今季初のWヘッダー、第3戦・第4戦ジェッダE-Prix開催。第4戦ではオリバー・ローランド選手が今季2勝目を挙げ、日産がマニュファクチャラーズ首位を独走!
2025年2月25日

2025年2月14〜15日、2024~2025年FIAフォーミュラE世界選手権の第3戦と第4戦が、サウジアラビアのジェッダ・コーニッシュ・サーキットで開催された。この「ジェッダE-Prix」第3戦はマキシミリアン・ギュンター選手(DSペンスキー)が優勝。第4戦ではオリバー・ローランド選手(日産フォーミュラEチーム)がシーズン2勝目を挙げた。
2024/2025 ABB FIA Formula E World Championship Round 3/4 Jeddah E-Prix/2024~2025年FIAフォーミュラE世界選手権(シーズン11)第3戦・第4戦 ジェッダE-Prix
開催日:2024年2月13日(金)~15日(日)
開催地:ジェッダ・コーニッシュ・サーキット(サウジアラビア)




ピットブースト初導入の第3戦。ローランド選手が2位で、日産が製造者部門首位に立つ
今季初のダブルヘッダーとなる第3戦・第4戦ジェッダE-Prixは、F1でも使用されるジェッダ・コーニッシュ・サーキットが舞台となった。しかし、今大会はF1とはレイアウトが異なり、全長6,174kmから3,001kmへと短縮したレイアウトでレースが行われた。
そして、過去に何度か実践テストも行われていた「ピットブースト」が初めて導入されるレースともなった。ピットブーストはGEN3マシン時代から開発が行われていたもので、決勝レース中にピットインを行い、マシンに600kWの超高速充電を30秒間行うことで10パーセント(3.85kWh)のエネルギー供給を図るというもの。
ピットで給電に関する作業ができるのは二人のみで、そこにロリポップマンが加わるが、2台体制を敷いているチームについては、2台同時にピットインすることは規則で禁じられている。このピットブーストはダブルヘッダー開催時にバリエーションを持たせる狙いから一つのレースだけに適用されるようで、今大会は第3戦のみに試験導入された。
ちなみに、同じくダブルヘッダーとなる東京E-Prixでの導入も検討されているという。
ピットブーストを導入した初めてのレースとなった第3戦。土曜の第3戦予選デュエルスでは第2戦のウィナーである日産フォーミュラEチームのオリバー・ローランド選手が1分15秒371と最速をマークして予選セミファイナルへと進んだ。
そして、マキシミリアン・ギュンター選手(DSペンスキー)とパスカル・ウェーレイン選手(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)、テイラー・バーナード選手(ネオン・マクラーレン・フォーミュラEチーム)の4名がファイナル進出を争った。
ローランド選手とバーナード選手はわずかに及ばず、ギュンター選手とウェーレイン選手が予選ファイナルへと進んだ。デュエルスではウェーレイン選手が自己ベストを更新できず、セッション最速の1分14秒911を計測したギュンター選手がポールを獲得した。
第3戦の決勝は31周で争われ、ナイトレースでの開催となった。照明がサーキット周辺を浮き上がらせる幻想的な環境でスタートが切られると、ギュンター選手が好スタートでホールショットを奪う。その後はギュンター選手が早くも独走態勢を築き始め、2番手にはローランド選手、3番手にバーナード選手を従える展開が続いた。
そのままギュンター選手がリードを広げていくかとも思われたが、後方では接触やスピンが相次いて、レース序盤から波乱の展開に見舞われてしまう。7周目に入ると、コース上のデブリによりセーフティカーが導入され、9周目にレース再開となった。
リスタート後もギュンター選手が首位のまま後続を従えていくが、ややペースが伸び悩む。そして11周目、猛追を続けていた2番手のローランド選手が首位に立った。
レースが中盤に入ると、ピットブーストを遂行するチーム、アタックモードを使用するチームと戦略が分かれ、順位が目まぐるしく入れ替わりはじめた。ちなみに今大会のアタックモードも合計8分で、2回の起動が必要とされている。
首位のローランド選手は、アタックモードを終えてピットブーストのためにピットイン。そして、トップをキープしたまま、大きなリードを築いて終盤へとレースを持ち込むことに成功した。2番手にはニック・デ・フリース選手(マヒンドラ・レーシング)がつけ、その後方では、ローランド選手とは異なる戦略を採り、早めにピットブーストを終えていたギュンター選手が少しずつ順位を取り戻していた。
ローランド選手はレース終盤まで独走状態を築いていたが、ギュンター選手は残り5周というところで、デ・フリース選手を捉えて2番手に浮上した。ギュンター選手は好ペースを保ったまま、着実にローランド選手とのギャップを詰めていき、30周目にはローランド選手を射程圏内に捉え、テール・トゥ・ノーズのバトルへと持ち込んだ。
ローランド選手はエネルギー残量が少ない状況。2台のバトルは最終ラップにまでおよび、3番手に浮上したバーナード選手も加わった三つ巴の激闘へと転じた。一転して厳しい状況に持ち込まれたローランド選手だったが、最終セクションでエネルギー残量がわずかに足りなかったか、ほんの一瞬だが失速。それを見逃さなかったギュンター選手が最終コーナーで首位を奪い返し、そのままフィニッシュラインを駆け抜けた。
ギュンター選手は最終的にはポール・トゥ・ウィンを果たし、ローランド選手は悔しさ残る2位、20歳のルーキーであるバーナード選手は開幕戦に続く3位に入り、フォーミュラE参戦初年度で早くも2度目の表彰台を獲得した。








