中部ジムカーナ第6戦PN2、島倉正利選手が背水の陣からの逆転で二連覇確定!!
2025年7月23日
3戦行われるキョウセイドライバーランドを中心に美浜サーキットクニモト、JAF全日本ジムカーナ選手権も開催される奥伊吹モーターパークと鈴鹿サーキット南コース、そしてイオックスアローザスポーツランドと、多彩なコースで争われる2025年JAF中部ジムカーナ選手権。ここまで7戦中5戦を戦い、早くもチャンピオンを確定させたのは、PN1クラスの岡直輝選手のみ。前年ランキング上位のスラローマーたちが背負うシードゼッケン勢を押しのけて、若手の台頭が著しいシーズンとなっている。
2025年JAF中部ジムカーナ選手権 第6戦
JMRC中部ジムカーナ選手権 第6戦
JMRC全国オールスター選抜 第6戦
リミットハイスピードジムカーナ
開催日:2025年7月13日
開催地:キョウセイドライバーランド(愛知県岡崎市)
主催:LIMIT
最終第7戦を控えた第6戦が争われるのは、このシリーズの主戦場であるキョウセイ。自動車教習所を利用していることからも、非常に多彩なレイアウトをつくれることが特徴だ。また、経年劣化によって路面が荒れてきていることもあり、絶対に新品タイヤが有利なイオックスでの最終戦を前に新品タイヤを投入するか否かも、勝負を分ける選択肢となる。
今回の一戦のレイアウトを設定した一人である、太田英男コース委員長は「大会名の『リミットハイスピードジムカーナ』の名に恥じないように、ハイスピードセクションを楽しんでもらえるコース設定を心がけました。特に、横Gがかかりながら外周に飛び出していくところや、3速全開からのブレーキングで一気に向きを変えるセクションなど、パイロンセクションとバランスをとったコースです」と、レイアウトの意図を語った。
今回の一戦を主催する愛知県のJAF加盟クラブ、チーム.リミット(LIMIT)の代表で、組織委員長と競技長を務める平山和博氏は「特に最初の右が重要です! ここで次のパイロンに対してどう姿勢をつくるかで、前半セクションのリズムが決まってしまいます。もちろん、最初だけで決まらないように、後半セクションにもタイムを取り返すテクニカルセクションを用意してあります。でも、最初の右が勝負どころですね」と、設定を分析した。
猛暑が続く7月たが、1ヒートが行われた午前中は時折日差しが射すものの、気温は25℃とベストコンディション。しかし、午後早くに太陽を隠す雲がなくなると、一時は35℃まで気温が上昇。
LIMITでは熱中症対策として、気化熱で温度を下げる高機能冷感タオルを全オフィシャルに配布。更に、コースオフィシャルのために10分間のクーリングタイムを設け、ポストから日陰まで車両で送迎する対応も実施。猛暑の中で立ち続ける、競技会を支える側のサポートも手厚く行われた。
2025年JAF中部ジムカーナ選手権 第6戦
ATクラス
ATクラスは四国地区でトヨタ・プリウスを駆って戦う、鎌田孝選手から参戦の連絡を受けた妖怪J清本選手が、中部地区のスラローマーへの声かけで成立となった。遠く徳島県からやってきた鎌田選手は一番ゼッケン。キョウセイ独特の、スタート前の坂から観客やエントラントに見つめられる緊張感の中、スタートした。
鎌田選手は戦闘力が劣る車両でもコースをしっかりトレース。続く清本選手が早々にそのタイムを抜きにかかるが、BMW・M135i xDriveを駆る若原淳選手が二人を大きく上回るタイムで1ヒートを掌握する。2ヒートではタイムアップが続くが、鎌田選手も清本選手もトップタイムを上回ることができず、若原選手が鈴鹿南での前戦で挙げた地区戦デビューウィンに続く二連勝を手にした。
「1本目もそれなりに走れて、2本目はきちんとシフトを選んで走ったのが良かったですね。地区戦は鈴鹿で初めて参戦しました。BMWでジムカーナはとっても楽しいです。306馬力あるので直線も速いですし! 来年は成立するなら、地区戦も東海シリーズも参戦したいと思っています」と、2026シーズンへの意気込みも見せた。
