KeePer CERUMO GR Supraがチーム6年ぶりの優勝!GT300はファイナルラップにまさかの結末!

レポート レース

2025年5月9日

スーパーGTシリーズ第2戦は恒例ゴールデンウィークの富士大会。搬入日の5月2日は嵐のような天候に見舞われたが、3日は朝から快晴となり2日間で8万2,500人の観客を集めた。

2025 SUPER GT Round2 FUJI GT 3Hours RACE
開催日:2025年5月2~4日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C、株式会社GTアソシエイション

 3時間のセミ耐久レースは、GT500クラスのKeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹組)がポール・トゥ・ウィンで丸6年ぶりの優勝を遂げた。GT300クラスではファイナルラップにトップのSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)がまさかのストップ。最後列27番手から追い上げたUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン組)が26台抜きのトップチェッカーを受け、フェラーリ296 GT3のスーパーGTでの初優勝を飾った。

予選日とレース日は天候に恵まれ、コースサイドのテントでアウトドアを満喫しながら応援する家族連れも多かった。
2回のピットストップが義務となっていることが、各チームのレース戦術に大きな影響を与えている。

予選

 前日の嵐のような天候が嘘のように晴れ渡った富士スピードウェイ。富士山も美しい姿を見せ、会場は前日からの泊まり組を含め朝早くから3万人を超える多くのファンで賑わった。公式予選は気温20度、路面温度32度の14時30分にスタートした。

 GT500クラスではKeePer CERUMO GR Supraの大湯選手がポールポジションを獲得し、WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南/小高一斗組)が2番手となり、スープラがフロントローに並んだ。3番手はARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮組)、4番手にはARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治組)で2列目にはシビックが並び、5番手に日産勢最高位のNiterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞組)、6番手にDeloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組)という順となった。

 GT300クラスでは、D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ組)が、昨年第3戦鈴鹿以来のポールポジションを獲得。通算ポールポジション最多記録の獲得を狙ったSUBARU BRZ R&D SPORTの山内選手は0.062秒差で2番手となり、ダンロップタイヤユーザーがフロントローを占めた。3番手には、このレースがデビュー戦となったCARGUY FERRARI 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗/澤圭太組)がつけ、以下、マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(塩津佑介/木村偉織組)、PONOS FERRARI 296(ケイ・コッツォリーノ/篠原拓朗組)、HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/平良響/卜部和久組)と続いた。

GT500クラスでポールポジションを獲得したのはKeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹組)で、GT300クラスはD'station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ組)。

決勝

GT500クラス

 決勝レースは晴れ、気温24度、路面温度38度というコンディションの14時18分にスタートが切られた。スタートで大きな混乱はなかったが、8番手スタートのDENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組)の関口選手が、オープニングラップで2台をかわし、さらに4周目には5番手に順位を上げた。トップを守ったKeePer CERUMO GR Supraの大湯選手は、早くも9周目にはGT300車両全車をラップ遅れにして快走を続け、12周目には2番手のWedsSport ADVAN GR Supraに7.6秒差と独走態勢に持ち込んだ。

 20周目にGT300車両が1コーナー先でストップしたことで、5分間フルコースイエロー(FCY)が導入された。その解除直後に昨年のチャンピオンau TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太組)が6番手へ順位を上げた。27周で4番手のARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8が早めの1回目のピットイン。この背後にいたDENSO KOBELCO SARD GR Supraは32周目にARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16を、35周目にWedsSport ADVAN GR Supraをかわして2番手まで順位を上げた。

 スタートから1時間を迎えようとする36周目からルーティンのピットインをする車両が出始め、2番手を20秒以上引き離していたトップのKeePer CERUMO GR Supraも40周でピットイン。44周で全車が1回目のピットインを済ませると、KeePer CERUMO GR Supraと2番手のARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8との差は9秒近くに縮まっていたが、大湯選手が野尻選手を徐々に引き離していった。

 そこからやや離れて3番手を、au TOM’S GR Supraの山下選手とNiterra MOTUL Zの三宅選手が争っていたが、ここにDeloitte TOM’S GR Supraの笹原選手、TRS IMPUL with SDG Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)の平峰選手が追いついた。

 スタートから2時間を迎える手前の72周で、トップのKeePer CERUMO GR Supraと22.5秒差で2番手のARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8がピットイン。85周で全車が義務付けられた2回目のピット作業を終えると、KeePer CERUMO GR Supraと2番手に順位を上げたau TOM’S GR Supraとの差は34秒にまで広がっていた。

