鈴鹿選手権シリーズで酒井龍太郎選手が地方カート選手権で初のチャンピオン確定に

レポート カート

2025年9月22日

三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット南コースで9月7日、地方カート選手権 鈴鹿選手権シリーズ第4戦が開催。森谷永翔選手が今季初優勝を飾り、3位に入賞した酒井龍太郎選手がチャンピオンを確定させた。

2025年JAF地方カート選手権 FS-125/X30部門 第4戦
2025 鈴鹿選手権シリーズ第4戦 KART RACE IN SUZUKA

開催日:2025年9月7日
開催地:鈴鹿サーキット南コース(三重県鈴鹿市)
主催:KSK、SMSC

地方カート選手権 FS-125/X30部門

 鈴鹿サーキット南コースを舞台に開催される2025年地方カート選手権FS-125/X30部門はチャンピオンシップの終盤戦に突入。9月7日に第4戦が行われた。この選手権は2025 鈴鹿選手権シリーズ KART RACE IN SUZUKAのFS-125/X30クラスにタイトルがかけられたもので、全5戦でシリーズが実施される。

 大会当日の空模様は晴れ。すでに9月に入ったにもかかわらず、サーキットはまだ夏真っ盛りの厳しい暑さに包まれている。出走は7台。タイムトライアルでは森谷選手が49秒023のトップタイムをマークした。これは2番手の和田朋也選手のタイムを0.3秒近くも上回るものだ。3番手は吉田侍玄選手。目下ポイントレースの首位を行く酒井選手は森谷選手と0.486秒差のタイムで、真子鉄朗選手に続く5番手となった。

 予選は10周。スタートでは和田選手が森谷選手に先行し、さらに1コーナーでそのインを突いて真子選手がトップに立った。だが、和田選手と森谷選手はタンデムを組んで3コーナーで真子選手を抜き返す。さらに吉田選手が真子選手をオーバーテイクして3番手に。3周目、森谷選手が和田選手のインをこじ開け先頭の座を奪還する。

 タイムトライアルでは森谷選手に大差をつけられたライバルたちも、このヒートでは森谷選手に食い下がり、上位5台は一列に連なってラップを重ねていく。しかし、森谷選手は危険な距離まで後続を接近させることなく10周を走り切り、決勝のポールを獲得した。続いて和田選手、吉田選手、真子選手がゴール。酒井選手はスタートで最後尾まで下がったのだが、オープニングラップのうちに2台を抜き返し、このヒートを5番手で終えた。

 決勝は16周。その幕開けはスリリングな攻防となった。レースがスタートするとポールの森谷選手に和田選手と吉田選手が並びかけ、3台は3ワイドで1~2コーナーを旋回。2コーナー先のストレート区間では和田選手が森谷選手の前に出る。しかし、森谷選手は3コーナーで和田選手を抜き返してトップに戻ることに成功。この間に吉田選手も和田選手を攻略、2番手に上がった。

 背後での攻防を利して、森谷選手は1秒弱のアドバンテージを得てオープニングラップを終了。4台一列で接近戦を繰り広げるセカンドグループを尻目に、リードを徐々に広げながら独走を続けていく。結局、森谷選手の快走を阻むものは最後まで現れず、森谷選手は3秒弱のリードを築き右拳を掲げてフィニッシュ、待望の今季初優勝を遂げた。

 森谷選手の後方では、吉田選手が自己最上位タイの2位でフィニッシュ。酒井選手が2周目に真子選手をパスして4番手に浮上すると、13周目には和田選手との2~3コーナーの攻防を制し、2ポジションアップの3位となった。この競り合いに乗じて、真子選手が片輪をダートに落とした和田選手をかわし4位に浮上。和田選手は5位となった。

 この結果、酒井選手はシリーズポイントを92点に伸ばした。一方、他の選手は次の最終戦で優勝しても有効得点(上位4戦)で酒井選手のポイントを上回ることはできず、1戦を残して酒井選手がシリーズチャンピオンを確定させた。酒井選手は全日本FS-125部門でも1か月前にチャンピオンを確定させており、これで日本カート選手権の二冠確定だ。

FS-125/X30部門優勝は森谷永翔選手(ERS with SACCESS)。
ポール・トゥ・ウィン達成でうれしい表情を見せる森谷選手。「最初は少し焦っていたけれど、少し差が開いてからはいけそうだなと思っていました」と勝利を確信。「次戦も勝てるように頑張ります」とコメント。
2位は吉田侍玄選手(LUCE MOTOR SPORTS)、3位は酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)。
FS-125/X30部門表彰の各選手。
酒井選手がFS-125/X30部門のチャンピオンを確定させた。「地方選手権には2023年から参戦していますが、あと一歩のところでタイトルに届かなかっただけに、今回の鈴鹿選手権シリーズでのチャンピオン確定は全日本FS-125部門2連覇よりもうれしいです。もてぎでも地方選手権のチャンピオンになれるよう頑張ります」

 この大会では地方選手権の他に、鈴鹿選手権シリーズとして5クラスのレースが行われた。特にヤマハKT100SECエンジン・ワンメイクの3つのクラスは、10月にこのコースで開催されるアマチュアカーターの一大イベント、SLカートミーティング全国大会の前哨戦となっており、YAMAHA SSは61台、スーパーSSは47台、カデットオープンは34台の大量参加を集めることとなった。

SLカートミーティング YAMAHA SS

 YAMAHA SSでは2グループでの予選とセカンドチャンスヒートを経て決勝グリッドが決まり、4割以上の27台が予選不通過の憂き目にあうことになった。厳しい生き残り競争を乗り越えた34台による決勝は、上位8台が0.6秒の中にひしめいてゴールする大混戦に。