PN1クラス
5戦全勝中の岡選手を中心に争っているPN1。2024年JAF九州ジムカーナ選手権PN1クラスのチャンピオンカーを手にした岡選手の無双状態は、第6戦も変わらないかと思われた。しかし、全勝チャンピオン確定を狙う緊張感からか、岡選手は1ヒートでまさかのパイロンペナルティを犯して4番手に留まることに。
勝負の2ヒート、トップの加田充選手は岡選手にプレッシャーをかけて、勝利を手繰り寄せたいところ。しかし、パイロンセクションで遅れをとったのかタイムダウン……。続く2番手の渋谷達也選手もダブルパイロンペナルティでベストタイム更新ならず。
これで一気に楽になったのは、クラス最終ゼッケンの岡選手。1ヒートのミスを繰り返さないようにパイロンと十分な距離をとるが、車速は落とさない。ローパワーのトヨタ・ヤリスを上手くいなしながら荷重を左右にかけていく。スムーズなパイロンワークは全日本でも通用すると思わせるほどだ。
岡選手の2ヒートは、加田選手を1秒以上突き放す1分23秒台! 見事優勝を手にして、既に確定させているチャンピオンに恥じない走りを見せた。「1本目はちょっと自分でも攻め過ぎちゃいましたね。最後のターン、リアタイヤでパイロンの淵を踏んでしまいました。2本目はパイロンのマージンと、中盤の中高速コーナーをコンパクトにしてクリッピング(ポイント)につくように走ったんですが、思ったよりクリップにつけませんでした。今日の走りは80点くらい。まだちょっと納得はできません」と、岡選手は快勝にも、反省を忘れなかった。
「今年は車両が変わったことよりも、タイヤメーカーを変えたことの方がアジャストするのに大変でした。グリップが高くなりすぎて難しいですね。今年はとにかく順調にきていて、開幕戦と第2戦が一番大変でしたが、ちゃんとチャンピオン獲れたのは本当に嬉しいです。来年は全日本選手権を主体に考えています」
PN2クラス
PN2クラスは、若手とベテランが入り混じっての大激戦を繰り広げている。今回の一戦には17選手が挑んだ。近畿地区の全日本スラローマー、古田公保選手が第3戦と第5戦にスポット参戦したことで王座争いは混沌さが増した。その中でも、常に安定した走りを見せたディフェンディングチャンピオン、島倉正利選手が二連覇確定に王手をかけている。
しかし、二連覇のプレッシャーからか1ヒートで島倉選手はまさかのパイロンペナルティ……。PN1のデジャブを見ているような展開にキョウセイはザワついた。トップタイムは1分21秒956をマークした近畿勢の前田忍選手。ランキング2番手につける本家智久選手が2番手で追いかける展開だ。
最終第7戦まで王座争いを持ち越したい本家選手だったが、勝負の2ヒートはまさかの展開になる。前田忍選手がタイムダウンを喫し、ここでトップタイムを更新したい本家選手だったが、前田忍選手にはわずか0.028秒届かず2番手のまま。前田清隆選手をはじめ続くシードゼッケン勢もベストを更新するものの、トップタイムには届かない。この時点で1秒以内に6選手が名を連ねる状況だ。
大混戦の中、最終ゼッケンの島倉選手がスタートを切り、最初のシケインへの進入から鋭くカットインしていく。コース中央に配されたパイロンには余裕をもってアプローチするものの、後半セクションに進むにつれてパイロンとの距離はどんどん狭まり、精度も上がってくる。一瞬、フロントを逃がす場面も見られたが、ボトムスピードを意識した走りでフィニッシュ、0.028秒差でトップタイムを更新した。
