寒空の下での岡山国際サートラ開幕戦は、5クラス中3クラスでレコード更新!

レポート サーキットトライアル

2025年2月27日

2月16日、“サートラ”ことサーキットトライアルのJAF地方選手権の2025シーズンは、JAF岡山国際サーキットトライアル選手権の第1戦から幕を開けた。1週間ほど前には、ほぼ全国的に降雪に見舞われて岡山国際でも積雪が伝えられたばかり。この週末も夜半に雨が降り、よもや降雪かと思われたものの、早朝までに止んだのは何よりだった。

2025 OKAYAMAチャレンジカップサーキットトライアルJAF地方選手権
岡山国際サーキットトライアル選手権Rd.1

開催日:2025年2月16日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:(株)岡山国際サーキット、AC

 自分との戦いでもある、サートラに挑むドライバーたちにとっては、雨が降ったことは正直“がっかり”という気分だったのではないか。気温が低いこの時期は、好タイムを出しすいからだ。

 走行1回目こそ路面は濡れたままとあって、皆一様に走りは様子見といった状況だったが、走行2回目はほぼドライと言ってもいい路面に。1回目は誰も2分を切れなかったものの、2回目では計測1周目からベストタイムが更新されていたことから、あらかじめ覚悟の上だった“一発勝負”にドライバーたちは挑んでいたようだ。

 2回目ではほぼ折り返しのタイミングでコース脇に止まった車両があり、4分ほどの中断があったため当初の終了時間ではなく、中断していた時間は延長された。「より路面状態が良くなった」という声もあれば、原則として1回目の順位で走行する2回目ながら、「(中断によって)走行順が変わって後ろから速いクルマが迫ってきて、自分のラインで走りにくくなった」という声もあがっていた。

前日夜から降った雨は止んだが、路面は濡れたまま走行1回目がスタート。走行2回目には路面が乾き、JAF岡山国際サーキットトライアル選手権では初開催のCT6クラスを含めて、3クラスでコースレコードを樹立した(左)。各クラスのウィナーにはJAFメダルや岡山国際サーキット特製の楯などのほか、美作市長賞として地元産農産物の詰め合わせも贈られた(右)。

CT1クラス

 エントリーは3台だったCT1クラスだが、その中に2024シーズンはCT5クラスの完全制覇を成し遂げた、ホンダ・シティを駆る土居清明選手の名があった。

 土居選手のシティは排気量1600ccのエンジンに換装されている。今季のシリーズ特別規則書には「当初とは異なる型式のエンジンに載せ替えた車両はCT1」の性能調整が加えられたため、クラス転向となったのだ。

 ウェットだった1回目こそ超軽量ボディのメリットを活かして総合でも4番手につけたが、ドライに転じた2回目ではライバルたちとの排気量とパワーの差は補いきれず。しかも、車両トラブルもあったようで総合では13位、CT1では3位に甘んじた。

 優勝を飾ったのは、BMW M4で挑んだ下坂和也選手。この日はN1ロードスターNAクラスにも参戦して優勝、ダブルウィンとなった。「クルマが速いんですよ」と苦笑しつつ、「第1ヒートはかなり濡れていましたけど、第2ヒートはだいぶマシになっていました。手応えは最後のラップにあって、もうコンマ5秒ぐらいいけそうだったんですが、ちょっとエンジンにエラーが出て耐えられるんですけど、そのまま帰ってきました」と明かした。

 更に「CT(サートラ)は2回目なんですが、CT1クラスのレコードが出そうだったので狙いました。最後のラップは決めたかったんだけど、エンジンに嫌われたかな?」と語った下坂選手だが見事、コースレコード更新にも成功した。

CT1クラスはBMW M4で参戦した下坂和也選手(FIRST RACING M4)が制して表彰された。

CT2クラス

 CT2クラスはGRヤリスを駆る福冨航平選手が、CT1の下坂選手に次ぐタイムをマークして制した。2024シーズンはランキング3位だったCT1から転向した初戦で、早速好結果を残した。

「第2ヒートで乾くのが分かっていたので、第1ヒートはまぁ慣らしで。第2ヒートも最初はちょっと濡れていたけど、赤旗の後はもうドライでしたね。去年はクルマを換えるタイミングで一戦出られなくて。今年は全戦出ようと思っています」と、福冨選手は悲願のチャンピオン確定に意欲を燃やしていた。

