鈴鹿レースオブアジアのGTWCA Rd.7でTEAM 5ZIGENのGT-Rが総合優勝!
2024年9月13日

「SRO GT Power Tour」として、また「鈴鹿レースオブアジア2024」として、2024 Fanatec GT World Challenge Asia Powered by AWS(GTWCA) Round7&8、そしてJapan Cupの第5・6戦が、7月5〜7日に鈴鹿サーキットで開催された。梅雨時とあって雨に見舞われるのか、はたまた猛烈な暑さになるのか、どうあれ超タフなレースになることだけは大いに予想されるところだった。
SRO GT Power Tour
2024 Fanatec GT World Challenge Asia Powered by AWS Round7&8
Japan Cup第5・6戦
鈴鹿レースオブアジア2024
開催日:2024年7月5~7日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:GSS、SMSC、ホンダモビリティランド(株)
2024 Fanatec GT World Challenge Asia Powered by AWS
Round7&8
予選Q1・Q2
富士スピードウェイで開催されたRd.5&6から2週間の短いインターバルで、舞台は鈴鹿に移された。予選が行われた6日は晴れだったものの、練習走行が行われた5日より気温こそ4度下がった36℃だったが、路面温度は51℃から43℃まで下がっていた。ちなみに5日の最速はPro-Amクラス(PA)、Origine Motorsportの4号車992型ポルシェ911GT3Rを駆るLaurin HEINRICH選手が記した2分1秒42だったが、Q1で早くもそのタイムに迫る2分1秒769が、Silverクラス(S)で41号車アウディR8LMS GT3エボIIを操るAudi Sport Asia Team AbsoluteのAkash Neil NANDY選手によってマークされた。
一方、Q1で日本人勢最速だったのは、Silver-Amクラス(SA)にTEAM 5ZIGENから500号車日産GT-RニスモGT3で参戦するHIROBON選手で、2分2秒021を記録して総合4番手。「一昨日はニュー(タイヤ)で行ったら赤旗が出て、もう一回行ったらチェッカーでアタックできず。昨日もニュー履く前にパワステ吹いちゃって。だから、今の(Q1)がニューでのぶっつけなので、ちょっと自信なかったんですけど、なんとかまとめられました」と、驚きのコメントを発した。
「けど、ニューのアタックは試しておきたかったですね。そうすれば、もう少しイケたと思います。逆にいうと決勝はコンスタント(な走り)に自信があるので」と語るあたりは、なんとも頼もしい。
続くQ2では、ついに2分0秒台に突入! しかも2分0秒387をマークしたClimax Racingの66号車メルセデスAMG GT3エボを駆るPAのJules GOUNON選手から1秒以内に、15台が並ぶという大接戦だ。ここでも日本人ドライバー最速は、500号車GT-RのHIROBON選手と組む金丸ユウ選手で、2分0秒882の総合9番手。
「僕としては、もう少しまとめられるところはあったんじゃないかって。まとめられれば4番手とか5番手ぐらいのタイムが出せそうでした。でも、練習の時思ったより良いところにいるし、クルマの状態は良いです」と、金丸選手も決勝に期待を抱かせるコメントを発してくれた。




Round7決勝
Japan Cup第5・6戦の予選後に行われたRd.7決勝は、上空に雲がかかって気温が33℃まで下がったが、逆に路面温度は48℃に上昇。ここで気を吐いたのが、2番グリッドからスタートしたSのFAW Audi Sport Asia Racing Teamで36号車R8を駆るFranky Congfu CHENG選手だった。鋭いダッシュを決め、1コーナーでポールシッターの41号車R8のNANDY選手を抜いてトップに立つ。
一方、500号車GT-RのHIROBON選手はポジションキープの総合4番手からレースを開始。6周目のスプーンで先行車両のオーバーシュートに乗じて、総合3番手に浮上する。その時点で総合トップを争う2台からやや離されてはいたが、NISSINブレーキヘアピンでコースアウトがあったことでセーフティカー(SC)が出動し、一気に差が詰まった。
この時のSC先導は1周だけだったが、9周目のASURA S字コーナーでまたしてもコースアウトがあり、スタートからほぼ23分経過したタイミングで2度目のSC出動。スローペースで周回するうちに、ピットウィンドウオープンの時を迎えることになった。すると、先のコースアウトから復帰した車両を除く全車両が、ピットになだれ込んできたではないか!
