極寒の北海道・糠平湖で毎シーズン恒例の氷上タイムアタックが45回目の開催!
2024年2月7日
2024シーズンも全8戦で開催されるJAF北海道ダートトライアル選手権。開幕の舞台は例年同様、北海道は道東に位置する上士幌町にある糠平湖に特設された糠平湖氷上コースである。今季で45回目となる「糠平湖氷上タイムトライアル」の特徴は、全国でも珍しく凍結した湖面の上でタイムを計測し、順位を争う点である。そして、氷上で4速全開の高速走行ができることが好評で、この一戦は北海道勢はもちろん九州からも駆けつけ、101台がエントリー。久しぶりだという3ケタの大台に乗せた。
2024年JAF北海道ダートトライアル選手権 第1戦
2023年JMRC北海道Moty’sダートトライアルシリーズ第1戦
第45回 糠平湖氷上タイムトライアル
開催日:2024年1月20~21日
開催地:糠平湖氷上コース(北海道上士幌町)
主催:Team-OSC
近年では地球温暖化の影響もあり、糠平湖に張る氷の状況が心配されているが、平年よりも厚い40cm以上となった。ただ、一昨年の冬の少雪や、昨年の夏の少雨、猛暑の影響もあり例年と比べて水位が6m以上低くなった。この影響で氷が圧縮され亀裂が入るなどしたものの、天候にも恵まれてコース設営に影響はなかったという。
またこの一戦のコースレイアウトは設定者によると「好評な高速区間を残しつつ、テクニカルな区間を増やしメリハリをつけました。難易度は上がったと思いますが、楽しんでいただけると思います」とのこと。実際、参加者からも好評の声が多かった。
当日の気温は-20℃。完熟歩行中は晴天だったものの、ヒート1開始後に雲が出始め、ヒート2では時折雪が舞う天候に。また、雲が出たことにより雪壁が視認しづらく、コースアウトする車両も発生することになった。
今季もJAF北海道ダートトライアル選手権には、FF-1クラスとFF-2/4WD-1クラス、RWDクラス、4WD-2クラス、Dクラスが設定されているが、この一戦ではDを除く4クラスが成立した。JMRC北海道Moty’sダートトライアルジュニアシリーズでは2クラスが成立し、シリーズ外部門ではクローズドの2クラスに加えて、この大会の名物でもあるエキスパートクラスも設定、全9クラスで競われた。
2023年JAF北海道ダートトライアル選手権 第1戦
2023年JMRC北海道Moty’sダートトライアルチャンピオンシリーズ第1戦
FF-1クラス
排気量1600cc以下、2WDのD車両以外で2000年10月以降に初年度登録された車両、あるいは排気量問わず2WDのAE車両で争われるFF-1では、地元・帯広の岡村巧選手が優勝。2位に約1秒の差をつける速さを見せた。
嬉しい糠平湖二連勝を達成した岡村選手は「練習走行で、昨年うまくいったことを思い出しつつ、いろいろなライン採りを試したら良い感触がありました。前半の高速区間と後半の細々としたコーナー区間の気持ちを切り替えながら、丁寧に運転することを心がけました。三連覇に向けて来年も出たいです!」と笑顔で語った。
FF-2/4WD-1クラス
FF-2/4WD-1はFF-1に該当しないD車両以外の2WDと、1600cc以下でD車両以外の4WDで争われた。ヒート1では昨季の糠平湖を制した菊池真選手が最終コーナーでコースオフし、波乱の展開となった。
このクラスを制したのは昨季の一戦では雪煙に翻弄され、2位だった内藤修一選手。クラス唯一となる両ヒートとも2分切りのタイムを記録し堂々の優勝となった。「今年もいやらしく難しいコースですが、氷が状態がよくて引っかかりも少なく面白かったです。100名以上のエントリーもあり、また往年のダートラの名選手とも走れる糠平湖の大会にこれからも出たいです」と語ってくれた。
RWDクラス
排気量区分なし、AEとD車両以外の後輪駆動車両で競うRWDでは昨季のランキング2位、和泉泰至選手がヒート1でトップタイムをマーク。さらにヒート2で0.491秒縮めて2分7秒653をマークして優勝… かと思われた瞬間、直後にフィニッシュした古谷欣竹選手がなんと2分5秒529を叩き出して逆転優勝!
