2024シーズンの近畿モータースポーツ表彰式が古都・京都を舞台に賑やかに開催!
2025年1月28日

2023シーズンまでは大阪府内の会場で開催されてきた「JAF近畿地方選手権 JMRC近畿シリーズ モータースポーツ表彰式」。2024シーズンの同式典の会場は隣の古都、京都府に移された。京都市に建つ「京都市勧業館みやこめっせ」が新たな舞台に選ばれ、2024シーズンの激戦を戦い抜いた、近畿モータースポーツ各シリーズの上位入賞者たちが参集した。
JAF近畿地方選手権 JMRC近畿シリーズ2024モータースポーツ表彰式
開催日:2025年1月19日
開催地:京都市勧業館みやこめっせ(京都府京都市)
主催:JAF関西本部、JMRC近畿
新会場のみやこめっせは京都市の東、岡崎公園を挟んで平安神宮の西に建つ。複数の展示室を持ち、京都伝統産業ミュージアムと日図デザイン博物館も併設する。表彰式のようなイベントや展示会、会議や個展など幅広いニーズに対応できる、京都を代表するMICE施設、と謳っている。
式典の会場は地下1階の第1展示場。A-FLOORにて表彰式が開催され、式典が終了すると出席者たちは隣のB-FLOORに移動。ビュッフェ形式で料理もふるまわれた、「JAF近畿地方選手権 JMRC近畿シリーズ2024モータースポーツ懇親会」が開かれた。

先立って行われた表彰式はJAF本部モータースポーツ部の村田浩一部長に代わり、大野光一モータースポーツ振興・業務推進プロジェクトチームマネージャーによる代読、JMRC近畿の梅津祐実運営委員長による主催者挨拶によって始まった。
賞典はレース、カート、ダートトライアル、ラリー、ジムカーナの順で、ダートラとラリー、ジムカーナはJAF地方選手権の後にJMRCシリーズの授与が行われた。
JAFツーリングカー選手権ロードスター・パーティレースIIIジャパンツアーシリーズとJAFジュニアカート選手権は大野マネージャー、JAF近畿ジムカーナ選手権とJAF近畿ダートトライアル選手権はJAF関西本部の池田義則事務局長が賞典を授与するプレゼンターを務めた。JMRC近畿シリーズ ダートトライアル部門はJMRC近畿の田岡一浩ダートトライアル部会長が、JMRC近畿シリーズ ラリー部門はJMRC近畿の船越潤ラリー部会長、JMRC近畿シリーズ ジムカーナ部門はJMRC近畿の吉川寛志ジムカーナ部会長がプレゼンターを務め、各クラスの受賞者たちに賞典が手渡された。




全シリーズの受賞者の活躍が讃えられて表彰式が閉会すると、参加者たちは一旦退場。暫し準備のための間がおかれて隣の会場に移動し、懇親会が行われた。前回復活した、立食ビュッフェ形式は今回も継続。参加者たちはテーブルに並べられた色とりどりの料理を吟味し、味わいながら交流を深めていた。
日頃は機会が少ない、異なるカテゴリーの選手同士による“異文化交流”も見られて盛り上がる中、梅津運営委員長が再び登壇して一本締めを行い、2024シーズンの近畿モータースポーツを締めくくった。受賞者たちは3月頭から続々と開幕を迎える2025シーズンでの活躍を期して、家路へと向かった。






