安曇野を駆け回るクリスマスラリーは、古川/丸島/浦野組のCX-5が総合優勝で有終の美

レポート ラリー

2021年12月22日

全日本ラリー選手権伝統の一戦、ラリーハイランドマスターズの主催で知られるM.C.S.C.(松本カースポーツクラブ)によるクリスマスラリーが、11月27日、長野県で関東デイラリーシリーズの今季の最終戦として開催された。

関東デイラリーシリーズ
M.C.S.C.クリスマスラリーNo.34

開催日:2021年11月27日
開催場所:長野
主催:M.C.S.C.

 今年で34回を数えるクリスマスラリーは、以前はその名の通り、12月の下旬、クリスマスに直近の時期に開催されていた。現在のようなタイムトライアルのないアベレージラリーではなく、M.C.S.C.らしく、スポーツ性の高い走り応えのあるラリーで、シリーズを締め括る一戦として、関東各地からラリーストが詰め掛け、賑わいを見せた。

 M.C.S.C.が主催する全日本の一戦であるラリーハイランドマスターズは現在、岐阜県側がラリーのフィールドとなっているが、クリスマスラリーは長野県側で開催されている。今回は安曇野市内にある、かや作りの農家民宿「ごほーでん」がラリーの拠点となり、安曇野を取り囲む山々を通り抜ける約120kmのラリールートが用意された。

 折からの寒波襲来による降雪が懸念されたが、高地ではうっすら雪化粧はしたものの、ラリールートは何とか雪は免れた。天候は青空となったものの、早朝の霜等の影響で午前中は湿った場所もあり、また場所によっては落葉が敷かれ、補正にはネックとなるスリッピーな路面も現れるなど、最後まで気の抜けないラリーコースが待ち受けた。
(※アベレージラリーの概要については こちら をご覧下さい)。

当日は冬本番を思わせるコンディションの中での開催。山肌はうっすらと雪化粧していた。
かや作りの建物だが外壁はレンガ。安曇野市の和洋折衷の農家民宿ごほーでんが、今回のラリーの拠点となった。

 ラリーコンピューターの装着が認められるAクラスは、今季3戦2勝と安定して好成績をあげている飯田好範/黒澤清二組のWRXと、前戦で優勝を飾った細矢敏之/小林日出一組のレガシィが優勝候補の筆頭。5か所のCPが置かれたセクション1は、ともにゼロ減点ふたつと冴えを見せたが、ゼロ減点以外の3区間をすべて減点1でクリアした細谷組が飯田組に3点差をつけてトップで折り返す。

 セクション2に入っても両クルーはゼロ減点もしくは減点1でCPをクリアして一進一退の攻防となるが、8CP、9CPを飯田組がともにゼロ減点で上がったのに対して、細谷組が珍しく8点、5点と大きな減点を食らってしまったことで、飯田組が一気に逆転。このセクション2を減点3でクリアした飯田組がシリーズ3勝目をマークした。

「指示書にあった計測車はドライ路面を走ってますが、今日は濡れている所があって、かなりコンディションが違ったと思います。セクション1で何となく徐々に補正の合わせ方が掴めてきたのが、セクション2の好結果に繋がったと思います」とは飯田組のナビゲーターを掴めた黒澤選手。ドライバーを務めた飯田選手は、「セクション1は距離の長い区間になると合わない感じがあったので、これは走り方が違うんだなと思ったので、セクション2はラインの取り方など、走り方を変えてみたのが、いい方向に出ましたね」と振り返った。2位に甘んじた細矢選手は、「今日はPCの処理でちょっと迷ってしまいました」と、2連勝は果たせなかった。

序盤から1点差での攻防が展開される好バトルとなったAクラスは飯田好範/黒澤清二組がシーズン3勝目をさらった。
Aクラス優勝の飯田/黒澤組。
Aクラス2位には細矢敏之/小林日出一組が入った。
前園裕司/前園益男組はAクラス3位に。セクション2では2番手で上がっただけに1CPでの大量減点が悔やまれる。

 ラリーコンピューターの使用が認められていないBクラスでは、CX-5に3名乗車して参戦する古川嘉彦/丸島國義/浦野智秋組が前戦で今季3勝目を獲得して早々とシリーズチャンピオンは確定済み。今回もセクション1を減点4で上がりトップで折り返すが、1点差で和田秀文/水野成生組のフレアが追いかける展開となった。

 セクション2で逆転を期した和田組だったが、序盤の6CP、7CPで古川組にリードを許して今季初優勝は叶わず。一方の古川組はセクション2も減点4と好成績で上がって今大会、総合での最小減点となるトータル減点8で優勝。「チャンピオンを決めて臨んだ最終戦で総合ベストを獲得しての優勝を飾れて最高の終わり方ができました。デイラリーシリーズらしい、よくできた設定だったでラリーも楽しめました」と有終の美を飾った3選手は口を揃えた。

Bクラスは、このシリーズの常連である古川嘉彦/丸島國義/浦野智秋組が総合ベストの成績でフィニッシュして優勝を決めた。
Bクラス優勝の古川/丸島/浦野組。
Bクラス2位は和田秀文/水野成生組が獲得した。
今季1勝をあげている小平つかさ/小平耕司組がBクラス3位に入った。

 デイラリーシリーズの場合、AクラスとBクラスの2クラスは誤差1秒につき1減点とシビアな規則となっているのに対して、Cクラスは誤差10秒につき1減点と緩めの規則となっており、アベレージラリー入門者には最適のクラスとなっている。今回は2台による戦いとなったが、石川県から夫婦で参加した水野真由美/水野卓哉組のルーミーが優勝した。藤田美登里/西村章組のアルトはセクション2では水野組を1点差で下したが、セクション1の3CPでの大量減点が響いて2位でフィニッシュとなった。

 4区間で0減点をマークするなど入門者らしからぬ好成績で上がった水野組は、ドライバーを務めた真由美選手は初ラリーだったものの、卓哉選手はJAF中部近畿ラリー選手権にコ・ドライバーとして参戦している現役バリバリのラリースト。「学生時代にやっていた計算ラリーが楽しかったので、久し振りにまた計算ラリーがやりたくて戻ってきました(笑)。途中、ラリコンの調子がおかしくなって大変でしたが、すぐに直ってくれたので何とか走れました」とは卓哉選手。真由美選手はドライバー役は初めてだったが、「路面も滑ったりしましたけど、あまり気になりませんでした。もう計算ラリーなら大丈夫なので(笑)、また機会があれば出てみたいと思います」と、すっかりラリーを満喫した様子だった。

Cクラスは北陸から参戦の水野真由美/水野卓哉組が優勝した。
Cクラス優勝の水野組。
Cクラス2位には藤田美登里/西村章組が入った。
安曇野の名産品、りんごが優勝クルーには贈られた。
フォト/佐久間健、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部
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