関東デイラリーシリーズは、紅葉の日光路を舞台に今季第5戦が開催!

レポート ラリー

2022年11月30日

東日本を代表するアベレージラリーとして知られる関東デイラリーシリーズが、11月6日に栃木県日光市を拠点として開催された。

2022年関東デイラリーシリーズ第5戦
第48回ソネットラリーin日光

開催日:2022年11月6日
開催場所:栃木県日光市・鹿沼市
主催:SONNET

 今年は全6戦が組まれる関東デイラリーシリーズは、11月上旬に開催された第48回ソネットラリーin日光で5戦目を迎えた。主催のチームソネットは栃木のJAF加盟クラブで、1990~2000年代には全日本ラリー選手権2輪駆動部門の一戦を開催するなど、長くラリーの主催を続けている老舗クラブだ。

 現在は関東デイラリーシリーズの一戦を担っており、ソネットのラリーは栃木県東部のさくら市、那須烏山市などを舞台とする「さくらロードラリー」の名で親しまれてきたが、今回は日光市周辺のルートに変更。ラリーの名称も、新たに「ソネットラリーin日光」となった。

 実はこのエリアでのラリーの開催は数年前から計画が進められてきたが、コロナ禍によって開催が見送られたため、今年晴れて初開催の運びになった。ただし、この時期の日光は、紅葉見物の観光客が多く訪れるということもあって、ラリーは日光のメインエリア方面には向かわずに、旧今市市内を抜けて南に下るというルートが今回は選ばれている。

 スタート&ゴールが置かれ、今回のラリーの拠点となったのは日光市の大室たかお神社。ラリーは同神社から南方向に下り、観光客で賑わう国道119号線や同121号線と交差する県道や市道を辿りながら、6か所のCPで速さではなく、アベレージ走行の正確さを競った(アベレージラリーの詳細についてはこちらを参照。後半部分に解説記事があります。また関東デイラリーシリーズのホームページでも、アベレージラリーについて解説しています)。

今回のラリーの拠点となった旧今市市内に位置する大室たかお神社。市街地に近い立地にありながら、静寂で落ち着いた場所にある。
開会式で参加者、関係者は、大室たかお神社の狐塚泰久宮司による交通安全祈願を受けた後にラリーをスタートした。狐塚宮司も、大のモータースポーツ好きとあって、この後、自ら愛車のジムニーのステアリングを握ってラリーに初参加。「目的に従ってドライブを楽しむという、モータースポーツの新しい楽しさを体験できて良かったです」と感想を語った。
ラリーはスタート後、6か所のCPを巡りながら、約75kmのルートを走破する設定で行われた。
大室たかお神社が位置する大室地区は、「とちぎのふるさと田園風景百選」に認定された自然豊かな趣を持つ。

 ラリーコンピュータの使用が認められているAクラスは、毎戦のように1点差を争う接戦が展開されている上級者クラス。今回も1CPは3台が0減点でクリアし、激戦を予感させるスタートとなったが、2CPからは大量減点をもらうクルーが現れ始める。

 ラリーを折り返す3CP通過時では、飯田好範/黒澤清二組が総減点1で首位。細矢敏之/小林日出一組と高野和夫/澤幡敬智組がともに総減点4で続いたが、残す3つのCPを飯田組は総減点1でクリアしてゴール。細矢組も総減点2で食らいついたが、最終的には4か所のCPで0減点をマークとほぼ完璧なナビゲーションを見せた飯田組が、今大会最小の減点2で優勝を飾った。細矢組は総減点6で2位。高野組は総減点9で3位となった。

 このシリーズでは常に優勝候補に挙げられる飯田組だが、今年は途中から車両をWRXからジムニーに変えたことも影響したか、今季はこれまで未勝利だった。「栃木のラリーは、いつも色んなことが起きて、なかなか勝てなくて、僕らには鬼門の大会だったんですが(笑)、ようやく勝てました」とはナビゲーターの黒澤選手。飯田選手とともに会心の笑顔を見せていた。