超接近戦を制した島倉選手が今季3勝目を勝ち獲り見事、二連覇を確定してみせた。「第1ヒートは組み立てが凄く良かったですが、ペナルティで沈んでしまいました。スタートしてすぐの規制で触ってしまったみたいです。2本目は路面温度が上がったことと、タイムが残せていなかったこともあって、1本目のコンマ5(秒)落ちで走れればいいと思ったんですが、シェルコーナー前のターン入口でリアが流れてしまったのが悔やまれます。最近1本目のパイロンタッチが多いんで、きちんと3位以内に入れるように最終戦も頑張ります」と、二連覇を確定させたものの、走りを反省していた。
一方、敗れた前田忍選手は「走り込みが足りませんね! この季節の温度と路面へのアジャストができませんでした。前半のセクションで島倉さんにコンマ8も持っていかれてしまっているので、ちょっと厳しかったですね。ただ、後半で取り返せていた部分もあったので、それはとても良かったと思います。ここまで島倉さんについていけて良かったです」と、敗因を分析した。
「今年は色々とありました。特に今まで勝ったことがないキョウセイで開幕戦から勝てたのが、ターニングポイントだったと思います。仕事柄、全日本は追えないのでスポットで参戦することになると思いますが、来年も中部で若手を潰せるように頑張ります(笑)。今年は本家君の伸びしろが凄かったので(笑)。また、関東から中部に帰ってくるメンバーもいるみたいなので、負けないように頑張ります!」
PN3クラス
PN3クラスは、2024シーズン全日本PN3クラス王者の大多和健人選手がスポット参戦ながらビッグポイントを奪い、王座争いが混迷を極めている。昨季は好調だった、ディフェンディングチャンピオンの森嶋昭時選手はここまで一つも勝ち星を挙げられていない。一方、昨季は未勝利ながらもランキング3位に食い込んだ、田村直選手が台頭して2勝を勝ち獲り、大多和選手と王座争いを繰り広げている。マツダ・ロードスターRF、ZN8型GR86/ZD8型スバルBRZ、そしてスズキ・スイフトスポーツによる戦いも終盤戦を迎えた。
24選手ものエントリーを集めたPN3の1ヒートは、ゼッケン順に順当にタイムは上がっていき、1分22秒台前半の勝負になるかと思われた。しかし、最初に1分22秒の壁を破ったのは中盤ゼッケンの菅沼隆一選手だった。常に横Gがかかる今回の一戦のレイアウトでは、最短距離でもボトムスピードをキープできるロードスターRF勢に分があるのは明白だ。
ロードスターRF勢の一角である大多和選手も、ギリギリのパイロンワークを見せるが危なげない走りを披露。更にトップタイムを伸ばし、驚愕の1分20秒218を叩き出す。シード組も黙ってはいられない。ランキングトップのスイフト使い、田村選手が1分21秒6を記録するも大多和選手には及ばない。そこに、ロードスターRF勢の安仲慶祐選手が割って入った。
勝負の2ヒートになるかと思われたが、PN3辺りから路面温度の上がり幅が大きくなる。照り返しがキツいアスファルトは、タイヤにも厳しい状況だ。フロントタイヤのグリップに苦しむスラローマーもいれば、リアタイヤを空転させてしまうスラローマーも多く、タイムダウンの傾向が出始める。
1ヒートでトップ6に入った菅沼選手もパイロンペナルティを犯したが、ペナルティがなくてもベストを更新できず。それはターゲットタイムを樹立した大多和選手も例外ではなかった。大きくタイムを落としてしまい、後続の結果待ちとなる。クラスのラスト3を飾るシード勢に注目が集まったが、安仲選手は約0.3秒タイムを落とし、ランキングトップの田村選手も約0.15秒タイムダウン。森嶋選手はパイロンペナルティに泣き4位は変わらず。この結果、大多和選手が逃げ切って勝利を手にした。
「前日練習出ていなかったので(1ヒートは)探り探りの走りになったんですが、それでもまずまずの走りでした。ブレーキを踏むとオーバー(ステア)になる傾向があったんですが、それが向きを変えられて良かったのかもしれません。2本目はその症状を修正するためにセットをガラッと変えていったんですが、それが仇になってしまった感じです」と、大多和選手は2ヒートでの不調の原因を明かした。