 レース終盤の98周目に3番手のTRS IMPUL with SDG Zの平峰選手にSTANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐組)の牧野選手が追いつき、106周目のダンロップコーナーで逆転。平峰選手もGRスープラコーナーまで再逆転を狙ったが、勝負はそこまでだった。KeePer CERUMO GR Supraは3時間を経過した116周でトップチェッカー。2位はau TOM’S GR Supraでスープラがワンツーフィニッシュを飾った。3位はSTANLEY CIVIC TYPE R-GTで、以下TRS IMPUL with SDG Z、DENSO KOBELCO SARD GR Supra、ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺組)の順でゴールとなった。

GT500クラス優勝はKeePer CERUMO GR Supra(石浦/大湯組)
2位はau TOM'S GR Supra(坪井翔/山下健太組)、3位はSTANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐組)。
GT500クラス表彰の各選手。

GT300クラス

 28台が争ったGT300クラスでは、2周目の1コーナーで複数台の接触があり混乱。さらに19周目の1コーナーでも接触があり、1台がストップしたことでFCY導入となった。5分後にFCYは解除となりバトルが再開されたが、この時点で6番手に順位を上げていたのはUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI。予選時にはターボのブーストが上がらず最後列の27番グリッドにとどまったが、決勝では本来持つパフォーマンスを発揮してメリ選手が一気に順位を上げていた。

 25周を終えてトップはD’station Vantage GT3で、1.2秒後方にSUBARU BRZ R&D SPORT、さらにその5.2秒後方にCARGUY FERRARI 296 GT3、UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI、HYPER WATER INGING GR86 GTという順になっていた。

 27周で3番手のCARGUY FERRARI 296 GT3が早めのピットイン。スタートから1時間を迎えようという32周でトップのD’station Vantage GT3と3番手のUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIがルーティンのピット作業を行うと、34周でSUBARU BRZ R&D SPORTがピットイン。これでHYPER WATER INGING GR86 GTの平良選手が暫定トップに浮上した。

 平良選手が42周まで引っ張ってピットインすると、FCY導入直前に最初のピットを終えていたPONOS FERRARI 296がトップに立った。しかしここにD’station Vantage GT3の藤井選手が追いつき、52周目に入る直前のストレートでトップを奪い返したが、55周目に左リヤタイヤがバーストして予定外のピットインを余儀なくされた。

 これで54周目にPONOS FERRARI 296をかわしていたSUBARU BRZ R&D SPORTが、難なくトップに立つことになった。レースも2時間経過という69周でトップのSUBARU BRZ R&D SPORT、70周目にUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIがピットインすると、最初のスティントを長めに走ったHYPER WATER INGING GR86 GTの堤選手がトップに立った。74周目の時点で2番手のD’station Vantage GT3との差は33.6秒あり、そこから7.8秒後方には3番手のSUBARU BRZ R&D SPORT、さらにはUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIが続いていた。

 86周でHYPER WATER INGING GR86 GTが2回目のピットインを行うと、D’station Vantage GT3が危なげなくトップを取り戻した。しかし中盤にタイヤバーストのために予定より早めにピットインしていたことで燃料が足りず、残り12分となった99周でピットインして給油。順位を3番手に落とすことになった。これでSUBARU BRZ R&D SPORTがトップに立つ。

 レースは3時間を経過してSUBARU BRZ R&D SPORTがファイナルラップに入った。しかしヘアピンを立ち上がった場所でエンジンルームから白煙が上がり、マシンはスローダウンし井口選手はストップ。その脇を駆け抜けたUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIが歓喜のトップチェッカーを受けた。フェラーリ296 GT3はスーパーGT初優勝だった。

 2位はD’station Vantage GT3。3位はCARGUY FERRARI 296 GT3だったものの、2回目のピット時に作業をしたスタッフが1名多く、レース結果に10秒加算のペナルティを受けて4位に。この結果3位はHYPER WATER INGING GR86 GTが繰り上がることになった。5位はLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟/黒澤治樹組)、6位はPONOS FERRARI 296で、フェラーリ296 GT3がトップ6のうち3台を占めた。7位はリアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(平手晃平/金丸ユウ組)で、SUBARU BRZ R&D SPORTは8位だった。

GT300クラス優勝はUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン組)。
2位はD'station Vantage GT3(藤井/ファグ組)、3位はHYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/平良響/卜部和久組)。
GT300クラス表彰の各選手。暫定3位のザック・オサリバン/小林利徠斗/澤圭太組はペナルティにより4位へ降格。

フォト/石原康[Yasushi ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、吉見幸夫[Yukio YOSHIMI] レポート/皆越和也[Kazuya MINAKOSHI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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