鈴鹿・岡山S-FJは迫隆眞選手が岡山国際でのダブルヘッダーも制して開幕三連勝!!

レポート レース JAFWIM

2024年5月24日

岡山国際サーキットを舞台とする「OKAYAMAチャレンジカップレース」は、4月28~29日に早くも第3戦を開催。青空の下、初夏を思わせるような陽気の中で、それぞれのレースが激戦を繰り広げた。2024年JAF鈴鹿・岡山スーパーFJ選手権(鈴鹿・岡山S-FJ)と、新設された2024年F110 CUPのOKAYAMA Round、西日本王者決定戦はともに2レース開催。両シリーズとも参戦するドライバーもふたり存在し、慌ただしくも濃密な一日を過ごしてもいた。

2024年JAF鈴鹿・岡山スーパーFJ選手権 第2・3戦
2024年F110 CUP OKAYAMA Round 西日本王者決定戦
(2024 OKAYAMAチャレンジカップレース第3戦 内)

開催日:2024年4月28~29日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:(株)岡山国際サーキット、AC

2023年JAF鈴鹿・岡山スーパーFJ選手権 第2・3戦

第2戦予選

 2023シーズンから当該年に16歳になることを条件に、15歳のドライバーもフォーミュラカーのJAF地方選手権に限定Aライセンスを取得していれば出場できるようになったが、鈴鹿・岡山S-FJにも15歳のドライバーがふたりも参戦した。ポールポジション(ポール)を獲得したのは、そのうちのひとりで今回がデビュー戦となる杉田悠真選手。開幕戦ウィナーの迫隆眞選手とのシーソーゲームの末に、ラストアタックで約0.1秒の差をつけた。

「四脱(走路外走行のペナルティ)が不安でしたが、タイヤをうまく使えたので良かったです。ポールが取れたからには絶対に勝ちたいと思います」と語る杉田選手は、2008年12月11日生まれ。もしデビューウィンを飾れば、昨季のSUGOで豊島里空斗選手が達成した「15歳10か月」という最年少優勝記録を大幅に更新することになる。

 一方、二連勝を狙う迫選手は「ラスト2周でミスしてしまったので、1周捨てて次の周にいってタイムは上げられたんですが、コンマ1秒足りなくて残念です」と悔しそう。しかし、1周が短い岡山国際とはいえ、杉田選手から1秒以内に8人がひしめき合い、そのうち7人が10代とあって、激戦はどうにも避けられそうもなかった。

スーパーFJデビュー戦ながら最年少優勝記録更新の期待もかかった、15歳の杉田悠真選手(レヴレーシングwith LAPS)。激戦となった2024年JAF鈴鹿・岡山スーパーFJ選手権の第2戦の予選でポールポジションを奪取し、記録更新に一歩近づいた。

第2戦決勝

 第2戦の決勝ではフォーメーションラップを終えていざスタートという時、なんと杉田選手が本来のグリッドを通り過ぎてしまう。他のドライバーもそれにつられてしまったことから、スタートディレイ。1周減の11周となり、改めてフォーメーションラップが行われることになった。

 すると、あろうことか肝心のスタートで杉田選手は痛恨のエンジンストール。すぐにエンジンはかかったものの、大きく順位を落としてしまう。これで迫選手がトップに浮上し、好スタートを切った予選3番手の松井啓人選手が続いて早速トップ争いを繰り広げる。しかし、松井選手がついていけたのは4周目まで。そこから先はじわりじわりと迫選手が差を広げていった。

 一方で3番手争いがアツく、最後までバトルが繰り広げられた。まずは元山泰成選手を先頭にして、続いていたのは加納康雅選手と小田優選手。激しさのあまり、1周目で10番手だった杉田選手が終盤には追いついて、4台が一列になっていく。

 勝負が決したのは9周目のダブルヘアピン。立ち上がりで加納選手が元山選手を抜いて、表彰台の一角を奪うことに成功。対してスピードを見せた杉田選手は、あえて前に出ようとしなかった感も。というのは、続いて行われる第3戦決勝のスターティンググリッドは第2戦決勝の順位で決まり、トップ6はリバースグリッド。6位でフィニッシュすれば、トップの位置から“再び”スタートを切れるからだ。

 そんな思いを知る由もなく、逃げ続けた迫選手は「ペースが良かったので、次のレースは6番手からのスタートですが、この調子だったら追い上げていけると思います」とキッパリ。ちなみに先のグリッド間違いは訓戒とされ、結果に影響を及ぼすことはなかった。

「硬くなってしまって……。今のことをちゃんと反省して、次のレースにつなげていきたいと思います。またポールからスタートできるので、頑張ります」と語った杉田選手。果たして第3戦でリベンジは、そして新記録達成は果たせるか?

