元田心絆選手が奇跡の大逆転で鈴鹿シリーズのチャンピオン確定に!
2024年12月9日
地方カート選手権 FS-125/X30部門の2024年の戦いを締めくくる第5戦が、11月30日~12月1日に三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット南コースで開催。佐藤佑月樹選手が優勝を飾り、3位でフィニッシュした元田心絆選手がシリーズチャンピオンに確定した。
2024年JAF地方カート選手権 FS-125/X30部門 第5戦
2024 鈴鹿選手権シリーズ 第7戦 KART RACE IN SUZUKA
開催日:2024年11月30日~12月1日
開催地:鈴鹿サーキット南コース(三重県鈴鹿市)
主催:SMSC
地方カート選手権 FS-125/X30部門
2024 鈴鹿選手権シリーズ KART RACE IN SUZUKAのFS-125/X30クラスにタイトルがかけられた地方選手権FS-125/X30部門の第5戦は、今シリーズの最終戦にして、全日本カート選手権/地方カート選手権/ジュニア選手権から成る日本カート選手権の2024年ラストの一戦でもある。
このシリーズは、水冷リードバルブ125ccのイアメ・パリラX30エンジンをワンメイクで使用するFS-125部門で行われている。今回の第5戦にはふたりの海外勢を含む25名のドライバーがエントリーしてきた。
注目のチャンピオン争いは、第3戦ウィナーの酒井龍太郎選手がここまで62点を挙げてポイントレースの首位に立っている。それに続くのは52点の松居寿來選手だ。3~4番手につけているのは松井海翔選手(47点)、元田選手(45点)、小熊孝誠選手(45点)。
また石部壮太郎選手、木原太一選手、梶尾義朝選手も戴冠の可能性を残している。この中から石部選手が今回のレースを欠場し、王座は7名のドライバーによって競われることとなった。酒井選手は決勝で6位以内になれば他の選手の順位に関わらずチャンピオン確定と、かなり有利な立場に立っている。
決勝日のサーキット上空は快晴。空気がキンと冷えた絶好のレース日和の中でまず行われたタイムトライアル(公式予選)では、小熊選手が49秒312のトップタイムをマークした。0.004秒差の2番手は佐藤選手。酒井選手は3番手につけた。4番手のDegtyarev Timofey選手を挟み、松井選手が5番手に。当部門初レースの36歳、木村一眞選手が10代のドライバーたちに混じって6番手につけている。
予選ヒートは10周。ここでは佐藤選手が2周目に小熊選手をパスして先頭に立ち、そのままゴールして決勝のポールを獲得した。佐藤選手の後ろで走り切った小熊選手に続き、Timofey選手が3番手でゴールした。だが、Timofey選手はスタートの違反行為でペナルティを受け、繰り上がりで木村選手が3番手、酒井選手が4番手となった。
15時20分、冬の陽が大きく傾いたサーキットで、いよいよ決勝ヒートが始まった。その16周のレースには、思わぬ展開が待ち受けていた。ピットエリアのダミーグリッドからの発進で、無難に走り切れば王座確定間違いなしと思われていた酒井選手のエンジンが始動しない。
他の全車がダミーグリッドを離れてしばらくしてから、酒井選手はなんとかエンジンをかけて発進して2周目のローリングを迎えた隊列に加わったのだが、そのコースインに違反があったとしてレース3周目にブラックフラッグを振られ、ピットロードからパドックに戻ってレースを終えることとなった。
さらにハプニングは続く。スタート直後、ふたつのタイトなコーナーを切り返して第2ストレートに入った上位集団に多重アクシデントが発生。小熊選手が1周もできずにリタイアを喫し、木村選手もマシンに大きな痛手を負って戦線を離脱してしまった。
唯一このアクシデントの影響を受けなかった佐藤選手は、背後に3秒弱もの大差を築いて1周目のコントロールラインを通過した。2番手は、やがてパドックに戻ることになる酒井選手。キャブレター不調のためタイムトライアルで21番手に留まり、そこから予選ヒートで10ポジションアップを果たして11番グリッドから決勝ヒートをスタートした元田選手が3番手に急浮上。さらにTimofey選手が10台抜きの4番手に上がってきた。
酒井選手が4周目の終わりにレースを終了すると、その少し前に元田選手をパスしていたTimofey選手が2番手に、元田選手が3番手になり、トップ3がそれぞれ距離を空けて走るフォーメーションができ上がった。元田選手から大きく離れた位置で4番手を競い合うのは吉田侍玄選手、梶尾選手、角田侑進選手の3台だ。