ヒート1では最終コーナーでコースアウトしてノータイムだったものの、ヒート2は確実にフィニッシュまで車両を運び、2017シーズンの第39回大会以来の優勝となった。「ヒート1では綺麗にまとめて走っていたのですが、コーナーの角度を読み違えて、刺さってしまいました。タイムを出さなきゃ、とプレッシャーを感じてしまい2本目も色々と失敗したのですが… 勝てて嬉しいです。前回優勝した時は大雪で氷から水が湧いて、難しいコンディションだったのですが、今回は路面状況がよく気持ちよく走れました。」と振り返った。
4WD-2クラス
1600ccを超える、AEとD車両以外の4WDが集った4WD-2では昨季のチャンピオン、笠原陸玖選手が2ヒートとも1分46秒代のタイムを並べ、2位以下を2.5秒近く離す圧巻の速さで糠平湖二連勝を達成した。
しかし、当の笠原選手は「クラス優勝したのは嬉しかったのですが、オーバーオールタイムで師匠である田辺剛選手に負けたので、正直悔しいです。走っている時は手応えがありました。ヒート2ではラインが1本しかなく、丁寧に走ったつもりだったのですが… 師匠が一枚上手でしたね」と、昨季は勝利した、エキスパートクラスの田辺選手との師弟対決に敗れたことを悔しがった。
北海道ダートラの第2戦は季節が春に変わった4月21日。オートスポーツランドスナガワのダートトライアルコースを舞台に、北海道ダートラジュニアシリーズとともに開催の予定だ。
2023年JMRC北海道Moty’sダートトライアルジュニアシリーズ第1戦
J-1クラス
北海道地区でのダートトライアル入門シリーズを担う北海道ダートラジュニアシリーズ。D車両以外の2WDが対象となるJ-1クラスには3台がエントリー。EK9型ホンダ・シビック タイプRを駆る白山真司選手が2ヒートとも2位以下に大差をつけて、昨季の糠平湖に続き優勝を果たした。
J-2クラス
D車両以外の4WDで競われるJ-2クラスは三菱・ランサーエボリューションXを操る三輪晴也選手がヒート1から圧倒的なトップタイムをマーク。ヒート2ではタイム更新ならなかったものの、2位以下に大差をつける速さは変わらず、2ヒートとも制して完勝した。
クローズド1クラス、クローズド2クラス
2WDで競われたクローズド1クラスでは笹原孝志選手がクラスでただ一人、2分の壁を破る1分56秒607をヒート1で叩き出して逃げ切り優勝。
4WDが対象となったクローズド2クラスはダートラ界のベテラン、太田清隆選手がヒート1でマークしたトップタイムを誰も更新できずに優勝。2位以下に7秒以上の差をつけての圧勝となった。
エキスパートクラス
賞典外ながら毎年多数のエントリーを集めるエキスパートクラスでは、11台がエントリー。北海道勢の全日本ドライバー、田辺剛選手がヒート1でこの一戦でただひとり、1分46秒前半のタイムをマーク。ヒート2では「今回のコースは減速が重要なコーナーが多かったですね。1本目を走ってみて全体的にグリップが薄かったです。メカニックと一緒にセッティングを変更したのがよくて、オーバーオールのタイムを記録できました」と、さらにタイムアップを果たし、1分44秒805の総合トップタイムを記録した。
また、「ここはキャロッセのワークスドライバーだった大井義浩さんが好きだったコースで、何度か助手席に乗せていただいて思い出もあります。多くのチームが集まりますし、地元北海道のドライバーとして楽しんでいただきたいですし、続けていきたいです。」と糠平湖への熱い思いも語ってくれた。
フォト/遠藤樹弥、大野洋介 レポート/遠藤樹弥、JAFスポーツ編集部
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