野尻智紀選手が2戦連続ポールポジションで最多記録を更新。決勝レースはチームメイト同士の好バトルを制した牧野任祐選手が今季初優勝
2025年3月14日

2レース制が採用された全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕大会。その2レース目もTEAM MUGENとDOCOMO TEAM DANDELION RACINGはライバル勢を圧倒した。予選では野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が2戦連続でポールポジションを獲得し、最多記録を更新。決勝レースではタイヤ交換のタイミングもはまった牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がコース上でチームメイトをオーバーテイクし、今季初勝利を飾った。
2025年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 第2戦
開催日:2025年3月7~9日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:GSS、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社
今シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権は、7大会中5大会で2レース制が採用されているが、2レース制の際には日曜日に行われるレースでは、「ピットウィンドウ」と呼ばれるタイヤ交換作業のタイミングの制限が取り払われることになった。スタートして1周目にタイヤを履き替え、ほぼレース距離全てを1つのタイヤで走り切ることも、戦況を見て中盤や終盤にピットに入ることも可能となり、戦略の幅が広がることでよりエキサイティングなレース展開を生み出そうという狙いだ。


予選
決勝を前に行われた予選では、前日の第1戦に続きTEAM MUGENとDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの2チームが速さを見せた。Q1のA組は、牧野選手が暫定トップに立っていた岩佐歩夢選手(TEAM MUGEN)を上回ってトップタイムで通過し、B組では野尻選手が2番手の佐藤蓮選手(PONOS NAKAJIMA RACING)を0.2秒近く突き放し圧倒的なタイムでトップ通過を果たす。
そしてQ2では、アタックラップでセクター1から他のドライバーを大きく突き放した野尻選手が1分36秒060をマーク。チームメイトの岩佐選手は、セクター4は野尻選手よりも速いタイムだったものの、1周では0.1秒野尻選手に及ばず2番手に。その後ろには前日の開幕戦で久々の表彰台を獲得していた佐藤選手が3番手につけていたが、ディフェンディングチャンピオンの坪井翔選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が好アタックで佐藤選手を上回り3番手を奪取。さらにその後、太田格之進選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が坪井選手のタイムを塗り替え3番手をもぎ取った。
結果、野尻選手はこれで通算21回目のポールポジション獲得。2番手は岩佐選手、3番手は太田選手で、第1戦予選と全く同じ顔ぶれのトップ3に。野尻選手が前日の雪辱を晴らしてポール・トゥ・ウィンを飾るのか、岩佐選手が悲願の初優勝を果たすのか、それとも勢いが止まらない太田選手が鈴鹿4連勝を達成するのか。さまざまな期待が膨らむ予選結果となった。

決勝
昼ごろには強い日差しもあり、このレースウィークで一番の陽気に。31周で争われる決勝レースは、またしても岩佐選手が好ダッシュを決めてトップで1コーナーを通過する。さらに予選5番手の牧野選手も3番手にポジションアップした。オープニングラップを終えると早速、野尻選手、太田選手、大嶋和也選手(docomo business ROOKIE)、福住仁嶺選手(Kids com Team KCMG)の4名がピットイン。大嶋選手はピット作業で福住選手をかわしてポジションアップに成功した。
2周目を終えたところで、今度は暫定トップの岩佐選手がピットイン。一足先にタイヤ交換を済ませた太田選手がコースに戻った岩佐選手に襲いかかるが、岩佐選手はこれを何とかしのいで事実上のトップをキープする。アウトラップを終えてタイヤにも熱が入った岩佐選手は、背後の太田選手をけん制しつつ、見た目上のトップを走行する牧野選手とのギャップを削りにいく。太田選手も岩佐選手を捕えようと勝負を仕掛けていくが、14周目のAstemoシケインで太田選手が止まり切れずオーバーラン。結果このシケインをショートカットする形で岩佐選手の前に出ることになった。
レースも折り返し地点を過ぎ、徐々に太田選手と牧野選手の差が縮まり始める。太田選手のペースアップを読んだか、20周目を終えたところで牧野選手がピットイン。太田選手の前でコース復帰に成功するが、コールドタイヤでの防戦は叶わず、NIPPOコーナーで逆転を許し、太田選手は事実上のトップ奪還に成功した。21周を終えたところで佐藤選手がピットインし、これで全車のタイヤ交換が完了。
太田選手、牧野選手のトップ2の後ろには、牧野選手と同じタイミングでピットインを行った坪井選手が続き、岩佐選手は4番手に後退していた。名実ともにトップに立った太田選手は牧野選手を引き離したいところだったが、タイヤ交換を済ませたばかりでマージンを持っている牧野選手はファステストラップを塗り替えながら太田選手に近づいていき、24周目の130Rで逆転。再びトップに躍り出た。
28周目に、ザック・オサリバン選手(KONDO RACING)と野中誠太選手(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)の2台が2コーナーで接触。前日の第1戦に比べてクリーンなレースが続いていた第2戦だったが、ここでセーフティカー(SC)が導入される。残り4周でのSC導入で、レースはそのままフィニッシュ。牧野選手、太田選手、坪井選手、岩佐選手の順でチェッカーを受けたが、太田選手は14周目のシケインショートカットでの順位変動に対して決勝結果に5秒加算されるペナルティが科され、結果は12位に。坪井選手が2位、岩佐選手が3位に繰り上がることとなった。
牧野選手は昨年の第2戦オートポリス大会でスーパーフォーミュラ初優勝を飾って以来、通算3勝目。2位の坪井選手も今季初表彰台で、ホンダ勢が上位を占める中ディフェンディングチャンピオンの意地を見せた。3位の岩佐選手は2戦連続の表彰台獲得で、ポイントランキングではトップに立ち、2番手の坪井選手とは7ポイント差をつけている。




フォト/遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部