ちなみにトップの36号車R8は、富士でのRd.6で総合3位に入ったことから、ピットでの停止時間が5秒追加されているため、500号車GT-Rの金丸選手は36号車R8のAdderly FONG選手より前でコースに戻れるのは確実だったが、それだけではなかった。
総合トップでコースインした金丸選手に続く総合2番手につけたのはSAでOrigine Motorsportの87号車992型911に乗るLeo Hongli YE選手で、金丸選手と同じシルバーランクのドライバー。SC先導は2周で終わり、リスタートで引き離せなかった金丸選手ではあったが、YE選手がシルバーであったことが、冷静に抑え続けられた要因にもなっていた。とはいえ、ふたりの背後にはプロドライバーで4号車992型911のHEINRICH選手も続いており、予断を許されない状態ではあった。
そんな中、16周目の130Rでまたしてもアクシデントが発生し、3度目のSC出動に。2周先導した後、フィニッシュまで残り10分を切った段階でバトルは再開される。リスタートから2周でYE選手をかわしたHEINRICH選手が、金丸選手にヘアピンで迫るも、ここはラインをしっかり押さえてトップを譲らず。逆にYE選手がHEINRICH選手にスプーンで再逆転を試みるも、その際にアウトに膨らんで、わずかながらも金丸選手はリードを広げることに成功。
なおも続いた総合優勝争いは、最後の最後に最終コーナーでHEINRICH選手がインを刺しにかかるも、0.2秒差で辛くも金丸選手は逃げ切り、500号車GT-RはSAでの今季3勝目と、GTWCAで初めての総合優勝を飾った。
HIROBON選手は、「3番手には上がれたけど、全然離せなかったので、SCに助けられました。めっちゃ良かったです! ピットも最高に良かったです!」と喜んだ。そして、金丸選手は「ピットの仕事が素晴らしくて、トップで戻してくれました。正直、かなりキツかったんですけど、最初はシルバー同士の戦いだったので、なんとか逃げ切ることができました。総合優勝を飾ったので、(Rd.8は)15秒多くピットに止まっていなくてはならないから、厳しい戦いになるでしょうが、できる限りのことはやっていきたいと思います」と、ともにチームへの感謝を忘れなかった。ちなみに、この日はチームを率いる木下正治代表の誕生日でもあり、最高のプレゼントとなった。
そしてSAの3位で、総合でも6位に入ったのはポルシェセンター岡崎の18号車992型911で挑む永井宏明/上村優太組だった。予選は総合16番手だったが、永井選手がまず2ポジションアップ。ピット作業も素早く、総合9番手でコースに入った上村選手は、先行車両のペナルティだけでなく、自身もオーバーテイクを重ねて総合6位を掴み獲った。
永井選手は「だいぶ前に行きました。うまくスタートも切れましたし、ピットも最高でした。全体的にうまく決まりましたが、表彰台に上がれるとは思いませんでした。全体の中でいいレースができましたし、上村選手も頑張ってくれました」と、相方とピットを称えた。そして、上村選手は「もうピットチェンジのタイミングで結構前にいたので、後は集中して前についていくという感じで、うまくクラス3番手に上がれました」と、レースを振り返ってくれた。
Garage75の75号車フェラーリ296GT3をドライブするDavid TJIPTOBIANTORO/Christian COLOMBO組が制したAmクラス(A)の2位はThe Spirit of FFF Racingの19号車R8で戦う大蔵峰樹選手が獲得。相棒の濱口弘選手はこのレースウィークにイタリアのイモラ・サーキットで行われた、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第3戦に参戦したために孤軍奮闘ながら、3戦連続で表彰台に立つこととなった。
しかし、レース内容には納得がいかなかったようで「ライバルチームが速いアマチュアと遅いアマチュアの組み合わせで予選タイムを比べると、何もなくそのままいければ1位獲れたはずなんですけど…… 遅い人と同じ組でSC入っちゃったのでギャップつくれなくて、逆に後半の速い人の組でピットアウト後のごちゃごちゃの中で(先に)行かれちゃいました。もったいなかったですね」と、レース後にこぼしていた。