Aクラスは、今シーズンは2位が続いていたこのクラスの第一人者、飯田好範/黒澤清二組が今季初優勝を達成。
優勝の飯田/黒澤組。「車幅が狭いジムニーに乗り換えたら、車線の中を右寄り、左寄りどちらでも走れるので補正が難しくなって苦労しています。今日は指示書に書かれていた試走車がレヴォーグだったので、レヴォーグのデフの位置をジムニーのデフの位置でトレースするように走行のラインを想定して走ったら、いい結果が出ましたね」と、ジムニー2戦目での初優勝を喜んでいた。
前戦からの2連勝を狙った細矢敏之/小林日出一組だが、2位にとどまった。
高野和夫/澤幡敬智組は大きなミスもなく走り切ったが、3位に終わった。
Aクラス表彰の各選手。

 ラリーコンピュータが使用できないBクラスは、天野央基/入夏高志組と和田秀文/水野成生組が、1CPを0減点でクリアして順調なスタートを切る。今季もこれまで4戦全勝と圧巻の強さを見せている古川嘉彦/丸島國義/浦野智秋/小山朗夫組は減点2とやや出遅れる。しかし2CPで和田組が大量減点をもらって後退。前半の3区間が終わった段階では、古川組と天野組がともに総減点4となり、首位で折り返した。

 しかし後半に入ると5CPで天野組が大量減点を喫してしまい、勝負権を失うことに。結果、後半の3区間のうち2区間で減点0といつもの調子を取り戻した古川組が、総合でも2番手となる総減点5で優勝を飾り、無敗記録を今回も更新した。2位には天野組が入賞。3位には大量減点を喫した2CPを除けば、古川組とほぼ同等の好ナビゲーションを見せた小平つかさ/小平耕司組が入った。

Bクラスは尻上がりに調子を上げた古川嘉彦/丸島國義/浦野智秋/小山朗夫組が、開幕5連勝を達成した。
「今回もいつも通りのしっかりしたラリーで、さすがソネットさんというラリーでしたね。さくらロードラリーの頃よりもテンポが速くなった感じでしたが、楽しめました」。古川/丸島/浦野/小山組は総合優勝は逃すも、今回も冴えたナビゲーションを見せた。
プラッツで参加の天野央基/入夏高志組は単独2位を守ってゴールした。
小平つかさ/小平耕司組は3位でフィニッシュ。2CPでの減点が悔やまれる。
Bクラス表彰の各選手。

 Cクラスは入門者・初級者対象のクラスで、A、Bクラスが1秒につき減点1となる所を、10秒につき減点1と減点の基準が緩くなっている。それでも1CPは藤田美登里/西村章組が減点0でクリアと、初心者らしからぬ完璧なナビゲーションを見せる。

 しかし藤田組は、今回の難所とも言える2CPで二桁台の減点をもらい、1CPを減点2でクリアしていた狐塚泰久/齋藤繫光組も同じく二桁台の減点で首位奪回はならず。その後もこの2台は二桁台の減点が続く苦しいラリーとなるが、その中、トップに浮上したのはギャランGTOをドライブした菊地勉/久保宏組。

 菊池組は終わってみれば、6か所のCPの内、3か所で0減点をマーク。最大の減点も5CPでの7と、最後までひと桁台の減点で走り抜いて、総減点14で快勝した。注目された2位争いは藤田組が競り勝ち、狐塚組が3位に続いた。

Cクラスは最後まで手堅いナビゲーションを見せた菊地勉/久保宏組が優勝した。
優勝の菊地勉/久保宏組は「それなりに流れに乗って最後まで走れたと思います。山の中のステージも、途中、濡れた路面などもあってスリリングでしたが、楽しめました」と振り返った。菊池組がドライブしたギャランは、4年前に亡くなったラリーが大好きだった友人が所有していた車両。「ずっと彼の仏壇に何か捧げるものが欲しいと思っていたのですが、ようやくこのメダルを持っていけそうなので良かったです」と故人を偲んでいた。
関東のモータースポーツ界ではお馴染みの、ALEXカラーのアルトで走った藤田美登里/西村章組が2位に入った。
ラリー初体験の狐塚泰久/齋藤繫光組も無事、完走を果たして3位を獲得した。
Cクラス表彰の各選手。

フォト/佐久間健、JAFスポーツ編集部、SONNET レポート/JAFスポーツ編集部

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