表彰台を巡る戦いはこの時点で実質的に終了。開幕戦以来、今季2度目のスポット参戦だった佐藤選手は独走のまま16周を走り切り、高々と両手を挙げて勝利を宣言した。そこから2.7秒ほど遅れて2位でチェッカーを受けたTimofey選手は、自己最上位を大きく更新。さらに1秒ほど遅れてコントロールラインを通過した元田選手も、3位獲得で初表彰台に立った。4位は最終ラップの逆転で梶尾選手のものに。5位の吉田選手に続き、服部颯空選手が6位でチェッカーをくぐった。
これでシリーズは5戦すべてを終了した。有効4戦で決まる最終ポイントランキングは、元田選手が65点でトップ、ポイントを積み上げられなかった酒井選手は62点で2番手。かくして2024シリーズのチャンピオンは元田選手に確定した。元田選手はジュニア選手権ラウンドシリーズ2ジュニア部門の戴冠に続き、2024年日本カート選手権の2冠を獲得だ。
この大会ではFS-125/X30部門の他に、2024鈴鹿選手権シリーズ第7戦 KART RACE IN SUZUKAとして5つのクラスのレースが行われた。決勝ヒート周回数はカデットオープンが12周、それ以外のクラスが16周だ。
SLカートミーティング YAMAHAカデットオープン
鈴鹿選手権の最年少クラスであるカデットオープンは、今回も参加28台と盛況だ。その決勝ヒートは4台一丸の激闘に。最終ラップを先頭で迎えた赤池凛翔選手がイン寄りのラインで1コーナーへ向かうと、さらにそのインにマシンを潜り込ませた島津舞央選手がトップを奪還、今季3勝目と鈴鹿選手権シリーズのチャンピオンをつかみ取った。赤池選手は勝利を逃すも5番グリッドから3ポジションアップの2位に。3位の森一真選手も8番グリッドから表彰台ゲットの躍進だった。
SLカートミーティング YAMAHA SS
YAMAHA SSには今大会最多の50台が参加。2グループに分かれての予選ヒートとセカンドチャンスヒートを経て34台の決勝進出者が決まった。決勝はティーンエイジャーの新勢力たち4台による優勝争いとなり、時に3台横並びの熱いバトルが繰り広げられた。この激闘を制したのは、残り2周の2台抜きでトップに立った森谷永翔選手だ。それに続いて0.09秒差で2台がフィニッシュし、高木彪乃介選手が2位、片岡陽選手が3位でレースは決着した。
AVANTI
空冷125ccエンジン・ワンメイクのAVANTIには、18歳から75歳のバラエティ豊かな13名が参加した。すでに同シリーズのタイトル獲得を決めている24歳の小川昌悟選手は、2番グリッドから3周目にトップへ上がると、背後のバトルに乗じて大きなリードを獲得し、独走で今季3勝目を飾った。小川選手の後方では6台一列のバトルが繰り広げられ、辻本拓馬選手が2位を獲得、岡部雅選手が3位フィニッシュで表彰台登壇を果たした。
SLカートミーティング YAMAHA スーパーSS
30歳以上のドライバーが対象のSUPER SSは41台の参加を集め、7名が決勝を前に涙を呑むシビアな一戦となった。名だたる腕利きたちによるレースは大集団による先の読めない戦いとなったが、最終ラップの最終コーナーでトップを競い合う2台が接触。3番手につけていた坂裕之選手がドラマチックな逆転優勝を遂げた。そのチームメイトの吉田広樹選手も2位に上がって大喜びでチェッカーへ。3位の岸秀行選手は9番グリッドからの表彰台獲得だった。
ROK-SHIFTER
6段変速機構を備えた水冷125ccエンジンを使用するROK-SHIFTERは、ホビーカーターのハイエンドレースだ。予選ヒートでは2番グリッドの東拓志選手がスタートを決めてポールの井出七星翔選手を出し抜きトップでゴールしたのだが、決勝ヒートでは井出選手がスタートでやり返して東選手の前へ。この2台の接近戦に水越健太選手が加わって、優勝争いは3台による実力伯仲の戦いとなったのだが、井出選手はこの痺れるような状況を耐え続けてトップの座を守り切り2連勝。同時に鈴鹿選手権シリーズのチャンピオンを獲得した。2位は水越選手。東選手は3位のフィニッシュとなった。
ROK-SHIFTERの中で35歳以上のドライバーが対象となるMasterクラスでは、決勝グリッドのクラス最上位、総合でも3番手につけていた佐藤奨二選手がエンジントラブルでまさかのノースタートに。代わって今季初参戦の橋本直樹選手が、先頭集団を視界に捕らえる位置で走り切る健闘を見せ、総合4位のフィニッシュでクラス優勝を果たした。クラス2位は3ポジションアップの西野武志選手。同3位には中土和徳選手が入った。
フォト/長谷川拓司、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部