Round8決勝
Rd.8の決勝が行われた7日は、再び快晴となって気温は34℃、路面温度は52℃にまで高まっていた。15秒のピットストップ加算があるにせよ、9番グリッドからスタートし、再び活躍が期待された500号車GT-Rだったが、これだけの暑さではターボ車両にはとてつもない足枷となっていたようだった。スタート後の加速が鈍り、1周目だけで5つも順位を落とした。
一方、トップでオープニングラップを終えたのは4号車992型911のHEINRICH選手だった。スタート直後の1コーナーでの攻防こそ競り勝っていた66号車AMGのGOUNON選手だったが堪えきれず。3周目を終えた段階でHEINRICH選手は約1秒2までリードを広げた。Rd.7で総合2位だった4号車992型911はピットインでの加算が10秒あるだけに、HEINRICH選手は少しでも逃げておきたいところだった。
ところが、3周目にスプーンでアクシデントが発生、止まってしまった車両の一台が、Aで連続表彰台を狙っていた19号車R8の大蔵選手だった。コースにはデブリも散乱し、SCの先導は4周にも及んだ。リスタートが切られると、何事もなかったかのように再び逃げ続けたHEINRICH選手だったが、ピットウィンドウオープンの段階で約3秒差では心許ない。
大半のチームがスタートから35分のギリギリまでピットストップを遅らせる中、HEINRICH選手は1周早く入ってアンダーカットを狙うも、パートナーのLU選手は総合3番手で戻るのが精いっぱいだった。
これで66号車AMGのBihuang ZHOU選手が再び総合トップに立つも、またしてもスプーンでアクシデントが発生し、2度目のSC出動に。2周後のリスタートで、ZHOU選手はPAのAbsolute Racingで1号車992型911を駆るAnthony LIU選手にインを突かれるも、しっかりガードを固めて逆転を許さない。
2台の激しい総合優勝争いが続くも、18周目に立体交差の先で車両が横転。当初はフルコースイエロー(FCY)だったが、残り2分でSCに切り替えられて、そのままフィニッシュとなり、66号車AMGが総合とPAの優勝を果たした。
2位はLIU選手とAlessio PICARIELLO選手を擁する1号車992型911。なお、総合3番手を走行していた車両が1秒ピット停止時間が足りずピットストップを命じられていた。しかし、FCYによりピットに戻れず、ペナルティ未履行で大きく順位を落としたことで、4号車992型911が繰り上がった。
またSAの優勝は総合4位の87号車R8が獲得し、同クラス3位で総合11位の内山清士/近藤翼組を擁するポルシェセンター岡崎の25号車992型911が、日本勢最上位となった。予選は総合13番手だった25号車992型911だが、近藤選手が1周目で1台をパス。さらに上位陣がペナルティによる後退で、総合トップ10入りもあとわずかなところにまで迫った。
内山選手は「クルマのセットを変えて、走っているフィーリングはすごく良かったんですけど、アクシデントが多くて、あまり走れなかったのが残念でした。走った感がなくて、もうちょっと走りたかったです」と、物足りなかった様子だった。
近藤選手も「1周目の混乱をうまく抜けられて、その後は前とバトルしていたんですが、なかなか追い抜けなくて、もうちょっとだったですね。予選で順位が低かったので、また次回頑張ります」と嬉しさゼンカイ、という様子ではなかった。また、500号車GT-Rは総合22位、SA8位に甘んじてSAランキングトップ奪還は果たせなかった。











Japan Cup第5・6戦
予選Q1・Q2
Japan Cup第5・6戦の予選はGTWCA予選の後に行われた。Q1でチェッカーが振られた周に2分3秒348をマークした、GT3のPAに参戦するK-tunes Racingの98号車296を駆る山脇大輔選手が、トップに立ったと思われた。劇的な展開に、「本当はずっと引っかかっていて、最後に出すつもりじゃなかったんです。昨日より気温も路面温度も下がっていたので、グリップ感はよりある感じでした」と語っていたのだが…… 。
しかし、その周は黄旗が振られていたため、採用されなかったばかりか5グリッド降格のペナルティを課されてしまったのだ。件のラップまでは総合4番手だったことから、9番グリッドからのスタートを余儀なくされることになった。