続けて「次のイオックスは元々出る予定ではなかったんですが、迷っています。イオックスならば車両の差も出ないと思うので、面白い戦いになるかもしれませんね」と、王座を睨んだ参戦計画を迷っている様子だった。
一方、最終戦に王座争いを長引かせてしまった田村選手は「第1ヒートからギア比をミスしてしまったりと、目論見が間違っていましたね。第2ヒートは路面温度が高いことと、自分の気持ちがいき過ぎていたところとか、少しフロントを逃がしてしまいましたね。2本目の走りを1本目でちゃんとできてれば……、という感じです。最終戦も頑張ります!」と、反省しつつも最終決戦に目を向けていた。
田村選手と大多和選手の有効ポイント差はわずか7ポイント。田村選手は最終戦で優勝しても加算は8点。一方の大多和選手はすでに2戦欠場のため、純粋に獲得したポイントが加算となる。イオックスでの最終決戦は、その路面をいち早く捕らえた方に勝利の女神がほほ笑む。どちらがチャンピオンを確定させるのか、注目だ。
PN4クラス
ZN6型トヨタ86とZC6型BRZで争われているPN4クラスの1ヒートでトップタイムをマークしたのは、胸元貴大選手。王座争いを繰り広げている深谷宏幸選手と則包壮大選手は、ともにパイロンペナルティに泣いて下位に沈んだ。
両選手とも、このままでは終われない2ヒート。しかし、PN3と同じくタイムアップには厳しいコンディションとなった。1ヒートのトップ3、胸元選手と鈴木省三選手、廣濱佳和選手は軒並みタイムダウン。ここでタイムを上げられなければ、王座争いが終わってしまう則包選手は渾身のアタックで1分23秒76を記録し、一気にターゲットタイムを押し上げることに成功する。
しかし、黙っていなかったのはここまで3勝を挙げている、ランキングトップの深谷選手。後半のターンセクションでは、一筆書きのようなスムーズなラインをトレース。則包選手を1.183秒下す強烈なタイムで、チャンピオン確定となる三連勝を決めた。
深谷選手は自身の走りを「1本目どこ触ったか分からなかったんですが、たぶん2コーナーの規制を踏んでしまったので、2本目はそこを修正しました。あとは車速をのせられるラインを上手く取れたのも、タイムを上げられたポイントかもしれません。山の裏をしっかり踏み切れたのが良かったです」と、振り返った。
一方、2位に終わった則包選手は「まだはっきりしていないところもありますが、1秒近く差があったので根本的なところが違うのかもしれませんね。僕の方がシリーズ的に後はなかったので、思いっきり行くだけでした。もっと基礎的な練習をしないとダメですね」と悔しさを滲ませた。
「チャンピオン争いをしている二人でパイロンタッチをしてしまいました(笑) 。則包選手も僕が失敗した時にちゃんといかなきゃいけない、と言ってましたね。7年ぶりの公式戦で、開幕戦は精神的にも厳しかったですが、大雨の第2戦できちんと優勝できて気分的にノレたのがとても良かったです。チャンピオンを獲れて良かったです」
PN5クラス
毎戦のように勝者が入れ替わるPN5クラスは、進化型GRヤリスが参戦を始めて更なる混戦となりそうだ。2勝を挙げている高木健司選手が王座争いをリードし、1勝を分け合っている大前尚史選手とシードゼッケン勢の杉本季優選手が追いかける。
1ヒートはやはり、高木選手が主導権を握ることになった。多くのスラローマーが1分21秒台に留まる中、大前選手がいち早く1分20秒台へとターゲットタイムを押し上げた。しかし、その直後に走行した高木選手が大前選手を約0.5秒かわしてトップに立ち、折り返した。
