2025年のスーパーフォーミュラは、太田格之進選手の年またぎ鈴鹿連勝で幕開け

レポート レース

2025年3月13日

2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権が三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開幕した。今シーズンは7大会中5大会で2レース制を採用し、開幕大会も第1戦と第2戦が行われる。その1戦目は、野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が記念すべき20回目のポールポジションを獲得するも、決勝レースでは昨年の最終大会で鈴鹿2連勝を飾った太田格之進選手が逆転でトップチェッカーを受け、年をまたいで鈴鹿での3連勝を達成した。

2025年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 第1戦
開催日:2025年3月7~9日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:GSS、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社

 今シーズンも3月に幕を開ける全日本スーパーフォーミュラ選手権。昨年、自身初のスーパーフォーミュラチャンピオンとなった坪井翔選手(VANTELIN TEAM TOM'S)がチーム体制そのままに2連覇を狙えるかに注目が集まる。

 その坪井選手と最後までチャンピオン争いを繰り広げた牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、野尻選手らも盤石の体制で坪井選手の2連覇を阻止すべく準備万端で立ち向かう構えだ。

 さらに今シーズンは海外ドライバーも増え、FIA F2で戦ってきたザック・オサリバン選手(KONDO RACING)、FIA世界耐久選手権(WEC)でハイパーカークラスに参戦していたオリバー・ラスムッセン選手(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)の2名が新たにスーパーフォーミュラにエントリー。

 また2022年にスーパーフォーミュラでランキング2位の成績を残したサッシャ・フェネストラズ選手(VANTELIN TEAM TOM'S)が3年ぶりに復帰することに。他にも全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権チャンピオンの小出峻選手(San-Ei Gen with B-Max)や、イゴール・オオムラ・フラガ選手(PONOS NAKAJIMA RACING)、スーパーGTで活躍する高星明誠選手(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)など、多様な顔ぶれが並ぶこととなった。

 なお、ラスムッセン選手は開幕を翌日に控えた7日の公式練習でクラッシュを喫し、大事を取って欠場に。代わって、野中誠太選手がITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPULの19号車をドライブすることが決定した。野中選手は今シーズン、小高一斗選手と平良響選手が所属する新規チーム、KDDI TGMGP TGR-DCのリザーブドライバーに登録されていたが、急遽別チームからのスーパーフォーミュラデビューを飾ることとなった。

今回スーパーフォーミュラデビューしたのは6名。ザック・オサリバン選手(KONDO RACING)は2024年FIA F2選手権シリーズ16位、オリバー・ラスムッセン選手(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)は2024年FIA WEC(ハイパーカー)シリーズ19位、野中誠太選手(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)は2024全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権シリーズ3位、高星明誠選手(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)は2024年スーパーGT(GT500クラス)シリーズ3位、小出峻選手(San-Ei Gen with B-Max)は2024年全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権チャンピオン、イゴール・オオムラ・フラガ選手(PONOS NAKAJIMA RACING)は2023年全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権シリーズ4位。
今季はサステナブル素材を大幅に増やした新スペックのタイヤが投入された。
決勝レース前にホームストレートで、日本レースプロモーションの近藤真彦取締役会長を始め、GTアソシエイションの坂東正明代表取締役社長やトヨタ自動車の豊田章男代表取締役会長 、JAFの野津真生専務理事などモータースポーツ関係者が会しオープニングセレモニーが開催された。
2025年全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ名誉総裁の瑶子女王殿下がお成りになり、坪井翔選手から瑶子女王杯が返還されるセレモニーも執り行われた。

予選

 8日は、前日の公式練習時よりも気温、路面温度ともにやや低い状況で予選がスタート。Q1のA組では岩佐歩夢選手(TEAM MUGEN)が、B組では野尻選手がセッショントップタイムをたたき出し、TEAM MUGENがライバル勢にリードする。2台はポールポジション(PP)争いのQ2に入っても優位を保ち、野尻選手と岩佐選手でセクターベストを奪い合いながらアタックを進めると、野尻選手が1分36秒505で岩佐選手を0.022秒上回ってPPを獲得した。野尻選手はこれで通算20回目のPP。スーパーフォーミュラとしては、前身のフォーミュラ・ニッポン時代から数えて本山哲氏(現San-Ei Gen with B-Max監督)が持つ最多PP記録に並んだ形となる。