鈴鹿・岡山S-FJ第2戦の決勝は、PPの杉田選手がエンジンストールする横で確実にスタートを決めた迫隆眞選手(制動屋)が完璧なレース運びを見せ、2位以下を2秒以上離して勝利を挙げた。
3番グリッドからスタートし、トップを追った松井啓人選手(FTKレブレーシングガレージ)だったが迫選手に迫ることはならず、2位でフィニッシュした(左)。スタートからフィニッシュまで、複数台によるバトルを展開した3位争いは、6番手スタートの加納康雅選手(イーグルスポーツ)が制した(右)。
鈴鹿・岡山S-FJ第2戦の表彰台には、左から2位の松井選手、優勝した迫選手、3位の加納選手が登壇した。
ジェントルマンドライバークラスは、妹尾俊郎選手(SSEC☆KRS☆10V、左)と山根一人選手(光精工TK-Sport MYST、右)の一騎討ち。予選クラストップ、総合14番手からスタートした妹尾選手がクラストップを守った。
鈴鹿・岡山S-FJ第2戦ジェントルマンの表彰台。左から2位の山根選手とトップの妹尾選手。

第3戦決勝

 だが第3戦、12周の決勝では2番グリッドから小田選手が好スタートを切って、杉田選手を従えて1コーナーにトップで飛び込んでいく。一方、迫選手もスタートを決めて、まず1台をパス。さらにオープニングラップのうちに4番手に、2周目のWヘアピンで加納選手をかわして、早くも3番手に躍り出た。

 トップの小田選手は1周目だけで杉田選手を約1秒引き離したが、そのまま差は広がっていかず。対照的に迫選手が徐々に杉田選手との差を詰め、4周目のWヘアピンで並んで、続くリボルバーコーナーで2番手に浮上。勢いに乗る迫選手は小田選手にも近づいていく。仕掛けは一発。9周目のWヘアピンでインを刺し、小田選手の前に出る。

 いったんは迫選手と小田選手に離されかけていた杉田選手ではあったが、「最後の方の走りが序盤からできていたら、結果はまた違っていたかも」と語るように、走りをアジャストしてからは再接近し、約0.2秒を切るまでに小田選手に近づくもタイムアップ。ファイナルラップにファステストラップを記録した15歳のドライバーは、これからに期待である。

 これで開幕三連勝を飾った迫選手も、まだ16歳。2位の小田選手も19歳とあって、表彰台に立った3人の年齢を合わせても50歳とは! 彼らの名前を今から覚えていても、決して損はないだろう。

「スタートがいつもより成功して、ペースも良かったので淡々と追い上げるだけでした」第3戦の後に語った迫選手ではあるが、その淡々と…… が至難の業。それをいとも容易く成し遂げ、今季はまだ負けなし。「このままいきます!」と力強く語っていた。

 ジェントルマンドライバークラスは妹尾俊郎選手と山根一人選手の一騎討ちだったが、2戦とも妹尾選手が制すことに。「レース1は最後尾争いみたいな感じでしたが、レース2は若い人とバトルもできたし、楽しかったです。ジェントルマンクラスも増えてほしいですね」と語っていた。

前戦のリザルトからトップ6はリバースグリッドとなった第3戦決勝で、6番グリッドからのスタートとなった迫選手だったが、12周のレースの1/3で2番手に上昇。終盤の9周目にトップを奪うと逃げ切り開幕三連勝、2023シーズンに見られた欠点も克服したか、チャンピオンに向けて最短距離で突き進んでいる。
第2戦は5位だった小田優選手(Drago CORSE TAKE)は第3戦で2番グリッドからホールショットを決めてトップに立ったが、迫選手に仕留められて2位。S-FJ初優勝はならなかった(左)。第2戦はスタートを失敗して6位になった杉田選手はトップからスタートを切るが3位フィニッシュ。最年少優勝記録更新は次戦に持ち越しとなった(右)。
鈴鹿・岡山S-FJ第3戦の表彰台に上がったトップ3選手。左から2位の小田選手、開幕三連勝の迫選手、デビュー2戦目でシリーズ初表彰台となった3位の杉田選手。
鈴鹿・岡山S-FJ第3戦のジェントルマンは、第2戦に続き妹尾選手がクラストップ、総合12位でフィニッシュ。クラス2位の山根選手は総合14位、表彰台の顔ぶれは、第2戦と同様となった。

2024年F110 CUP OKAYAMA Round
西日本王者決定戦

予選

 昨季までJAF FIA-フォーミュラ4地方選手権(FIA-F4)で用いられていた“第1世代”の車両、童夢F110による新シリーズ「F110 CUP」が誕生。まずは岡山国際で西日本王者決定戦として2レース、モビリティリゾートもてぎで東日本王者決定戦として2レースが開催される。レギュレーションは昨季までのFIA-F4にほぼ共通し、唯一の違いは予選、決勝を通じてタイヤは2セットまで使用が可能なことだ。