運命の2ヒートで伏兵が現れる。小山タケシ選手が高木選手を0.202秒差でかわす、1分20秒286をマークしてトップに立つ。バッドコンディションの中でのタイムアップに、キョウセイからは歓声があがった。大前選手はベストは更新するものの、高木選手のタイムには及ばず、3番手のまま。高木選手に至っては、パイロンペナルティで沈んでしまう。そして、ディフェンディングチャンピオンの杉本選手はタイムアップならず4位。小山選手が優勝を果たし、2位の高木選手は王座争いで大前選手を突き放す、15ポイントを手にした。
小山選手は、「1本目はとにかくダメでした。これじゃダメだと思い、とにかく踏んでいって、後は何か起きてから対処しよう、と思って走ったのが良かったですね。最後のスラロームだけ、しっかり止めることを考えていきました。シリーズはトップ争いから外れているので、JAFカップと西日本フェスを目標に最終戦も頑張ります。じんわりと地区戦初優勝を喜びます」と笑顔で答えた。
B・SC1クラス
ここまで2勝を挙げている鈴木教史選手と渡辺信吾選手の二人に、稲岡凌平選手が絡んで王座争いを繰り広げているB・SC1クラス。3選手ともに有効ポイントでは捨てポイントが多く、最終戦まで混迷を極めそうな展開だ。
イオックスでの最終決戦を前にビッグポイントを獲得したい3選手だったが、意外な初手をとったのは渡辺信吾選手とダブルエントリーする横山和彦選手だった。「先輩から借りてエントリーしています!」と、オーナーを差しおいてトップタイムを記録する。一方、王座を争う3選手は鈴木教史選手が横山選手に並ぶ1分20秒台を記録し2番手につけ、稲岡選手が続いた。
2ヒートでは空が曇ると一気に気温が下がる中、路面温度も下がり始める。PN5と同様、タイムアップに期待がかかると、実践してみせたのも横山選手だった。1ヒートを0.192秒上回る、1分20秒006をマークする。鈴木教史選手もタイムアップしたものの、0.13秒足らず2番手は変わらず。
渡辺信吾選手は横山選手が使った、熱の入ったタイヤで苦しみながらのタイムメイク。それでも1ヒートからの修正をこなし、3番手に飛び込んだ。この結果、優勝は横山選手、鈴木教史選手が2位に入り王座争いで優位に立った。一方、勝利を挙げればグッとチャンピオン確定が近づいた稲岡選手は、5位に終わった。
勝利を手にした横山選手は、「1本目は前半のパイロンセクションでミスが多くて、だいぶ遅くなってしまっていました。でも、2本目もタイムを上げられて良かったです。8年ぶりの優勝でとても嬉しいですね。先輩とWエントリーを続けさせてもらって、タイヤも新品タイヤも僕が使わせてもらえてありがたい限りです。若い子がどんどん伸びていくのがちょっと悔しかったんですが、とにかく嬉しいです。先輩にはとにかくありがとうございます、しか言えません」と、久しぶりの勝利の美酒に酔いしれていた。
B・SC2クラス
2024シーズンから活動の主軸をラリーに移し、JAF全日本ラリー選手権JN2クラスに併設のMORIZO CHALLENGE CUP主体に挑む最上佳樹選手が参戦したB・SC2クラス。王座争いは2勝ずつ挙げている、水谷琢志選手と近藤瑛貴選手の一騎討ちとなっている。
1ヒートはやはり最上選手が頭ひとつ抜け出す展開。ベテランの隅田敏昭選手が追いかけるも、1秒以上の差をつけられてしまう。近藤選手不在の中、ここで勝負を決めたい水谷選手だったが3番手。なんとか最上選手をかわし、最終戦を前にチャンピオンを確定したいところだ。
各スラローマーの思惑がうごめく中、2ヒートが始まった。路面温度が下がったのか、徐々にタイムアップする選手が多く目立つようになってくる。隅田選手も自身のベストを押し上げるもトップタイムには届かない。一方、水谷選手はまさかのタイムダウン。5番手まで順位を落としてしまう。
圧巻だったのは最終ゼッケンとなった最上選手の全日本レベルの走りで、ブレーキングのシビアさで圧倒的な差を見せつける。特にフルターン直前のブレーキングには鬼気迫るものを感じるほどだ。2ヒートでは自身のタイムを更に約1秒上げることに成功し、2位に約1.5秒の大差をつけての勝利となった。
