2回の大きなクラッシュで2時間耐久に短縮。中升 ROOKIE AMG GT3が今季3勝でシリーズ連覇

レポート レース

2024年12月6日

スーパー耐久シリーズ第7戦(最終戦)「S耐ファイナルFUJI」は、11月16~17日に富士スピードウェイにおいて計65台が参加して4時間のレースが行われた。2回のアクシデントでいずれもガードレールの修復が行われ、合計2時間ほどが中断するという荒れたレースとなった。今季2戦をスキップした中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/ジュリアーノ・アレジ/蒲生尚弥/片岡龍也組)が、ノーミスとノントラブルで着実に走りきり、5戦中3勝目を挙げてシリーズ連覇を果たした。

ENEOS スーパー耐久シリーズ 2024 Empowered by BRIDGESTONE 第7戦「S耐ファイナル FUJI」
開催日:2024年11月15~17日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 曇天の16日に行われた公式予選でポールポジションを獲得したのは、ST-Xクラス(全5台)シリーズ2番手(110点)から逆転タイトルを狙うCraft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(Jeffrey LEE/Joao Paulo de Oliveira/Jayden OJEDA組)で、フロントローにはDAISHIN GT-R GT3(今田信宏/藤波清斗/坂口夏月組)が並ぶ。ランキング3番手(104点)の中升 ROOKIE AMG GT3、ポイントリーダー(120点)のTKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴組)、DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀組)が続いた。

ST-Xクラス

 レースは晴れ/ドライ、気温22度の12時29分にスタートした。開始20分を過ぎた300RでST-3クラスとST-5クラスの車両が絡むクラッシュがあり、フルコースイエロー(FCY)からセーフティカー(SC)が導入されると、このタイミングでST-Xクラスの全車は最初のピットインをしてドライバー交代を済ませていく。しかしガードレールが大きく破損していたために13時12分に赤旗が掲示され、レースは中断となった。

 レース再開は1時間以上が経過した14時20分となったが、Aドライバーの運転義務時間は60分から43分に短縮されての再開だった。19周完了でSCが離れバトルが再開すると、DAISHIN GT-R GT3の今田選手がCraft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3のLEE選手をかわしてクラストップに立ったが、DAISHIN GT-R GT3は藤波選手のドライブ中にヘアピン手前で出されていた黄旗区間での追い越しによりドライブスルーのペナルティを受けて5番手へ順位を落とす。そしてこの間にTKRI松永建設AMG GT3の中山選手がトップに浮上した。

 TKRI松永建設AMG GT3は、ピット出口の信号無視でドライブスルーのペナルティを受けたが何とかトップは守った。さらにDAISHIN GT-R GT3も同じ理由でペナルティを受けることに。15時を過ぎてST-Zクラスの車両がダンロップコーナー手前で単独クラッシュ。FCYからSC、そして今度もガードレールが大きく破損したため、この日2回目の赤旗中断となった。

 この作業も1時間近くを要し、レースは16時に再開されることになった。2度の赤旗中断のために義務付けられたピット作業の回数は3回から2回に減り、Aドライバーもコントロールラインを2回通過すれば良いと変更される。既にAドライバーが運転を済ませ、2回以上のピット作業を済ませていて給油の心配もない車両は、30分間のスプリントレースとなった。

 トップを走行していたDENSO LEXUS RC F GT3はレース再開後に2回目のピットインを行って順位を落とし、これで中升 ROOKIE AMG GT3が代わってトップに。2番手のTKRI松永建設AMG GT3はAドライバーのDAISUKE選手がドライブしていなかったために終盤にピットイン。これでDAISHIN GT-R GT3が2位へ、Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3が3位へ順位を上げてチェッカー。中升 ROOKIE AMG GT3は、2戦を欠場しながら5戦中3勝を挙げてシリーズ連覇を果たした。

ST-Xクラス優勝は#1 中升 ROOKIE Racingの中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/ジュリアーノ・アレジ/蒲生尚弥/片岡龍也組)。
2位は#81 GTNET MotorSportsのDAISHIN GT-R GT3、3位は#33 Craft-Bamboo RacingのCraft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3。
ST-Xクラス表彰の各選手。

ST-Zクラス

 ST-Zクラス(全13台)は、序盤はクラスポールスタートの26号車raffinee 日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(大塚隆一郎/富田竜一郎/篠原拓朗/荒聖治組)がトップを守り周回していたが、スポット参戦の2W Yamaguchi GR Supra GT4 EVO(チアラバノン・カチョーン/卜部和久/立川祐路組)が終盤のFCY直前にピットインしたことが奏功してS耐初優勝を遂げた。

ST-Zクラス優勝は#59 2W Zoomies x GR Garage 山口・周南の2W Yamaguchi GR Supra GT4 EVO(チアラバノン・カチョーン/卜部和久/立川祐路組)。
2位は#26 TEAM ZEROONEのraffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4、3位は#21 Hitotsuyama RacingのHitotsuyama Mercedes-AMG GT4。
ST-Zクラス表彰の各選手。

ST-TCRクラス

 ST-TCRクラス(全4台)は98号車 Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC(KIZUNA/リ・ジョンウ/山本聖渚組)が今季2勝目を飾ってタイトルを確定させた。