2024年JAFツーリングカー選手権
ロードスター・パーティレースIIIジャパンツアーシリーズ

2024年JAFジュニアカート選手権

2024年JAF近畿ダートトライアル選手権






2024 JMRC近畿シリーズ ダートトライアル部門
チャンピオンシリーズ






2024 JMRC近畿シリーズ ダートトライアル部門
ジュニアシリーズ



2024 JMRC近畿シリーズ ラリー部門
SSラリーシリーズ




2024 JMRC近畿シリーズ ラリー部門
アベレージラリーシリーズ

2024年JAF近畿ジムカーナ選手権














2024 JMRC近畿シリーズ ジムカーナ部門
チャンピオンシリーズ














2024 JMRC近畿シリーズ ジムカーナ部門
ミドルシリーズ






2024年JAF近畿地方選手権「初」チャンピオンインタビュー

「今まで1位になることもあったんですけど競り負けて、なかなかシリーズで真ん中に立てなかったですね」と、初の地方選手権チャンピオンまでの道のりを振り返った清水選手。「社会人になって、上司にダートラ場に連れていってもらって“スゴい世界があるものだなぁ”って知って(ダイハツ・)ストーリアを買って」と語るダートトライアルのキャリアは四半世紀を数えたところで、念願のチャンピオンに輝いた。「ずっとストーリアに乗っていたんですけどひっくり返して。そこから(ダイハツ・)ブーンに乗り換えて3年目くらい。ストーリアはピョンピョン跳ねるような動きをするところがあって、勝とうとするとなかなか際どいアグレッシブな走りをしなくてはいけなかったんですけど、ブーンは車両が安定しているので気持ち楽に走れるのかな」と乗り継いできた2車種の違いを語った。「難しかったけど、ブーンに慣れてきたのも大きいです」と、ブーンとの“人車一体”が進んだことを王座を獲った要因に挙げたが、「どこまでいったらアカンのか、っていう限界がまだ分かってないですね。ブーンも無くなってから10年経って、部品もそろそろ減っているので、大事に乗っていかなくてはいけないのですが、そんな気をつけていたら勝てないし、痛しかゆしですけどね」と、“旧車”故の難しさも明かした。近畿ダートラのNクラスは2025シーズン、S1クラスに統合される。排気量制限が無い2WDや、改造範囲が広いSA車両やSC車両もライバルに加わるが、「強豪が揃ってますが、四駆の有利な点を活かしていきたいです。雨が降ったらこっちのモンだな、と思ってます」と、王者としてブーンとともに挑む新たな挑戦に向けて、意気込みを語った。

京都大学体育会自動車部の部員である倉持選手。表彰式当日はなんと、卒論締切の前日。懇親会もそこそこに、卒論に取り組まねばならなかった。晴れて締切1時間前に卒論も提出、就職先もチャンピオンも決まり喜びもひとしおのところに、お話を伺った。自動車部に入ろうと、入学前から決めていたそうだが「クルマが好きだからなんですけど、とにかくクルマを運転できるんだろうって浅い考えで入ったんですけど、競技をする部活だと思っていなくて。入ったら(競技)やるもんだ、って。最初はびっくりしました」とのこと。「ジムカーナもカッコいいんですけど、迫力があるから」と、ダートトライアルへの参戦を決めたそうだ。「ダートラを始めるなら出ろって感じです。必死に走った記憶があります」と、参戦した2021シーズンのJMRC近畿ダートラ ジュニアシリーズのJ1500クラスで2位を獲得し、競技会でビューを飾ると、2022シーズンは今も乗る三菱・ミラージュに乗り換えてJ1クラスで3勝を挙げてチャンピオンを獲得し、地区戦に上がった。車載動画を撮り、先輩のアドバイスを仰いだことも、走りの向上に活きたそうだ。2024シーズンは「コーナー抜ける時、クルマがどういう姿勢なのか考えて、(走りを)組み立てました」と、慣熟歩行に力を入れたそうだ。また、「直線からのブレーキが甘かったんです。ずっと課題だったんですけど、昨シーズン(2024シーズン)の途中にもっと制動距離を短くできたんです」と長年の課題も乗り越え、「慣熟歩行の精度も上がってきていて、イメージどおりの走りができるようになってきました」と、6戦中4勝、全戦でトップ3に入る安定した成績で戴冠を果たした。就職により新たな人生のステージとなる中部でも「出るからには勝つつもりで」と、ダートラを続ける意向だそうだ。

ホンダ・インテグラやトヨタ86を駆り、JAF全日本ジムカーナ選手権や各地の地区戦で活躍しているかつこ選手は、女性スラローマーを代表するドライバーのひとりだ。JMRCシリーズのチャンピオン獲得経験はあるのだが、意外にもJAF地方選手権のチャンピオンは初戴冠。愛車の86よりハイパワーの4WDターボ車両とも戦うLクラスで、5勝を挙げての満点チャンピオンについて、「自分でもびっくりしていますが、成長できたのかな、と思います。それだけの練習はしてきたんで。もうめちゃめちゃしました。確かめたかったんです、自分が速くなったのか。それが証明できて良かったです」と喜んだ。走りへの取り組みについても、「今までやってきたことを思い出す、土曜日にビデオとかをしっかり見て、イメージをたてて(日曜日に)行きましたね」と、限られた走行時間を最大限に生かす取り組みは欠かさなかったそうだ。愛車についても「しっかり壊れない状態に毎回しました。今の状態で勝てたら、次も同じ状態で走れるように、オーバーホールとかオイル交換とか、絶対妥協しませんでした」と、万全の状態を維持していた、とのことだ。「モータースポーツはメンタルスポーツ、っていうだけあって、スタートついた時は“あれやってこれやって、あれやればいいんだ”と、落ち着いていたんですよ」と、練習や準備の成果は確実に実戦で発揮されていたようだ。2025シーズンのかつこ選手は、JAF中部ジムカーナ選手権に挑む、とのこと。「旧型86のクラス(PN4クラス)があるんですね。そこに出て勝って、“86日本一じゃね?”って言われたい(笑)。それを目指します」と、意気込みを語ってくれた。「器用ではないので、ひとつのクルマに長~く乗って手足のように走るタイプなんで、それを極めます!」