「今はラリーの隙間の練習で、ジムカーナを走らせている感じです。キョウセイはクルマ的にも自分の走り的にも好きなコースなので、しっかりタイムを残す走りができたのが良かったです。1本目サイドターンを使い過ぎたので、そこを修正しました」と、最上選手は走りを振り返った。
続けて「ラリーは(全日本第4戦)モントレーで、ようやくタイムを出せるようになってきた感じはするんですが、ジムカーナでもサーキットでもダートラでも練習できる場所でしっかり走り込みをして、10月の(第7戦)久万高原に臨みたいと思います」と今後の活動についても語った。
一方、タイトルがかかっていた水谷選手は「自分に負けました。最後までタイムが上がる確信はあったんですが、ギアが入っているか不安になってしまい、ギアを抜いて入れ直した時点で勝負権を失ってしまいました。夏場に対してブレーキバランスを変えたのが、不安を残してしまったのも良くなかったかもしれません」と、反省しきりだった。
B・SC3クラス
B・SC3クラスには、2024年JAF近畿ジムカーナ選手権BC2クラス王者の岩崎玲生選手が参戦してきたことで、勢力図が大きく変わった。地元勢、ホンダS2000を操るトミーアルパカ選手とトヨタMR2を駆る岩崎選手が、2勝を分け合っている。
1ヒートで先手を奪ったのは両選手ではなく、今季はまだ未勝利のシード勢、ロータス・エリーゼをドライブする中田博信選手だった。昨季、悲願の地区戦初優勝を果たした「リミットハイスピードジムカーナ」の舞台で一人1分18秒台を記録し、2番手の前島孝光選手に1秒以上の差をつけた。
中田選手がリミット二連覇か、という空気感に包まれるキョウセイだったがそれを許さじと、王座を争う二人が挑む。まずは、岩崎選手がMR2の特性を最大限生かした、ターンの立ち上がりと安定性を見せる。縦引きサイドブレーキで、苦手だったターンをしっかりと回せるようになった自信が走りに現れる。しかし、それでもトップタイムには及ばない。
トミーアルパカ選手は、1ヒートで犯したミスをしっかり修正。とにかくクルマを止めない走りで高速セクションを駆け抜け、中田選手のタイムを奪いにいく。MRのエリーゼと比較して、FRのS2000がターンセクションで失うタイムは左右の切り返しで稼ぐと、ターゲットタイムをわずか0.002秒更新する1分18秒573をマーク! トップタイムを意識し過ぎたか、中田選手はタイムダウンを喫してしまい、2位どまり。
待望の今季3勝目を手にして、トミーアルパカ選手には一気にチャンピオン確定が近づいた。「前戦で壊してしまったLSDを新しくして昨日初めて使ったんですが、まだフィーリングが掴めていなかったです。外周に入るところと、山側の内側に入っていくところで、車速を落とし過ぎてしまい遅かったですね。2本目はそこを修正してタイムを上げられて良かったです。最終戦も頑張ります! 去年のイオックスは全戦勝っているので、きちんと走れば勝てると信じています」と、圧倒的に有利な条件で臨む最終戦に向けて意気込んだ。
一方、3位に終わった岩崎選手は「最終戦は『アルパカ対岩爺』という感じになりましたね(笑)。ゴールデンウィークに陸事(近畿運輸局の京都運輸支局)に行って構造変更をして(サイドブレーキの)レバー比を変えてきたんですが、それがまだ煮詰めきれていないこともあります。細かい味付けがまだまだ足りないです。最近、近畿がちょっと寂しいんで中部に来たんですが、そこそこ絡めて嬉しいです。最終戦は車両を体の一部のように操れるように走りたいですね」と、ベテランらしく冷静にコメント。この二人の最終決戦にも注目したい。
B・SC4クラス
B・SC4クラスは全日本経験者がずらりと顔を揃える、豪華なメンバーで争われている。今季は毎戦勝者が入れ替わる大混戦で、チャンピオン確定の可能性を持つスラローマーは5名。誰もが今季2勝目を狙って今回の一戦を迎えた。
