スーパーフォーミュラ2025開催概要発表!今季も熱いバトルが多数展開の予感

ニュース レース

2025年2月17日

坪井翔選手の初チャンピオン獲得から約3ヶ月。全日本スーパーフォーミュラ選手権を主催する日本レースプロモーション(JRP)は、去る2月10日に、今季の概要を発表する記者会見を都内で行った。

2025 SUPER FORMULAプレスカンファレンス
開催日:2025年2月10日
開催地:ポリフォニー・デジタル(東京都江東区)
主催:日本レースプロモーション(JRP)

 スーパーフォーミュラ選手権の今季開催概要発表の会場となったのは、同シリーズのパートナーでもあるポリフォニー・デジタル。会場には多くの報道陣が足を運んだだけでなく、オンラインでも記者たちが参加する形となった。

 まずは会場前方でJRPの近藤真彦会長と上野禎久社長が挨拶した後、上野社長から今季新たな試みとして行われるレースフォーマットの変更や、新たなタイヤの投入などについて説明があった。その後、シリーズを代表する坪井翔選手に加え、今季デビューを飾る高星明誠選手、イゴール・オオムラ・フラガ選手、オリバー・ラスムッセン選手が登場し、シーズンインを前に現在の意気込みを語った。

 今回発表された中で、最初に説明があったのは、新たなタイヤについて。JRPは2022年から開発車両を使用し、年に複数回のテストを実施している。このテストの結果、2023年から空力パッケージが新しくなり、シャシーもSF23と呼ばれることとなった。その後も、JRPはテストを続行。このテストで開発が進められたのが今年から使用されるタイヤだ。

 シリーズにタイヤを供給している横浜ゴムは、カーボンニュートラルを目指していることもあり、2023年から再生・リサイクル素材を使用したタイヤを投入しているが、今季から使用されるタイヤではその素材の比率をアップ。2025年の目標としていた35%を大幅に上回る平均46%とした。内訳としては、スリックタイヤが42%、ウェットタイヤが49%となっている。

 すでに昨年12月の合同テストでは、各チームに新たなウェットタイヤが1セットずつ供給されたが、このテストでは降雨がなかったため、いずれのドライバーも走行には使用していない。また、ドライタイヤに関しては、2月18~19日に三重県の鈴鹿サーキットで行われる今季の第1回公式合同テストから供給されることになっている。

 鈴鹿サーキットではこのシーズンオフ、東コースの路面貼り替えを始め、デグナーやスプーンの縁石まわりに改修工事が行われているため、どのチーム、どのドライバーにとっても一概にこれまでのタイヤとの比較はできないだろうが、テストでこの新タイヤの性格をライバルよりも早く掴み、最適なセットアップを仕上げたいところだろう。

 次に大きな発表となったのは、レースフォーマットの一部変更についてだ。昨年までは、2レース制の大会がシーズン中に2回、もしくは3回行われてきたが、今季は7大会のうち5大会が2レース制となり全12戦でチャンピオンシップが争われることになる。

 これに伴い、2レース制の大会では、土曜日と日曜日でレース距離が変更されることとなった。土曜日のレース1では各大会とも約165km、日曜日のレース2は各大会とも約185km。レース1ではピットストップのウィンドウが10周に定められているが、レース2にはピットウィンドウがない。これによって、各チームの戦略がどのように変化するかというのが見どころとなる。

 また、昨年まで2レース制の場合には金曜日の午後に90分間のフリー走行が設定されていたが、今季は午前と午後にそれぞれ60分のセッションを設定。各チーム&ドライバーにとっては、走行枠が増えることで、予選・決勝に向けての準備をより念入りに行うことができるようになる。

 一方、JRPではコース外でも金曜日の活用を積極的に行う予定。この日を「パートナーDAY」として、企業や学生などを招待し、ビジネスのマッチングやリクルートなどにも役立てて行く考えだ。

