ウェットの予選で楊昌樹選手が初PPも、ドライの決勝は宇髙希選手が今季2勝目!!
2023年6月20日
全5戦で争われる、2023年JAFオートポリス スーパーFJ選手権は第3戦を迎え、早くもシリーズの折り返しを迎えた。オートポリスといえば、山間の高地に位置するため、ただでさえ雨や霧に見舞われやすいが、梅雨時であり、かつ台風3号が接近しているとあって、天候が危ぶまれた。そのあたりも踏まえてレポートをお届けしたい。
2023年JAFオートポリス スーパーFJ選手権 第3戦
(2023ゴールドカップレース第3戦 内)
開催日:2023年6月10~11日
開催地:オートポリス(大分県日田市)
主催:APC、(株)オートポリス
予選
第1戦は遠征ドライバーでもある宇髙希選手が優勝を飾り、第2戦はベテランのKOUKI SAKU選手が久々の勝利を挙げている、オートポリスのS-FJ。
練習走行が行われた金曜日、土曜日はドライコンディションが保たれたが、肝心の日曜日は未明のうちに雨が降り、早朝の路面を濡らしてしまう。それでも時間の経過とともにコンディションは向上していった。
ところが、S-FJの予選が始まる前に雨が降り始めた。しかしすぐに止んで、ほぼドライコンディションでタイムアタックができるものと思われた。にもかかわらず、予選が始まって間もなく、コースの一部でポツリポツリと降り始め、やがて一気に勢いを増したからたまらない。各車両が計測1周目を終えた直後に、第1ヘアピン立ち上がりでコースアウトして、スタックした車両があったため、赤旗が出されてしまう。
残り9分で計測が再開され、順調にタイムを上げ続けていたのが楊昌樹選手。開始時はドライタイヤを装着していたが、赤旗中断前にウェットタイヤに交換していたのが功を奏したのだ。ほとんどのドライバーが再開前にウェットに換えたのに対して、宇髙選手やKOUKI SAKU選手らはドライのまま走り続けた。宇髙選手はそれでも2番手につけるも、最後の最後にウェット組の高橋裕和選手に逆転を許して3番手に。KOUKI SAKU選手は8番手に終わった。
宇髙選手は「ドライでも行けたはずなのに、最初のアウトラップで無駄にピットに入っちゃったんです。自分の経験が、悪い方向に行っちゃいました。まぁ、(ドライは)皮剥きしているし、ウェットもニュー残っているんで(苦笑)」と悔しがる。
一方、ポールポジションの楊選手は高橋選手にも、1秒以上の差をつけた。「ギリギリまでドライかウェットか迷ったんですけど、最終的にレインを選んで、ちょうどタイヤの美味しいところを使えたと思います。雨はけっこうひどかったんですけど、クルマをしっかりコントロールできて、まぁまぁの走りができたので、良かったです。初めてです、ポール獲るのは!」と、満足げな様子だった。
決勝
さて、決勝である。予選の後にもまた雨は降ったが、今度こそドライで走れる状況にまでコンディションは回復していた。ポールシッターの楊選手が好スタートを切ったのに対し、2番グリッドの高橋選手は完全に出遅れてしまう。
1コーナーでは宇髙選手、そして予選4番手の碓井ツヨシ選手と5番手の東慎之介選手が3ワイドで飛び込むも、インを押さえた宇髙選手が2番手でクリア。1周目を終えてトップの楊選手が宇髙選手、東選手、予選6番手だった入江裕樹選手の順で従えた。そしてKOUKI SAKU選手が早くも5番手に上げれば、6番手には12番グリッドから篠田義仁選手も続くことに。ここまで一列縦隊だった。
そんな中、2周目に差し掛かって間もなく、KOUKI SAKU選手に抜かれた入江選手にスタート手順違反のペナルティとして、10秒加算のアナウンスが。これでトップ争いがさらに絞られる。そのなかでも勢いがいいのが、2番手の宇髙選手だ。前を行く楊選手にプレッシャーをかけ続け、5周目の1コーナーで待望のトップを奪取。3番手に上がったKOUKI SAKU選手も、第2ヘアピンで楊選手をオーバーテイク。さらに楊選手は、7周目に篠田選手にもかわされ、4番手にまで後退した。
そのまま逃げたい宇髙選手だったが、KOUKI SAKU選手のベテランらしい粘りも光り、大きく引き離すまでには至らず。それでも宇髙選手は第1戦に続く2023シーズン2勝目を挙げ、ランキングトップをキープした。
「少しスタートをミスってしまって、ちょっと焦りましたが、そこは立て直して。楊選手をもうちょっと早く抜ければ良かったんですが、なんとか抜けました。後ろからKOUKI SAKU選手も来ていて、楽ではなかったんですけど、なんとか近づけないように要所、要所を押さえていました。今回は予選でいろいろありましたが、しっかりポイントもまた稼げたので、このままチャンピオン目指し、しっかり頑張ります」と宇髙選手は勝利までの道のりを振り返った。
そして、今季2勝目ならず2位のKOUKI SAKU選手は「本当はトップまで行きたかったんですけど、意外に宇髙くんが早かったので、難しかったです。予選で雨が降らなかったらね!あれは自分の判断ミスなので、仕方ないです」とドライで攻め続けた予選を悔やむも、切替えていた。
3位は篠田選手が獲得し、終わってみれば、予選をドライで挑んだドライバーたちが表彰台を占めた。PPだった楊選手は決勝で失速、無念の6位に終わっていた。
チャンピオン争いは、ランキングトップを走る宇髙選手と、17ポイント差の2番手につけるKOUKI SAKU選手の一騎討ちとなった感がある、オートポリスのS-FJ。残る2戦は第4戦が9月16~17日、最終戦となる第5戦が11月11~12日に控えている。
フォト/皆越和也 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部