その中でライバルたちを引き離す、圧巻の走りを見せたのは松尾勝規選手だった。1ヒートから一人1分17秒台を記録し、岡部隆市選手と0.041秒差でトップに立つ。2ヒートに入りタイムアップ合戦が期待されたが、パイロンペナルティで沈むスラローマーが続出。
誰も松尾選手のターゲットタイムを抜けないまま、本人がスタートを切ったが、ターンセクションで詰まってタイムダウン。ディフェンディングチャンピオンの鳥居孝成選手が不出走となってしまい、勝負は決着。松尾選手が開幕第1戦以来の今季2勝目を手にし、最終戦に臨むことになった。
「ショックオーバーホールをなんか思い立ってしたものの、やって良かったです(笑)。昨日の練習会も出ずに街乗りしただけだったんですが、とにかく結果が出て良かったです。1本目はクルマが跳ねて前に進みづらかったんですが、2本目に跳ねが収束してくれたのは良かったんですが、タイム的には思わしくなかったですね。アクセルの踏み方なのか、ラインの問題なのか…… ?」と、松尾選手は明かした。
続けてチャンピオン確定を賭ける最終戦については、「西田(哲弘)選手がしっかりくるだろうと思うので、その中で何位になるかの勝負だと思います。(イオックスは)自分の得意なところが少ないコースなのですが、変わらずクルマのチェックだけして出場できればいいなと思います」と平常心で語った。
Dクラス
D車両が競う、中部地区戦の最高峰がDクラス。長年王者として君臨してきた佐藤宗嗣選手が2勝、同じ車両をシェアしてWエントリーする岸正隆選手が3勝を挙げている。ランキングで遅れをとっているが、オーナーとしても負けるわけにはいかない佐藤選手にとって、ここ第6戦は絶対に落とせない一戦となった。
しかし、佐藤選手は1ヒートでパイロンペナルティ。安定した走りでフィニッシュした岸選手がトップを奪う。2ヒートに入り、岸選手は更にトップタイムを押し上げて、佐藤選手にプレッシャーをかけることに成功する。それでも、最高峰クラスのトップに立ち続けてきた佐藤選手はプレッシャーに押しつぶされることなく、D車両の特長を活かしたメリハリある走りを披露。1ヒートの汚名を返上する1分18秒342を叩き出し、岸選手に並ぶ今季3勝目を勝ち獲った。
「今年エンジンをボアアップして、先に走る岸選手は大丈夫なのに、後走の自分だと息継ぎをしてしまうというトラブルに、ずっと悩まされています。今日は色々やってきて、なんとなく直ったかなぁ~? という感じで、前半の細かいところが走れた時点でイケる! と思いました。最終戦は勝てばチャンピオン。ドキドキで走りたいと思います」と、佐藤選手は語った。
JMRC中部ジムカーナ選手権 第6戦
Lクラス
中部地区戦と併催される、JMRC中部ジムカーナ選手権独自のLクラスは、該当の女性スラローマーが参戦するクラスのトップタイムを基準として、そのタイム差で争われる。第6戦ではB・SC2の木村真生選手とPN3の渡邉千尋選手がエントリー。B・SC1で6位の木村選手がタイム差2.312秒で優勝を手にした。
平山氏は「今日はとにかく暑い一日でした。熱中症対策としてマニュアルもしっかりつくって、オフィシャルには水に濡らすと気化熱で体を冷ます高機能タオルを配りました。今回も能登半島の地震、その後の9月の豪雨に対して義援金を送ります。東海と北陸は一体なので、少しかもしれないけれど北陸の方々につなげられればいいと思っています。来年もこちらからなるべく温かい風を送りたいですね」と、今回の一戦をまとめた。
フォト/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI] レポート/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