これにより第5戦のPPはGT3、BINGO RACINGの9号車シボレー・コルベットC7 GT3-Rをドライブする武井真司選手が獲得。なお鈴鹿でもパートナーはMOTOKI選手のため、Aで戦うことになる。これに続いたのは同クラスの7号車296を操るComet Racingの辻子依旦選手とTeam MACCHINAの55号車マクラーレン720S GT3に乗る植松忠雄選手だった。
鈴鹿でのGTCは2台での戦いとなった。当初はGT4のAでのエントリーだったABSSA MOTORSPORTだったが、練習走行中にアクシデントがあり、急遽16号車フェラーリ488チャレンジでGTCのPA参戦に改めたためだ。その16号車488の片山究選手がGTCのトップタイムをマークした。
また、GT4にもクラスを改めた車両があった。D‘station RacingがGT3のAから移行してきたのだ。47号車アストンマーティン・ヴァンテージAMR GT4のステアリングを託された星野辰也選手がAでトップ、GT4総合の3番手を獲得。そして星野選手を上回ったのはSAの2台で、YZ RACINGの50号車BMW M4GT4を駆る藤井優紀選手が、TOYOTA GAZOO RACING INDONESIAの39号車GRスープラGT4エボを操るHaridarma MANOPPO選手を約0.2秒差で従えた。
藤井選手によると、「鈴鹿を走るのは人生2回目なんです。何度も引っかかってはいたんですが、トップ獲れて良かったです。周りのクルマはストレートが速いので、楽な戦いにはならないかもしれませんが、クルマの調子は悪くないです」とのことだった。
続くQ2でPPは2分0秒92をマークした、98号車296の高木真一選手が獲得。同じGT3PAで96号車レクサスRC F GT3を駆る、チームメイトの新田守男選手を約0.7秒引き離した。
高木選手は「今年からフェラーリの296っていう、いいクルマに乗らせてもらっているので、予選だけは負けるわけにはいかないですよね。チームが一丸になって、いいセットアップにしてくれたので、いい感じですよ。しかし、暑くて南国みたい(笑)。暑さも含めて、レースを楽しみたいですね」と語った。
総合3番手はの9号車コルベットのMOTOKI選手で、GT3Aではトップだった。
一方GT4は、終盤になってデグナー立ち上がりでコースアウトした車両があって赤旗が出され、再開はされたものの、残すは3分50秒。赤旗提示直前に走り始めたため、まだSAの和歌山トヨタwith HOJUST RACINGで38号車GRスープラをドライブする末廣武士選手と、39号車GRスープラの野中誠太選手はタイムを残せずにいた。まさにワンアタック勝負の中、きっちりGT4総合トップタイムを出してきたのは38号車GRスープラの末廣選手だった。
「後半勝負じゃなくて、ハブボルト折れちゃったんですよ。Q1終わって僕のQ2用のタイヤに換えていたら、折れていたんです。急いで作業してくれたけど、開始から5分ぐらい遅れちゃって。出て行ったら赤旗。結構ドタバタの予選でしたが、なんとかまとまって良かったです。今回こそ決勝はスムーズにいきたいですね」と、末廣選手は舞台裏を明かしてくれた。どうにもこのチームは波乱続きだ。
GT4総合2番手はSAでSUNRISE BLVD.の82号車ポルシェ718ケイマンGT4RSクラブスポーツを操る藤原大暉選手で、GT4総合3番手が50号車M4GT4の加納政樹選手。野中選手はGT4総合4番手で、47号車ヴァンテージGT4の浜健二選手がこれに続いて、Aのトップに。GTCは16号車488の井上雅貴選手がトップで、総合では7番手を獲得した。





第5戦 決勝
第5戦の決勝は、GTWCA Rd.7決勝の後にスタート。ポールシッターで9号車コルベットの武井選手がオープニングラップだけで7号車296の辻子選手を2秒近く離すも、翌周にはギヤトラブルを抱えてスローダウン。代わって総合トップに辻子選手が立つも、55号車720Sの植松選手がピタリと食らいついて離れない。激しく総合トップが競われる間に近づいてきたのが98号車296の山脇選手だった。総合9番手から1周だけで総合5番手に上がり、5周目にはチームメイトで96号車RC Fの末長一範選手もかわして総合3番手まで追い上げた。