 また、レース数が増えただけでなく、今季は放送チャンネルが拡大することもこの会見で発表。従来のJスポーツ、ABEMA、SFgoアプリに加え、今年はDAZNとFODもスーパーフォーミュラの中継を放送することが決まった。レースのみ生中継するABEMA以外は、全セッションをライブ配信するという。これにより新たなファンの掘り起こしも狙っている。

 さらに、JRPでは、長らく3Kと言われてきたレース業界の労働環境を改善する取り組みを開始。数年前から、夜遅くまで作業する場合には、チームに残業申告書の提出を義務付けていたが、今季は統一規則によってピットエリア内の立ち入り制限を明文化・規則化し、ピットでの労働時間を短縮するとしている。

 ただし、年間の残業可能時間を設定する予定とのことで、金曜日あるいは土曜日にクラッシュなどが発生し、翌朝までの修復が必要な場合には、その可能残業時間から減算する形で作業が許されるという。この辺りの詳しい運用や時間管理については、今後細かい詰めが行われることになっている。

 このように様々な変化があるスーパーフォーミュラ。今季はチーム数が1つ増え、昨季よりも1台多い22台によってチャンピオンシップが争われる。昨季はシーズン途中でドライバーが全員日本人になった大会もあるが、今季はルーキーが3名、再参戦が1名と、計4名の外国人が参戦。また、日本人ルーキーも2名がデビューする。さらに、ベテラン勢や中堅どころ、若手ドライバーとバラエティに富んだ顔ぶれとなる。その中でタイトルを物にするのは誰なのか。開幕戦から激しい火花散る戦いが見られるはずだ。

プレスカンファレンスには多くの報道陣が詰めかけ、スーパーフォーミュラ人気の高さが改めて浮き彫りになった。
JRPの近藤真彦会長(写真右)は「レースの熱いバトルの魅力はもちろんですが、ヘルメットを脱いだ選手たちの姿をもっともっと皆さんに届けていきたいと思っています」と、今季にかける思いを語った。また、上野禎久社長(写真中)が今季の新たなレースフォーマットを発表。「現在も増加基調にあるファン層の拡大を、より力強く進めて魅力あるシーズンにしていきます」と、カテゴリーとして新たな取り組みをもってチャレンジしていくことを表明した。なお、司会はスーパーフォーミュラの大会実況を務める笹川裕昭アナウンサー(写真左)が担当した。
会場には昨季チャンピオンの坪井翔選手も出席し「昨年は富士でしか勝てなかったので、その他のサーキットでも勝って力強くチャンピオンを獲得したい」と語り、「昨年は出だしで躓いてその後がすごく大変だったので、今年こそ特に開幕戦の鈴鹿で勝ちに行きたいです。活躍を通してスーパーフォーミュラをさらに盛り上げていきます」と、今季のさらなる活躍を誓った。
スーパーGTのGT500クラスに参戦している高星明誠選手が、スーパーフォーミュラでフル参戦を開始する。「レースでは当然勝ちを目指しますが、僕が活躍することで後輩たちに道を切り開いていけると思うので、今年結果を残して各方面にアピールしていきたい」と、参戦への意気込みを述べた。
高星明誠選手と同じチームから初参戦するオリバー・ラスムッセン選手。スーパーフォーミュラでは初となるデンマークから参戦のドライバーだ。「新しいチャレンジのシーズンになります。母国のデンマークからいつも注目していたトップカテゴリーのスーパーフォーミュラに参戦出来て本当に光栄です」と、参戦できることへの感謝と率直な気持ちを明かしてくれた。
プレスカンファレンスの前には、スーパーフォーミュラ初参戦となるイゴール・オオムラ・フラガ選手による「グランツーリスモ7」でのデモンストレーションランが行われた。スーパーフォーミュラの開幕戦が行われる鈴鹿サーキットでタイムアタックを敢行。リアルレースでのブランクは、「グランツーリスモで養ったレース感で乗り切った」という。
プレスカンファレンスの前にはプレスセミナーも行われ、レースの概要や取材方法等がアナウンスされた。

フォト/大野洋介、JAFスポーツ編集部 レポート/貝島由美子、JAFスポーツ編集部

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