 当初のエントリーは8台だったが、予選を前に1台が参加を取り消し、さらに渡会太一選手が予選に挑もうとした瞬間にミッションケースが壊れる不運があり、走らずしてリタイアに。そのため、6台での戦いとなった。

 予選はレース1のスターティンググリッドを決めるベストタイム、レース2のグリッドを決めるセカンドベストタイムともに、トップは藤原優汰選手が獲得。2022シーズンにFIA-F4を戦い、昨季はOKAYAMAチャレンジカップのVITAでチャンピオンとなり、今季はSUPER GTのGT300クラスにも参戦している18歳のドライバーだ。

「想定ぐらいのタイムは出ていたんですけど、本当はもうちょっといきたかったです。スタートさえ決まれば、決勝も大丈夫だと思います。過去のFIA-F4を見てもらったら分かるとおり、スタートで終わっていました(苦笑)。新しいカテゴリーの最初のレースなので、勝ちたいですね」と藤原選手は予選の走りを振り返った。

OKAYAMA Roundの2レースで初開催となったF110 CUP。初代ポールシッターは藤原優汰選手(AKILAND F110)が獲得した。レース2のスターティンググリッドを決めるセカンドベストタイムでもトップタイムを記録して、西日本王者獲得に向けて大きく前進した。

レース1決勝

 12周のレース1決勝で、藤原選手の横に並んだのは鈴鹿・岡山S-FJにも参戦する酒井翔太選手で、同じくS-FJ組の松本拓海選手、そして三浦愛選手が続く。実際にスタートには失敗した藤原選手だったが、1コーナーへのホールショットを決めた松本選手を、早々にWヘアピンでかわしてトップに立つと、そのまま後続を引き離し続けて12周を走破。

「エンストしないようにスタートしたので、そういう意味では成功ですけど(苦笑)。すぐトップにも立てましたし、最後までアクセル緩めず走りました」と、13秒近い大差でポール・トゥ・ウィンを達成した。

 その後方では松本選手、酒井選手、三浦選手の順で2番手が競われたが、何度もかけた酒井選手の揺さぶりに松本選手は動じず、2位を守り抜いた。

レース1決勝での藤原選手は慎重なスタートでトップの座を譲るも、オープニングラップのうちに奪還。ファステストラップもマークしながら後続を13秒近く突き放し、完勝でシリーズ初代ウィナーを獲得した。
3番グリッドから抜群のスタートでホールショットを奪った松本拓海選手(AKILAND ERS F110)だったが、トップの座は1周も保たず。しかし、三つ巴のバトルを制して2位を獲得した(左)。JAF Formula Beat地方選手権と各地のS-FJにも参戦する酒井翔太選手(ファーストガレージF110)はフロントロウからのスタートで松本選手の先行を許し、ファイナルラップまで追い回すも再逆転はならず、3位となった(右)。
F110 CUP初の表彰台には、左から2位の松本選手、初代ウィナーの藤原選手、3位の酒井選手が登壇。松本選手と酒井選手は鈴鹿・岡山S-FJにも参戦したドライバーだ。

レース2決勝

 レース2では再びトップの藤原選手の横に酒井選手が並び、三浦選手が加藤選手と順番を入れ替わった。今度は決してスムーズな発進ではなかったものの、誰にもトップを奪われずに藤原選手はレースを開始。予選にも匹敵するファステストラップを連発し、ほぼ10秒差をつけての二連勝となった。

「自分としてはスタート、大成功です! ニュータイヤでいって、いいタイムを連発できたのは狙いどおりです。来週はGTで、それに向けてもいい流れを作れたので、上位を狙いたいですね」と藤原選手は満足そうに語っていた。

 2番手争いはまたもや熾烈だったが、スタートで前に出た三浦選手が、フィニッシュまで松本選手と酒井選手を封じ込める格好で2位を獲得、3位に松本選手が続き、約0.3秒差で酒井選手が4位でフィニッシュした。

 もてぎが舞台となる東日本王者決定戦は、10月19〜20日に開催される予定である。

レース2ではトップからホールショットを決めた藤原選手は、そのまま逃げ切って二連勝。2戦とも予選トップ、ファステストラップ、優勝の全てを占める速さを見せて見事、西日本王者に輝いた。
藤原選手が10秒近い差をつけて逃げた後ろで、再びアツい2位争いが展開された。レース2は3番グリッドからスタートした三浦愛選手が2位を獲得。ソーラーカーレース鈴鹿で幾度も総合優勝を果たし、JAF全日本F3選手権Nクラスでの優勝や2度のKYOJO CUPチャンピオンなど、経験豊富な女性ドライバーだ(左)。レース2では4番手スタートとなった松本選手は、順位をひとつ上げて3位フィニッシュ、2戦連続で表彰台に上がった(右)。
F110 CUP OKAYAMA Roundレース2の表彰台には左から、2位の三浦選手、優勝で西日本王者を決めた藤原選手、3位の松本選手が登壇した。

フォト/吉見幸夫 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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