1コーナーを通過したが、2コーナー入口でフラガ選手が小高選手を急襲し、2台はそろってラインをはらませる。そのインを突いて、3番グリッドの三村選手がトップに躍り出た。1秒弱後れての2番手はフラガ選手。小高選手は3番手に後退し、前の2台から大きく引き離されてしまった。
フラガ選手は前との差を周回ごとに削り取り、8周目には三村選手のテールを目の前に捕らえた。さらに、挽回を図る小高選手も間もなく先頭集団をキャッチ。レースが折り返し点を過ぎると、そこに鈴木悠太選手、佐藤蓮選手が次々と追いつき、トップ争いは5台一列の戦いとなった。
三村選手は苦境に立たされながらも先頭をキープして周回を重ねていったが、残り4周、ついにフラガ選手が三村選手の前に出ることに成功。その翌周には小高選手も三村選手パスしていった。この時点でフラガ選手と小高選手の間隔は約1秒。残り3周で逆転できるギャップではなかった。2024シリーズ最後のウィナーはフラガ選手。第4戦に続く逆転での2連勝だ。小高選手は今季4度目の2位でフィニッシュ、そして2024シリーズのチャンピオンを確定させた。
三村選手は3位でゴールし、今季2度目の表彰台に。加えてスカラシップ枠最上位の賞典として、トムス・フォーミュラ・カレッジのエクスペリエンスコース参加権が授与された。4番手でチェッカーを受けた鈴木悠太選手はフロントフェアリングのペナルティを受けて6位に後退、代わって佐藤選手が4位、金本選手が5位となった。
フォト/JAPANKART、今村壮希、長谷川拓司 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部