 このレースをトップでゴールしたのは中野貴介選手だったのだが、中野選手はプッシングのペナルティで5秒加算の裁定を受け一気に15位へ後退。中盤まで6番手を走っていた冨田蓮選手がウィナーとなった。0.091秒差の2位は8番グリッドの高村宏弥選手、3位は18番グリッドから挽回の千田琉貢選手だった。

YAMAHA SS優勝は冨田蓮選手(Team EMATY)。
「タイムトライアルは良かったんですが、予選/決勝とちょっとペースが足りませんでした」と言う冨田選手、「最後はバトルの展開に持ち込むしかないと思って我慢しながら走っていました」とレースを振り返った。
2位は高村宏弥選手(Higuchi Racing Team)、3位は千田琉貢選手(Racing Team YRHKS)。
YAMAHA SS表彰の各選手。

SLカートミーティング YAMAHA スーパーSS

 スーパーSSも13台が予選不通過となる厳しいレースとなった。この一戦を制したのは佐々木克行選手。オープニングラップから独走態勢を固め、後続を2秒以上引き離して圧勝を飾った。佐々木選手の後方では6台一列の接近戦が繰り広げられ、伊藤英彦選手が2位に入賞、広島勢のチームメイトが1-2フィニッシュを果たすことに。3位は終盤に巧みな走りで順位を上げた岸秀行選手だった。

YAMAHA スーパーSS優勝は佐々木克行選手(チーム広島 遮二無二ヒストリー)。
「無事にチームメイトの伊藤英彦選手と1-2フィニッシュができてうれしいです」と大差をつけて勝利をつかんだ佐々木選手。「次もこの調子で勝てるように頑張ります」と最終戦に向けての意気込みを語った。
2位は伊藤選手(チーム広島 RTヒストリー)、3位は岸秀行選手(ERS with 大阪鶴見法律事務所)。
YAMAHA スーパーSS表彰の各選手。

SLカートミーティング YAMAHAカデットオープン

 最大出走台数ジャストの34台がレースに臨んだカデットオープンでは、今季のジュニア選手権ラウンドシリーズ2神戸大会で2連勝を飾った下羅貴斗選手が、2番グリッドからのスタートでトップに立つとじわじわとリードを広げ、開幕4連勝を達成した。ポールスタートの北村紳選手は、3台一丸となったセカンドグループのバトルに耐え抜いて2位フィニッシュ。藤原迪永選手が1ポジションアップの3位入賞を果たしている。

YAMAHAカデットオープン優勝は下羅貴斗選手(チームナガオ)。
下羅選手は今シーズンの鈴鹿選手権シリーズでは負けなしの4連勝で強さを見せる。「予選でバトルができたのが楽しかったです。最終戦も優勝したいです」と言い、全勝できるかに注目したい。
2位は北村紳選手(KWS Speed)、3位は藤原迪永選手(SD-STYLE)。
YAMAHAカデットオープン表彰の各選手。

ROK-SHIFTER

 6速ミッション内蔵125ccエンジンのワンメイクで行われるROK-SHIFTERには15台が参加。全日本OK部門にも出場している小熊孝誠選手が予選を制してポールを得ると、決勝でもこのクラス独自のスタンディングスタートを決め、そのままトップの座を守り切って2連勝を遂げた。

 2位は予選で0周リタイアを喫した伊藤聖七選手。最後尾グリッドから13台を抜いて小熊選手の真後ろまで迫り、逆転優勝もあわやの活躍を演じた。3番手でゴールした中里龍昇選手はフロントフェアリングのペナルティを受け、繰り上がりで井上隆太選手が3位となった。

 ROK-SHIFTERで35歳以上のドライバーが対象のMasterクラスでは、予選で総合2番手を得た水越健太選手が、決勝を総合4位で走り終えてクラス優勝。オープニングラップで総合3番手に浮上してみせた岡本孝之選手が2位、川口共水選手が3位に入賞した。

ROK-SHIFTER優勝は小熊孝誠選手(HRT)。
「2連勝できてうれしいです」と小熊選手。「スタートがうまくいって、チームのみんなと練習してきたことが少しずつ形になってきていると思うので、これを継続して次につなげたいと思います」
2位は伊藤聖七選手(Ash)、3位は井上隆太選手(ラムレーシング)。
ROK-SHIFTER表彰の各選手。
ROK-SHIFTER Masterクラス優勝は水越健太選手(MOMOX KART RACING)。
「前半はペースが良かったのですが、後半はダレちゃって若者にボロボロにされました……」と優勝ながら不満そうな顔を見せた水越選手。「次のレースではリベンジしたいです」と意気込んだ。
2位は岡本孝之選手(ハラダカートクラブ)、3位は川口共水選手(RS nakatsuchi)。
ROK-SHIFTER Masterクラス表彰の各選手。

AVANTI

 19台が参加したAVANTIでは、予選をトップでゴールした菅祥二選手が重量不足で失格となり、決勝グリッドの最後尾となるハプニングがあった。決勝では岡部雅選手が4番グリッドから順位を上げ、井上繁和選手とのマッチレースを制して第2戦以来の2勝目を挙げた。井上選手は0.572秒差の2位。3位には室谷匠選手が入った。

AVANTI優勝は岡部雅選手(clubMYM with KC NAGAHARA)。
トップ争いはかなりしんどかったと感想を述べる岡部選手。「2勝目を挙げられて、次の最終戦をポイントリーダーで迎えることができて良かったです」とチャンピオン獲得の可能性を残して最終戦に臨む。
2位は井上繁和選手(GAINER TANAX with KC NAGAHARA)、3位は室谷匠選手(Toko Sports RT)。
AVANTI表彰の各選手。
ROK-SHIFTERのマスタークラスに参戦する水越選手が、ROKカップスーパーファイナルに派遣されることとなった。

PHOTO/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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