 3番手には太田選手が、4番手には牧野選手がつけた。復帰参戦で注目されたフェネストラズ選手は、アタックラップでオーバーランを喫し、残念ながらQ2進出ならず。ルーキー勢では小出選手がQ2に進出し最上位の7番手を得た。

予選でのピットレーン。2レース制の増加に伴うレースフォーマットの変更により、ニュータイヤへの交換タイミングもレースの勝敗をより大きく左右することが予想される。
スーパーフォーミュラ開幕戦のポールポジション(PP)を獲得した野尻智紀選手(TEAM MUGEN)。

決勝

 迎えた決勝レースは、ポールシッターの野尻選手がややスタートで出遅れ、岩佐選手がトップに躍り出る。後方で三宅淳詞選手(ThreeBond Racing)がクラッシュを喫し、レースは早々にセーフティカー(SC)が導入。5周目にリスタートが切られるも、今度は10番手争いを繰り広げていた大湯都史樹選手(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)と小高一斗選手(KDDI TGMGP TGR-DC)がS字コーナーで接触し、2度目のSC導入となる。

 このSC導入中にタイヤ交換が可能になると、全車が一気にピットへとなだれ込み、ピットロードは一時騒然となった。それぞれがタイヤ交換を済ませてコースへと戻っていくが、上位を争っていた野尻選手と牧野選手はチームメイトのタイヤ交換作業をピットロードで待たなければならず、タイムロス。後方へと下がってしまうこととなった。

 全車のピット作業が終わると、トップは変わらず岩佐選手が守り、野尻選手が下がったことで太田選手が2番手に浮上。さらに牧野選手も後退したことで3番手には坪井選手、4番手には佐藤蓮選手(PONOS NAKAJIMA RACING)と続いた。13周目にリスタートが切られてレースが再開すると、直後の1コーナーで佐藤選手が坪井選手に仕掛け、S字コーナーでオーバーテイクに成功して3番手をもぎ取る。トップ争いも白熱し、この翌周の1コーナーで太田選手が岩佐選手をアウト側から豪快にオーバーテイクしトップに浮上した。

 すると、今度はシケインで平良響選手(KDDI TGMGP TGR-DC)と福住仁嶺選手(Kids com Team KCMG) が接触。コース上にストップしてしまった福住選手をよけきれずにフラガ選手が接触してしまうアクシデントが発生し、この日3度目のSC導入に。

 残り10周でレースが再開すると、再び太田選手と岩佐選手のトップ争いがヒートアップする。お互いにオーバーテイクシステム(OTS)を駆使し、一進一退の攻防が続いていたが、岩佐選手の猛追を何とか振り切った太田選手がトップチェッカーを受け、今季開幕戦のウィナーとなった。

 太田選手は昨年鈴鹿で行われた最終大会でも2連勝を飾っており、これで年をまたいでの鈴鹿3連勝を記録。岩佐選手は悔しい2位となった。3位にはリスタート後のチャンスをものにした佐藤選手が入り、2022年の第9戦以来、久々の表彰台獲得に。以下、坪井選手、小林可夢偉選手(Kids com Team KCMG)、阪口晴南選手(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)というトップ6となった。

開幕戦決勝のスタート。PPの野尻選手が出れ遅れ気味に。
2022年第9戦以来の表彰台となった佐藤蓮選手(PONOS NAKAJIMA RACING)が3位。
序盤の速さを活かせず悔しい2位となった岩佐歩夢選手(TEAM MUGEN)。
昨年から好相性の鈴鹿で3連勝となった太田格之進選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。
スーパーフォーミュラ開幕戦の表彰台。左から2位の岩佐選手、DOCOMO TEAM DANDELION RACING の村岡潔チームプリンシパル、1位の太田選手、3位の佐藤選手。
予選前の会場では、実車を使用したレスキュー訓練がオフィシャルらにより実施された。アクシデント時の救出方法や手順を参加者間で共有していた。

フォト/遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部

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