一方、11周目のS字で総合トップが入れ替わる。辻子選手を植松選手がバックマーカーを巧みに使って抜いたのだ。ピットウィンドウオープンと同時に末長選手から新田選手への交代を行なったのが、総合4番手の96号車RC F。次の12周目に7号車296が辻子選手から山﨑裕介選手に、98号車296は山脇選手から高木選手への交代が行われるが、結果的に96号車RC Fはアンダーカット成功となる。単独走行の植松選手が15周目にピットに入ると、新田選手の前にいたのは山﨑選手のみ。15周目のNIPPOコーナーで、満を辞して総合トップに躍り出た。
17周目の1コーナーでは、高木選手が総合2番手に浮上。そして徐々に新田選手との差も詰めていく。そして19周目には植松選手が総合3番手に上がるとともに、Aのトップにも浮上。だが、それ以降のペースが思うように上がらない。実はこの時、植松選手はエアコンの不調を抱えており、「本当につらくて、一瞬、気が遠くなって」と、24周目のデグナーでコースアウト。幸い、すぐに復帰できたが、山﨑選手に総合3番手とクラストップを明け渡してしまう。
一方、総合トップ争いは、最後に差は1秒を切るまでに近づいたものの、新田選手の辛勝に。「僕ら、前回4位だったからピットの停止時間の追加はなかったけど、(高木)真一たちは前回勝っているから15秒追加されていたでしょう? でも、そのマージンじゃフェラーリ、すごく早かったから追いつかれると思って、初めのウォームする前に『なるべく他のクルマを早いうちに抜いておかなきゃ』っていうのがあったので、そこでタイヤ使っちゃって。それでギリギリまで来られたけど、逃げ切れて良かった〜」と、新田選手は安堵した様子だった。
相棒の末長選手は、「僕はどうにかつなげられたので、すごく新田さんが追い上げてくれたから、だいぶいい展開にできました。僕自身、優勝は久しぶりで良かったです。K-tunesバトルで楽しかったです」と、チームとして1-2フィニッシュを飾れたことも含め、満足そうな表情で語っていた。
総合3位は7号車296でAでは優勝。GTCは16号車488が制し、総合でも6位に入った。
一方、GT4では50号車M4GT4の藤井選手が、GT4総合トップのままスタート。その後方では2周目のスプーンで38号車GRスープラの落合俊之選手が、39号車GRスープラのMANOPPO選手を抜いてGT4総合2番手に上がるが、藤井選手との差は広がる一方だった。50号車M4GT4が藤井選手から加納選手への交代をピットウィンドウオープンと同時に行うと、38号車GRスープラも落合選手から末廣選手への交代を合わせて実施する。
前戦GT4総合2位でピット停止10秒追加の50号車M4GT4に対し、38号車GRスープラはGT4総合4位だったため追加タイムはゼロ。その結果、藤井選手が築いた約6秒差は覆された。しかし、ペースに勝るのは藤井選手から引き継いだ加納選手だった。徐々に差を詰め、やがてテール・トゥ・ノーズに。実は末廣選手はタイヤ無交換だったため、ペースを上げたくても上げられなかったのだ。絶体絶命の状態が何度も続くが、その都度ガードを固めて加納選手の逆転を許さない。他クラスの車両を盾にすることさえあった。
見応えのあるバトルの末に、38号車GRスープラはシリーズ初優勝。「面白かったって? 面白くない! サクセスピットの分がタイヤ交換しているとチャラになっちゃうので、前に出て抑えようと思って、行った後にみんなのタイヤ確認してって言ったら『みんな換えました』って。嘘やろ! と。 さすがに無謀だったかなと思ったけれど、なんとか抑え切れた結果、勝てて良かったです。明日は楽したい(笑)」と末廣選手は、波瀾万丈の勝利だったことを明らかにした。
GT4総合3位は39号車GRスープラが獲得し、GT4総合4位でフィニッシュした47号車ヴァンテージGT4がAの優勝を飾った。「星野選手がずっと調子良かったので、僕は迷惑かけずに走れて良かったです」と、浜選手は胸をなでおろした様子で語った。












第6戦 決勝
GTWCA Rd.8決勝の後に行った第6戦決勝は、このレースウィーク最悪のコンディションだった。気温は36度、路面温度に至っては59度にまで達していたのだ!