ST-TCRクラス優勝は#98 M&K RacingのRacer ホンダカーズ桶川 CIVIC(KIZUNA/リ・ジョンウ/山本聖渚組)。
2位は#97 M&K RacingのRacer ホンダカーズ桶川 CIVIC、3位は#430 Audi Team SHOW APEXのエヴァRT初号機 RS3 LMS。
ST-TCRクラス表彰の各選手。

ST-1クラス

 ST-1クラス(全1台)はシンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹組)が完走で7連勝を飾った。

ST-1クラス優勝は#2 Ksフロンティア KTMカーズのシンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹組)。

ST-2クラス

 ST-2クラス(全8台)は、今季S耐に復帰したSPOON リジカラ CIVIC(山田英二/小出峻/ピストン西沢/三井優介組)が初優勝。KTMS GR YARIS(一條拳吾/奥本隼士/平良響組)が6位ゴールで2年ぶりにタイトルを奪回した。

ST-2クラス優勝は#95 TEAM SPOONのSPOON リジカラ CIVIC(山田英二/小出峻/ピストン西沢/三井優介組)。
2位は#743 Honda R&D ChallengeのHonda R&D Challenge FL5、3位は#6 シンリョウレーシングチームの新菱オートDXL夢住まい館EVO10。
ST-2クラス表彰の各選手。

ST-3クラス

 ST-3クラス(全4台)は15号車岡部自動車Z34(前島秀司/長島正明/銘苅翼/元嶋成弥組)が連勝し、2位でゴールしたエアバスターWINMAX RC350 TWS(藤田真哉/伊藤鷹志/水野大/眞田拓海組)が2年ぶりにチャンピオンを確定した。

ST-3クラス優勝は#15 OKABEJIDOSHA motorsportの岡部自動車Z34(前島秀司/長島正明/銘苅翼/元嶋成弥組)。
2位は#39 TRACYSPORTS with DELTAのエアバスター WINMAX RC350 TWS、3位は#38 TRACYSPORTS with DELTAのTRACYSPORTS with DELTA RC350 TWS。
ST-3クラス表彰の各選手。

ST-4クラス

 ST-4クラス(全7台)は、シェイドレーシング GR86(影山正彦/国本雄資/山田真之亮/鶴田哲平組)が第2戦の富士24時間以来の今季2勝目を挙げた。タイトル争いは終盤にENDLESS GR86(坂裕之/菅波冬悟/小河諒組)をかわして3番手へ順位を上げたエアバスターWINMAX GR86 EXEDY(石井宏尚/冨林勇佑/尾崎俊介組)がタイトルをつかんだかに見えたが、残り11分で左のフロントホイールが脱落し、ENDLESS GR86がタイトルを奪った。

ST-4クラス優勝は#884 SHADE RACINGのシェイドレーシング GR86(影山正彦/国本雄資/山田真之亮/鶴田哲平組)。
2位は#3 ENDLESS SPORTSのENDLESS GR86、3位は#60 TEAM G/MOTION'の全薬工業GR86。
ST-4クラス表彰の各選手。

ST-5クラス

 ST-5クラス(全15台)は、最終盤にDXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2(西澤嗣哲/大谷飛雄/小西岬/野上敏彦組)とodula TONE 制動屋 ROADSTER(外園秋一郎/太田達也/黒沼聖那/池田拓馬組)の優勝争いが演じられ、DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2が1.607秒差で逃げ切り優勝し、逆転タイトルを確定した。

ST-5クラス優勝は#17 TEAM NOPROのDXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2(西澤嗣哲/大谷飛雄/小西岬/野上敏彦組)。
2位は#65 OVER DRIVEのodula TONE 制動屋 ROADSTER、3位は#27 メイプル広島レーシングチームのメイプル広島レーシングMAZDAロードスター。
ST-5クラス表彰の各選手。

ST-Qクラス

 またトヨタ、ホンダ、スバル、マツダ、日産5メーカーの開発車両によるST-Qクラス(全8台)は、GR Supra Racing Concept(加藤恵三/山下健太/河野駿佑/松井孝允組)が総合7位でゴールした他、NISSAN Z NISMO Racing Concept(平手晃平/佐々木大樹/三宅淳詞組)、MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept(寺川和紘/関豊/井尻薫組)、SUBARU HighPerformanceX Future Concept(伊藤和広/山内英輝/井口卓人/花沢雅史組)、MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept(川田浩史/阪口良平/堤優威/前田育男組)、Honda CIVIC TYPE R CNF-R(大津弘樹/武藤英紀/伊沢拓也組)、4戦ぶりの参戦となったORC ROOKIE GR Corolla H2 concept(MORIZO/佐々木雅弘/石浦宏明/小倉康宏組)の7台が完走して実戦データを蓄積した。

ST-Qクラスで1番目にゴールした#92 GR Team SPiRITのGR Supra Racing Concept(加藤恵三/山下健太/河野駿佑/松井孝允組)。
2番目にゴールした#230 NISMOのNISSAN Z NISMO Racing Concept、3番目にゴールした#55 MAZDA SPIRIT RACINGのMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept。
ST-Qクラスのセレモニー。

フォト/吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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