 2位はFK8型ホンダ・シビックタイプRをドライブする赤石憲俊選手。2回目のラストアタックでベストを更新したが、福冨選手にあと0.96秒及ばなかった。

GRヤリスを駆る福冨航平選手(P.MU狂猿レーシングGRヤリスGen2)がCT2クラスで優勝した。
CT2の赤石憲俊選手(シビックFK8 2010)はFK8型ホンダ・シビックタイプRを操り2位を獲得(左)。FL5型シビックタイプRをドライブする石田泰久選手(Cosmic_175@シビックタイプR)が3位に入った(右)。
CT2の表彰は左から、優勝した福冨選手と2位の赤石選手が受けた。

CT4クラス

 7台が集ったCT4クラスにはスズキ・スイフトスポーツを駆る2023シーズン王者、松橋豊悦選手が久々に登場。1回目こそスバルBRZドライブする角谷要輔選手にトップタイムを譲ったものの、2回目で本領発揮!レコード更新の走りを見せ、ディフェンディングチャンピオンでGR86を駆る2位の高橋太一選手に1秒8近くもの差をつけた。

「去年1年間、丸々岡山を走っていないので、第1ヒートは久しぶりなので抑えめに、第2ヒートを狙っていました。ただ、しょうがないことなんですけど赤旗のせいでだいぶ団子になって、抜かすのも、自分のペースで走るのも大変でした。延長してくれたんですけど、どこでチェッカー振られるか分からないから、ヒヤヒヤしながらずっと走っていました(苦笑)」と、今回の一戦を振り返った。

「今年の予定は?」とたずねると、「岡山は初戦勝てたので、全戦出て。筑波はJAFカップ挟んで、初戦出て勝てたら全戦出る。SUGOも初戦出て、勝てたら全戦出る。全部勝って、またチャンピオン獲れたらいいなぁ!」と、はっきり心の叫びを口にした。果たして有言実行なるか?

CT4クラスは松橋豊悦選手(N-TEC名古屋スイフト)がスズキ・スイフトスポーツを駆って優勝した。
CT4表彰の両脇は、2位の高橋太一選手(RG-0☆BRIDE・IDI・GR86)と3位の吉岡正人選手(WAKO’Sコサ犬GR86)、GR86勢が占めた。
CT4は左から、2位の高橋選手と優勝した松橋選手、3位の吉岡選手が表彰を受けた。

CT5クラス

 日産・ノートニスモSを駆る山下猛選手が、連覇した2022・2023シーズン以来となるCT5チャンピオン返り咲きを予感させる、復活を告げる勝利を挙げた。

 1回目こそマツダ・デミオを操る山村純一選手にトップを許したものの、2回目ではラストラップでしっかり逆転を決めた。「途中で赤旗が出て(走る)順番変わっちゃって、後ろの方に速い方が来られたもんで、ちょっと自分のラインが思ったのと違っちゃったんです。でも、会心の走りかと言えば、そのとおりですね、タイム良かったから。もうちょっと?それは欲張り(笑)」と、山下選手は逆転劇を振り返った。

 今季については「去年はシリーズ3位でしたし、まぁ、いいスタートでしたね。どうなることやら、やれることをやっていきます」と謙虚に語った。

山下猛選手(NPC東京ノートニスモ)は日産・ノートニスモSを操りCT5クラスを制し、表彰された。

CT6クラス

 CT6クラスでは、マツダ・ロードスターをドライブする石川仁士選手が優勝。「何年か前のロードスターN1レースには出ていましたけどね」と前置きした石川選手は、「このクルマで走ったのは2回目で、サーキットトライアルは今回初めてです」と、驚きの事実を明かした。

 更に石川選手はサートラデビュー戦の走りについて「全然ダメダメで、まだ仲良くないです、クルマと。それに他車との間隔のとり方とか、周りの方の走り方も全然分からないので、そのあたりが難しかったですね。基準が分からないので、これでいいのかも分からなくて、タイヤも分からない。何もかも初めてなので、これからです」と、優勝するも納得がいかない様子だった。

 それでも、同じくロードスターで挑んで2位を獲得した菊川和真選手に6秒以上の差をつけ、その上レコードも記録したのだから、サートラとクルマに慣れて納得の走りができた時が楽しみなニューカマーが登場した。

CT6クラスは石川仁士選手(SPEC-Dロードスター)がマツダ・ロードスターを駆ってサートラデビューウィンを達成した。
CT6の2位を得たのはロードスターで挑んだ菊川和真選手(Iceman NDロードスター、左)。近藤雅司選手(SPEC-D高知観光介護シティ)がホンダ・シティを操って3位を獲得した(右)。
CT6は左から、2位の菊川選手、優勝した石川選手、3位の近藤選手が表彰された。

フォト/遠藤樹弥 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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