注目されたのは、フロントロウに並んだ98号車296の高木選手、96号車RC Fの新田選手によるチームメイト同士の総合トップ争いだったが、オープニングの1周だけで高木選手は新田選手を約1秒も引き離し、そのまま逃げていく。第5戦のサクセスピットの分、5秒遅れても取り返せる計算だが、その走りはそんなのお構いなし、といった具合だった。
リードを10秒近くまで広げた15周目に高木選手はピットイン。同じ周に新田選手も入って、96号車RC Fを末長選手に後半を託すと、98号車296の山脇選手との差は案の定、13秒にも広がっていた。山脇選手は、その後ペースを抑える余裕も…… と思われていたが、どうやらそうではなかった様子。そして、更に厳しくなっていたのは末長選手だった。
というのも、9号車コルベットの武井選手が、徐々に差を詰めてきていたのだ。交代直後には5秒近くあった間隔は、2周後に1秒を切るまでに。そして19周目の1コーナーで末長選手のインを刺した武井選手ではあったが、接触してしまう。末長選手はすぐに戦列復帰できて総合2番手をキープできたが、武井選手は総合6番手に後退。さらに、この接触に対し、ドライブスルーペナルティが命じられるも、そのまま走り続けた武井選手には黒旗が提示されてしまう。
これで、更に大量のリードを得た山脇選手は自身のペースも回復することもでき、独走のまま98号車296は今季3勝目をマーク。チャンピオンへまた一歩前進を果たした。
スタートを任された高木選手は「新田さんとの勝負だったので、そこの様子見ながら走っていました。ただ本当は、セッティングを尖った選択してしまって、それで後半ちょっとオーバーステアでペース上がらなかったので、ちょっとやばかった。いろいろ勉強になった週末です」と、振り返った。
高木選手からバトンを受けた山脇選手は、「今日は淡々と走れました。でも、ちょっとクルマのダイヤルが本来の位置じゃないところにあって、最初ペースが思っていた以上に遅くて焦ったんですけど、一捻りしたら元に戻ったんで良かったです」と、明かしてくれた。結果的には約50秒差の圧勝だったが、全く問題がなかったわけではなかったようだ。
そして、K-Tune Racingが2戦連続の1-2フィニッシュを飾り、「後半はめちゃくちゃキツかったけど、昨日の優勝以上に格別な喜びがありますね。1コーナーではヒヤッとしたけど、すぐ戻れたから大丈夫でした」と語ったのは2位の末長選手だ。
総合3位でフィニッシュし、Aで2連勝を飾ったのは、7号車296の辻子/山﨑組。最後は末長選手に1秒を切るまでに迫っていたが、あと一歩及ばず。それでも「最後はタイヤがキツかったから仕方ないです。だけど、嬉しいですね。暑かったけど良かったです。ふたりともミスなく走った結果ですね」と、辻子選手は清々しく振り返った。
山﨑選手は自らのゼッケン7になぞらえて、「7月7日で、7の日なので。7号車が優勝するって、七夕に願いを込めて頑張りました」と、結果には大いに満足そうだった。
GT4では、第5戦GT4総合優勝による15秒のサクセスピットを、38号車GRスープラが跳ね除けた。末廣選手がスタートと同時に逃げ始めたのは、前戦でタイヤ無交換だったため、その分フレッシュなタイヤが残っていたからだ。レース後半を担当する落合選手のために、タイヤを温存する必要がなく、ハイペースでの周回が可能だったというわけだ。
対して50号車M4GT4はセオリーに反してピットウィンドウオープンと同時に、加納選手から藤井選手へと早めの交代を敢行。GT4総合4番手でバトンを託された藤井選手だったが、オーバーテイクを繰り返して18周目にはGT4総合2番手に浮上する。
50号車M4GT4は、前戦でGT4総合2位を獲得してサクセスピットを10秒課されてはいたが、38号車GRスープラに対して5秒のマージンがあるはずだった。GT4総合2番手に上がった時点で6秒6ほどあった差を着実に詰めていった藤井選手ではあったが、最後は約2秒届かず。
連勝を飾った末廣選手は「もう、今日は予定どおり! タイヤが良い状態のペースが良いのは分かっていたので、とにかくプッシュ、プッシュ。後半のタイヤのことは考える必要がなかったので」と会心の展開に満足そうだった。
そして落合選手も「けっこう後ろが近づいてきていたので、『ああ、これちょっと気合い入れなきゃいかんかな』と思いつつ、あんまり気合い入れてもタイム出なかったりするので、昨日よりも楽させてもらいました。いいレースでした」と、内容に納得の様子だった。
一方、Aでは47号車ヴァンテージGT4が連勝を飾り、「何事もなく、熱中症にもならず、無事に完走できて良かったです」と、星野選手は振り返った。またGTCでも16号車488が連勝を果たした。












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