第4戦ではローランド選手が今季2勝目。日産がマニュファクチャラーズ首位を独走!
第3戦の興奮も冷めやらぬまま、翌15日(日)には第4戦が開催された。
昼間に行われた予選では、予選セミファイナルにはバーナード選手とローランド選手、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ選手(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)、ジェイク・ヒューズ選手(マセラティMSGレーシング)の4名が進出した。
予選ファイナルにはバーナード選手とローランド選手が進出し、デュエルスで一騎打ちとなった。ここでは好調が続くバーナード選手がこれまでの自己ベストを更新する1分14秒804を計測。開幕3戦目にしてシリーズ最年少となる初のポールポジションを獲得した。
第3戦と同様にナイトレース開催となった第4戦の決勝レースだが、周回数は31周で変更はないものの、第4戦はピットブーストが導入されないレースとなった。
決勝の刻を迎え、各車が一斉にスタートを切ると、ポールのバーナード選手が好調な動き出しを見せた。すぐ後ろではヒューズ選手がローランド選手を交わして2番手に上げた。
後方では、4番グリッドのダ・コスタ選手がギュンター選手から接触される形でスピンし、大きく順位を落としていた。この二人はリタイアを余儀なくされてしまい、第3戦のウィナーであるギュンター選手は、早々にレースを終え悔しさが残るものとなった。
また、トップ集団ではヒューズ選手がバーナード選手の逃げ切りを許さず、少しずつギャップを詰めていく。トレイン状態で周回を重ねていく状況で、3~5周目辺りに一度目のアタックモードを使用するドライバーが現れてから順位変動が始まった。
7周目にはローランド選手がトップに浮上する。しかし、12周目には14番手からハイペースでポジションアップを図っていたロビン・フラインス選手(エンビジョン・レーシング)がアタックモードを活かし、バーナード選手とローランド選手を仕留めて首位に躍り出る。そして、序盤で大きくラップタイムを落としていたヒューズ選手は一時8番手にまで後退していたが、アタックモードを起動した14周目には2番手へと姿を現していた。
ローランド選手は一回目のアタックモードを起動して反撃を開始。14周目には再び首位を奪還した。続くバーナード選手も一時的に首位へ再浮上したものの、ローランド選手はそれを許さず、再び首位で隊列を牽引していく。
すると、ジェイク・デニス選手(アンドレッティ・フォーミュラE)が二度目のアタックモードを起動させて、後方から凄まじい勢いで追い上げを図り、24周目にはトップに躍り出た。デニス選手はやや逃げ始めていたが、ローランド選手は二度目のアタックモードを使い、順位変動を最小限に抑えて追跡。26周目には再びトップを奪還した。
2番手を走行するデニス選手はアタックモードが終わっており、アタックモード起動中のジャン-エリック・ベルニュ選手(DSペンスキー)とバーナード選手、ヒューズ選手を従えた走行となっていた。この間に、アタックモード起動中のローランド選手は後続を引き離すことに成功していた。
4番手を走行していたバーナード選手は、3番手のベルニュ選手とサイド・バイ・サイドを展開。27周目にはデニス選手をもキレイに抜き去って2番手に復帰した。残り4周の時点でローランド選手とバーナード選手、ベルニュ選手の上位3台がアタックモード起動中で、バーナード選手はローランド選手を追いかけるも差は詰まらない状況となった。
また、バーナード選手が3台の中で真っ先にアタックモードが終わったこともあり、終盤にペースが上がらず、後方にはアタックモードを起動させていたヒューズ選手が迫っており、残り1周でバーナード選手にサイド・バイ・サイドのバトルを仕掛けてきた。
ヒューズ選手によるテール・トゥ・ノーズの追撃を、バーナード選手はブロックラインで辛くもしのいだが、最終ラップに突入する頃には、首位を走るローランド選手とバーナード選手との差は4.499秒にまで広げられており、ルーキーの激闘はここで終了した。
レース終盤を独走状態でトップチェッカーを受けたローランド選手が、前日の惜敗をリベンジする今季2勝目を飾った。なんとか順位を最後まで守ったバーナード選手が2位に入って2戦連続表彰台を獲得。ベルニュ選手をパスしていたヒューズ選手が3位に入り、ベルニュ選手を抜いてヒューズ選手にも迫ったデニス選手が僅差の4位に入った。
第3戦と第4戦ジェッダE-Prix終了時点で、ローランド選手は68点ポイントを獲得しており、第4戦の優勝でドライバーズランキングの首位に浮上。また、第3戦と第4戦で日産パワートレイン勢が連続表彰台を獲得したことにより、マニュファクチャラーズ首位の日産は、第4戦終了時には2位以下を大きく引き離す独走体制を敷くことになった。
第3戦で2位、第4戦で優勝したローランド選手は「ジェッダで再び勝利できたことをとても嬉しく思います。ジェッダの2戦はそれぞれ非常に異なるレースでしたが、マシンは好調で、両日ともに強いパフォーマンスを発揮しました。全てのランキングでリードしているのは素晴らしいことですが、私たちの焦点はレースごとの取り組みを着実に実行し、シーズンの終わりに良い位置にいるために最善を尽くすことです」と兜の緒を締めた。
第5戦「マイアミE-Prix」は、4月12日にアメリカ・マイアミ州にあるホームステッド・マイアミ・スピードウェイで開催される。5月3~4日には第6戦・第7戦モナコE-Prixが開催され、5月17~18日には第8戦・第9戦として東京E-Prixが帰って来る。








PHOTO/日産自動車[Nissan Motor Co., Ltd.]、Formula E Operations Limited REPORT/吉田知弘[Tomohiro YOSHITA]、三家香奈子[Kanako SANGA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]
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