東日本を代表するアベレージラリーシリーズが福島を舞台に開催
2021年8月11日

走行する速度の正確さを競う関東アベレージラリーシリーズの一戦が7月上旬、福島県を舞台に開催された。
開催日:2021年7月11日
開催場所:福島
主催:MSCC
関東デイラリーシリーズは、JMRC近畿アベレージラリーシリーズと並ぶ、国内を代表する計算ラリーのシリーズだ。JAFが定める「第1種アベレージラリー規定」に沿って行われるラリー競技で、速さではなく、走行速度の正確さを競うモータースポーツだ。(「アベレージラリー」の概要については、こちらをご覧下さい。レポートの後半で、アベレージラリーの概要について紹介しています。)
4月25日に茨城県で開幕した今年の関東デイラリーシリーズは全6戦のシリーズが組まれている。同じく茨城開催だった第2戦を経て、今回の第3戦は福島県に舞台を移して行われた。夏の間は開催されず、第4戦は10月に再び、茨城で開催され、11月に残る2戦が栃木と長野を舞台に行われる予定となっている。
関東シリーズと言いつつ、今回は福島での開催となったが、主催は東京に本拠を持つJAF公認クラブのマツダスポーツカークラブ(MSCC)。MSCCは近年、福島で全日本ラリー選手権を主催しており、過去、ギャラリーステージが何度も設定されてきた鮫川村の鹿角平観光牧場が今回のラリーの拠点となった。「全日本でSSとして設定したグラベルの林道も今回はラリールートに盛り込みました。アベレージラリーでも、色んな道を走るというラリーの醍醐味を感じてもらいたかったんです」とは、今回、競技長を務めた遠藤彰氏。舗装主体であることが多いアベレージラリーとしては、いつも以上に変化に富んだルートが用意された形だ。
加えて当日は雨が強く降った時間帯もあり、参加者はウェット路やグラベルといった、滑りやすく補正の難しい路面での走行と計算を強いられる一日となった。ラリールートの総走行距離は約90km。ふたつのセクションの中で計12か所のCP(チェックポイント)が設定された。この内、3か所のCPがグラベルのルート上に置かれた。なお今回はすべて鮫川村内にラリールートが設定されている。


計算機器の制限のないAクラスは8台が参加した。計算ラリーに長く親しんで来た50~60代の大ベテランの選手が多いため、ラリー開始早々から僅差の戦いとなるが、8か所のCPが置かれたセクション1をともに7点の最小減点で終えたのは、飯田好範/黒澤清二組のWRXと細矢敏之/小林日出一組のレガシィだった。両クルーとも最多でも減点は2点と高い補正技術を見せたが、0減点は飯田組が3区間で、細谷組の2区間を上回っている。
セクション2も両者ともに0点もしくは1点と高ポイントをマークし、一進一退の攻防となるが、最終の12CPを飯田組がこの日、5度目の0減点で上がったのに対して、細谷組は減点1で通過。結果、この1ポイント差で首位に立った飯田組がそのまま逃げ切って、今季2度目となる勝利を挙げた。「第1戦で前半、補正が合わなかったので、後半色々と細かく補正をかけてみたら、逆に減点が増えて負けたんですね。今回はその時よりも難しいラリーだったんですけど、あまり神経質にならずに運に任せようじゃないか、と開き直ったのが逆に良かったみたいです」とはドライバーの飯田選手。御年70歳の大ベテランは安堵の表情を見せていた。




一方、ラリーコンピュータの使用が認められないBクラスは古川嘉彦/丸島國義/浦野智秋組のCX-5が減点9で首位で折り返し、小平つかさ/小平耕司組のフィットが3点差の2位に続いた。セクション2で逆転を期した小平組だったが、11CPでの5減点が響いて優勝は果たせず。最多でも減点2にとどめるという好コンビネーションを見せた古川組が、開幕戦に次ぐ今季2勝目を飾った。
「ダートが多くて、最後まで緊張しっ放しのラリーでしたが、何とか3人のコンビネーションで今回も勝てました」と古川選手。丸島、浦野選手とは、若き日、武蔵野学生自動車連合(MSAA)に加盟する大学自動車部の仲間としてラリーに励んだ仲で、関東デイラリーシリーズの創設時から参加している常連クルーとして知られている。今年の第1戦までは同じくMSAAの仲間だった石井洋選手とともに4名乗車で参戦してきたが、今年5月、石井選手は登山中の不慮の事故により、急逝された。「3人で臨むことになった前戦は勝てなかったけれど、2戦目で、はなむけの弔い合戦ができました」と古川選手。旧友に勝利を捧げたラリーを静かに振り返っていた。






フォト/佐久間健、MSCC レポート/JAFスポーツ編集部
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