JAF WOMEN IN MOTORSPORTとの共催で女性も大活躍! 広島県福山市のみろくの里はオートテスト開催でボルテージMAX

レポート オートテスト

2021年11月12日

中国地区で開催されたオートテストが熱い! 11月6日に広島県福山市で行われた「オートテスト in みろくの里」は、参加者全員が大満足の表情を見せる充実の大会となった。

オートテスト in みろくの里
開催日:2021年11月6日
開催地:みろくの里駐車場(広島県福山市)
主催:カークラブ錦

 朝晩は冬の到来を彷彿とさせる寒さを感じるものの、日中は穏やかな秋晴れに恵まれた11月6日、広島県福山市で「オートテスト in みろくの里」が開催された。このみろくの里は遊園地がある総合レジャー施設であり、大会当日は日曜日とあって、レジャーを楽しむ家族連れが数多く見受けられた。その施設内の一角に設けられた、オートテストの特設会場となる駐車場には、開催を心待ちにしていた参加者が受付時間前から多数集まった。

 オートテスト in みろくの里の主催はJAF加盟クラブのカークラブ錦。今大会の競技長であるクラブ代表の原博史氏は、JMRC中国のオートテスト部会長を務めており、中国地区でのオートテスト開催を精力的に行っている。2020年は5回の開催に携わり、岡山県や広島県、鳥取県と、県をまたいで中国地区で幅広く主催を行った。

 今年は岡山県岡山市のなださきレークサイドパークで予定していた開催が残念ながら中止となったものの、それでも計4回の開催予定となった。2月に行われた広島県安芸高田市のTSタカタサーキットでのオートテストも大好評のうちに終わり、11月から12月にかけて3回を開催する。そのうちの一開催に当たる今回のみろくの里駐車場は、期待と興奮の熱気に満ちあふれていた。

 このカークラブ錦が主催するオートテストは、さまざまな趣向を凝らしていることから、参加者からの評判が良く、遠征者やリピーターも多いことで知られている。今回は事前に80人超のエントリーがあり、初参加と複数回参加の比率がおよそ半々。開催地となった広島はもちろん、近県の岡山や山口、遠方では熊本からの参加もあったほどだ。

 クラス分けについては初心者向けのチャレンジ(Cクラス)、経験者向けの中間(INTクラス)、習熟者向けのエキスパート(EXPクラス)の3クラスを基本とし、さらに車格で軽(K)/小型(C)/中型(M)/軽快(S)へと細分化された。同じレベルの参加者になるよう振り分けられ、かつ近しい車格で競えるところに、参加者全員に楽しんでもらおうという配慮がうかがえる。

 そして今回はJAF WOMEN IN MOTORSPORTとの共催となり、JAFウィメン・イン・モータースポーツ作業部会の飯田裕子座長、現役大学生のドライバー・大沼すず音委員が会場に駆けつけた。この共催ではエントリー時の参加費用の割引適用や、専用の休憩スペース等も特別に設けられ、女性参加者たちを手厚くサポート。またブリーフィング後に行われた、飯田座長によるドライビングポジションのレッスンは、男女問わず多くの関心を集めた。

 みろくの里駐車場につくられたオートテストのコースレイアウトは、まず左右のパイロンスラロームに始まり、横断幕が設置された島回りを経て1つ目のガレージ。続いてガレージから発進後は車体を大きく右に振ってから左に旋回してのラインまたぎ、そのまま2つ目となるガレージへと進む。最後は右左の小さなパイロンスラロームをリズミカルにこなしてフィニッシュだ。1周約40~60秒の設定とした。ポイントは2回のリバースギヤに入れるシフト操作。いかにスムーズにクリアしていくか?という操作の正確性を求められた。

 このオートテストは午前と午後でそれぞれ1ヒートずつの2ヒート制が採られているが、別途、事前に練習走行の時間も設けられ、参加者たちはしっかり準備を整えて走ることができた。またヒート前の慣熟歩行では、大沼委員が初参加の選手に声がけをして、緊張をほぐすと共にコース攻略のアドバイスをおくる。

20種類以上のアトラクションを有した遊園地を始め、スポーツ施設やテーマパーク、温泉までもがあるみろくの里。レジャー感覚で訪れることができるその施設の駐車場の一角で、今回のオートテストが開催された。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は減少してきているものの、万全の感染対策を採っての開催となった。来場した参加者たちはまず乗車したまま検温を行っていき、その後の受付もドライブスルー形式で進められた。
ブリーフィングはデモ走行を兼ねてコース上で行われ、場内放送でルールの概要を学ぶスタイル。その後はJAFウィメン・イン・モータースポーツ作業部会の飯田裕子座長によるドラポジ講習もあり、参加者は熱心に耳を傾けた。
シンプルなコースレイアウトながら、スラローム、島回り、ガレージ、ラインまたぎの要素に細かな工夫が施されている。中でもガレージ2回の設定が興味深いポイントとなり、参加者のチャレンジ精神に火をつけた。
慣熟歩行では細かくメモを取りながら走り方を組み立てる参加者も見受けられた。JAFウィメン・イン・モータースポーツ作業部会の大沼すず音委員は、緊張している女性参加者に向けてオートテストのコツをアドバイス。