「親父がもともとFF乗りだったんです」と語る二世ドライバーでもある本山正悟選手は、その影響でFF車両のトヨタ・ヴィッツを駆ってジムカーナデビュー。JMRC近畿ジムカーナ ミドルシリーズから地区戦へとステップアップしていく中で「もっとFF(の運転が)上手くなりたいな、と思っていて、ヴィッツに足りないパワーがもっと欲しいな、というのがあって」とZC33S型スズキ・スイフトスポーツを新たな愛車に、クラスもPN2に転向した。初めは「ギア比がかなり特殊なんです。ブレーキもクセがあったりして」と、ヴィッツとの違いに苦労することもあったそうだ。2024シーズンは「ようやくPN車としては一応完成して、セッティングも詰めていって夏ぐらいに完成、自分も“33”に慣れてきた、というのもあって結果もついてきました」と、2勝を含む7戦中4戦でトップ2に入る好成績を残し、初の地区戦チャンピオンを掴んだ。JAFカップでは悔しい結果に終わったが、「地区戦だと余裕を残して走れるところもあるんですけど、リスクの減らし方をもっともっと詰めていかなくてはいけないと思ったんです。リスクを詰めてもっと攻める、でも失敗しない、走りの精度の部分で、もっと成長しないといけないです」と発見があったそうで、「ジムカーナって失敗しない競技だと思うんです。まだまだ足りてない部分があると思うんで、そこを詰めていかなくてはいけません」と前を向いた。2連覇を目指しながら全日本へのスポット参戦、更には他地区への武者修行も考えている、と計画を語ってくれた2025シーズンも、本山選手のFF車両のドライビングは、ますます磨かれていくであろう。

「23歳の4月に今の車両(ZC6型スバルBRZ)を購入して、ゴールデンウィークに今、所属しているチーム(TEAM RAIMU)の走行会に参加して、ジムカーナ始めました」と、語ってくれた胸元選手。2021シーズンにJMRC近畿ジムカーナ ミドルシリーズでPN2クラスのチャンピオンを獲得して地区戦にステップアップ、「優勝して当たり前くらい、連勝するつもりで」挑んだ3季目にして戴冠を果たした。「常に自分がイチバン乗りやすいクルマを目指して更新、更新して、やっと“コレ”っていうのが見えてきたんで」という転機があったそうだ。「2023年の西日本フェスティバルで2位になれたんです。“こういう方向で良いんだ”ってなって。今年(2024シーズン)のアタマくらいにある程度セットを決めて、“コレだったら速いはずだから、このクルマに合わせてあとは運転するだけ”というつもりで、自分さえ失敗しなければタイムは出る、って確信はあったんで、自身を持って走れました」と明かした。「自分がイチバン失敗するのはミスコースなので。ジムカーナは当日(コースを)覚えないといけないっていうのが、自分にとってハードルが高いところなんです。ちょっとでもコースに不安があるとタイムが出ないんで、朝どれだけコースを覚えられるか、ここで勝負が決まるくらいなんです」と、慣熟歩行に力を入れた結果はミスコース無し。王座を手繰り寄せるポイントのひとつとなった。2025シーズンは転機となった西フェスで戦った、中部地区への挑戦を検討しているそうだ。「新しいステージになるので覚えるのはまた課題なんですけど新しいメンバーと、台数多いんで切羽詰まった戦いになると思うんで、楽しみです」と、新たな挑戦に期待を膨らませていた。

2024年JAF近畿ジムカーナ選手権PN4クラス 杉本季優選手
「近畿の場合、(チャンピオンを)期待していなかったんですよ」と、語る杉本選手。「それまで(ランキング)トップだった方が3位以下で僕が優勝したら獲れるっていう前提で、たまたまそのとおりになってものすごく驚いているんです」と、最終第6戦での勝利で、大逆転を果たした。2024シーズン前に課題だったターンを集中的に練習し、小さく回れるようになったそうだが、第1戦は360°ターンでパイロンペナルティを喫したそうだ。それ以降“パイロンペナルティ無しで走り切る”ことを第一の目標にしていた、とのこと。「2023年も開幕戦でパイロンタッチをしてしまい、その後も続いたことがあったんです」という反省から課題として取り組んだ結果が、2勝を挙げたJAF中部ジムカーナ選手権PN5クラスとのダブルチャンピオンという、素晴らしい成果として実ったのであろう。「色々なコースを走る、というのがとても楽しく思えて」と、始めた中部と近畿へのW参戦。2025シーズンは近畿でクラスが変わり、杉本選手が駆るPN車両のGRヤリスはB車両とも戦うことになるが、「出られるだけ出ようと、頑張れるだけ頑張ります」と、中部を中心に参戦継続の意向だ。「ジムカーナってほら、ターンでタイムを稼げるというか、反対に落としやすい競技なんで、そこのミスが無くなればかなりタイムアップできるので」と、そのターンを磨いて戴冠を果たした杉本選手。しかし、「全日本の人が地区戦の時とかデモランするんです。タイムを比較すると、秒で離されるんです。動画で見たら、(自分の)遅いところが明確にあるんで。まだ全然届いていないところが分かってるんで、ソコに挑戦していきたいですね」と、59歳になる杉本選手の走りは更に進化していきそうだ。
フォト/今村壮希、遠藤樹弥 レポート/JAFスポーツ編集部