 C-Kクラスは、ホンダビートを駆る岡田颯太選手が第1ヒートから力走を見せる。このクラスのターゲットタイムは35~36秒台となっていたが、INTクラスに負けず劣らずの32秒台に突入して一気にトップを奪う。コペンやエッセで参加した選手のタイムを一切寄せつけず、岡田選手がうれしい優勝を果たした。

 14台が参加したC-Cクラスは、林勇輔選手がデミオで速さを見せつける。第1ヒートでベストタイムを刻むと、その後塵を拝した佐藤聖人選手のデミオがすかさず第2ヒートで逆転。しかし林選手も負けまいと再びタイムを更新してトップを奪取。このデミオ対デミオの戦いは林選手に軍配があがった。

 C-Mクラスはアコード、アクセラ、CX-5、インプレッサスポーツの4台の戦い。車体サイズが大きいゆえに攻めきれない展開となっていたようで、タイムが伸び悩む選手が続出する。だが、そこを巧みにクリアしたアコードの門河祐樹選手がぶっち切りのタイムで優勝。両ヒート共に安定したタイムを刻んだ。

 ロードスター、GRヤリス、スイフトスポーツの三つ巴となったC-Sクラスは、親子でダブルエントリーしたロードスターの島田幸士選手がヒート毎に着実にタイム更新の好走を見せて優勝、父親としての面目を保った。息子の島田紗久也選手は第2ヒートで惜しくもペナルティがあり、表彰台を逃してしまう。

 INT-Kクラスは「70歳まで頑張ります!」とオートテスト参加に意気込んだ60歳の本多哲也選手がキャロルを駆り、第1ヒートでキッチリ決めて優勝。第2ヒートではさらなる高みを目指して走り出したものの、ペナルティで自身のタイム更新は果たせず。第1ヒートでの会心の走りが功を奏した形となった。

 バラエティに富んだ車種が集まったINT-Cクラス。接戦の様相を見せていたが、両ヒートともにベストタイムを叩き出した河田有華選手が優勝をさらった。同クラスエントリーの並み居る男性陣を抑え、今回のオートテストで唯一の女性の優勝を果たす。路面に残る砂埃を巻き上げるほどの激しい走りを披露した。

 INT-Mクラスは40秒台のタイムがターゲットとされていた中、39秒台に食い込んだ佐々木将選手が第1ヒートで暫定トップを奪う。だが、第1ヒートでペナルティを加算されて下位に沈んだ川下聡毅選手が気を吐き、第2ヒートで大躍進。大幅なタイム更新を果たし、佐々木選手を抑えて逆転優勝となった。

 30秒台前半を競う戦いとなったINT-Sクラス。第1ヒートを終えた時点でロードスター同士の対決の構図が見え始め、第2ヒート入るとその戦いはさらに白熱する。夫婦で参加の乘本佳樹選手が31.5秒で暫定トップに立ったが、それをコンマ2秒でかわした白砂高志選手がこのクラスを制した。 

 EXP-Kクラスは、奈良県から参加したS660を駆る篠原賢爾選手が驚異の27.7秒をマーク。1ヒート目29秒台だったコペンの河田誠也選手が健闘の走りを見せるも、やはり27秒台の壁を超えることができず、篠原選手が優勝を手にした。なおこのタイムが全参加者の中でトップのタイムとして記録された。

 ベテランがひしめく激戦区EXPクラスは、“Mr.オートテスト”の異名を持つ日紫喜俊夫選手が愛知県からの遠征の疲れを見せず優勝。その日紫喜選手、EXP-Kクラスの篠原選手が叩き出した27.7秒を意識していたようで、0.9秒届かず28.6秒で終え、やや悔しそうな表情を見せた。

12台出走のC-Kクラス表彰式。優勝はビートを駆る岡田颯太選手。2位はコペンの中西正選手、3位はコペンの重宗弘美選手。
14台出走のC-Cクラス表彰式。優勝はデミオを駆る林勇輔選手。2位はデミオの佐藤聖人選手、3位はノートの原聡美選手。
4台出走のC-Mクラス表彰式。優勝はアコードを駆る門河祐樹選手。2位はインプレッサスポーツの端野敬子選手、3位はCX-5の麻生祥代選手。
7台出走のC-Sクラス表彰式。優勝はロードスターを駆る島田幸士選手。2位はGRヤリスのジャクソン・デイビッド選手、3位はスイフトスポーツの清水俊輔選手。
5台出走のINT-Kクラス表彰式。優勝はキャロルを駆る本多哲也選手。2位はワゴンRの亀川法昭選手、3位はエブリイの沖田圭吾選手。
7台出走のINT-Cクラス表彰式。優勝はデミオを駆る河田有華選手。2位はヤリスクロスの野津剛選手、3位はスイフトの越當昌輝選手。
4台出走のINT-Mクラス表彰式。優勝はSAIを駆る川下聡毅選手。2位はゴルフヴァリアントの尾藤美子選手、3位はギャランフォルティスの佐々木将選手。
9台出走のINT-Sクラス表彰式。優勝はロードスターを駆る白砂高志選手。2位はロードスターの乘本佳樹選手、3位はスイフトスポーツの秋山諒生選手。
4台出走のEXP-Kクラス表彰式。優勝はS660を駆る篠原賢爾選手。2位はコペンの河田誠也選手、3位はミニキャブの北山善巳選手。
13台出走のEXPクラス表彰式。優勝はロードスターを駆る日紫喜俊夫選手。2位はスイフトスポーツの池村常正選手、3位はRX-8の大橋弘誉選手。

 今大会は会場全体で盛り上がりを見せていたが、中でも“アナ西元”こと西元直行氏の実況MCがその一助を担っていたのは言うまでもない。実は参加選手の走りの実況のために、事前に情報収集しておいたメモ書きを自宅に忘れてしまうというハプニングもあったが、それをフォローして余りある軽快なマイクパフォーマンスで参加者たちを笑顔に包んだ。

 また表彰式とは別に、全参加者にそれぞれの走行シーンが収められた写真パネルがプレゼントされる、うれしいサプライズも用意されていた。そしてこの大会の最後を締める時間が近づくと、主催のカークラブ錦が、クラブ所在地である山口県岩国市の名産・獺祭を始めとしたさまざまな景品を用意していたことを明かす。急遽、じゃんけん大会が催され、参加者の皆さんは最初から最後まで充実した1日を過ごしていた。

大会を支えた主催者およびオフィシャルの皆さん。“楽しんで帰ってもらう”をコンセプトに、全員が一致団結してオートテストを進行。そして西元直行氏の実況はオートテストの会場を終始明るい雰囲気に保ち続けてくれた。
この開催に協力したJAF広島支部は、オートテストをより良くするための活動の一環として、全参加者を対象にアンケートを実施。その他、みろくの里の一般来園者たちにもオートテストをアピールした。
大会を温かな眼差しで見守っていたJAF中国本部の神吉靖視事務局長が、表彰式の賞典のプレゼンターを務めた。そして全参加者にはオートテスト参加の記念となる写真パネルがプレゼントされた。
表彰式終了後はお楽しみの景品がもらえるじゃんけん大会が行われる。主催クラブの地元・山口県岩国市の地酒の争奪戦となり、オートテスト以上の真剣な眼差しに!?

オートテスト参加者インタビュー

ミスコースしないよう頑張ります!

かつてダートトライアルの経験があり、静岡に在住のころはチャンピオンになったこともあるという水川一志選手。オートテストは4年前に初参加し、今回が6度目の参加だそうで「過去にはミスコースやエンストもやらかしたことがありました。今回はパイロンに当てないように2回しっかり走り切って、入賞できればラッキー」と語っていたが、残念ながらパイロンタッチをしてしまった。しかし「オートテストは参加者の雰囲気も和気あいあいとしているし、装備やクルマにお金をかけず参加できる気軽さが良いですね」と楽しんだ様子。次回こそ表彰台を目指して頑張ってもらいたい。

楽しいけど……表彰台になかなかのぼれません(泣)

ライセンスを所有している方たちのEXPクラスにスバルWRX STiでエントリーした河谷健治選手は、これまでオートテストには数えきれないくらい参加してきたそうだ。特別な装備もいらず、参加の敷居の低さから、気構えることない雰囲気が自分にぴったり合っているとのこと。また日ごろの遊びプラスαくらいな感覚で参加できるのが良いそうだ。「最近では各会場に訪れるたびに顔なじみが増え、オートテスト仲間に会うのも楽しみのひとつです」と言う。今回はノーミスでしっかり2回の走行を終えたがクラス8位の結果に。表彰台を逃してしまったが、河田選手のチャレンジはこれからも続く。

フォト/谷内寿隆、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部、飯田裕子

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