札幌市内の新会場にて、北海道モータースポーツ表彰式が2024シーズンも先陣を切る!
2025年1月16日

2024シーズンに、全国8地区でJAF地方選手権などのチャンピオンがかかるシリーズにおいて優秀な成績を収めた選手が讃えられる、各地のモータースポーツ表彰式。7地域に先駆けて、「JAF北海道地方選手権/JMRC北海道シリーズ戦モータースポーツ表彰式2024」が、新たな会場で2024年12月7日に開催された。
JAF北海道地方選手権/JMRC北海道シリーズ戦
モータースポーツ表彰式2024
開催日:2024年12月7日
開催地:札幌サンプラザ 金枝の間(北海道札幌市)
主催:JAF北海道本部、JMRC北海道
2023シーズンまで2季にわたって開催されてきた、札幌駅付近に建つ北海道自治労会館から北に、地下鉄で数駅足を延ばして、札幌サンプラザの金枝の間が新たな舞台となった。それに伴い久しぶりとなる、ビュッフェ形式での飲食が復活。出席者たちは卓上に並べられた様々な料理を味わいながら、2024シーズンの労もねぎらいあっていた。
表彰式開始前の午前中には、会場付近の札幌市北区民センターにて、JAF北海道本部とJMRC北海道による「2025年モータースポーツカレンダー調整会議」も開催され、各競技会を主催するクラブの代表者たちが集った。2023シーズンの同会議と同じく各地方選手権への参戦台数の推移など、2024シーズンの活動報告に始まり、2025シーズンのクラブ更新について、そして2025シーズンに開催する北海道地方選手権をはじめ競技会開催日と、競技会名の確認と調整などが行われた。



JAF北海道地方選手権表彰式
式典は、JAF北海道地方選手権表彰式とJMRC北海道シリーズ戦表彰式の2部制は2023シーズンから変わらず。JAF北海道地方選手権表彰式は、まず開会の挨拶にJAF北海道本部の小島雄一事務局長が登壇、そしてJAFモータースポーツ部業務課の小林修課長が壇上に上がり、1月から11月まで10カ月間の、北海道モータースポーツの2024シーズンを駆け抜けた選手やオフィシャル、主催クラブ員などの関係者たちを労った。
こちらも2023シーズンと同じく、JAF北海道ジムカーナ選手権、JAF北海道ダートトライアル選手権、JAF北海道ラリー選手権の順で賞典が授与された。ジムカーナは小島事務局長、ダートラはJAF北海道本部の菅野英明事業部長、ラリーは小林課長とJAF札幌支部の山本洋平事業課長から、各クラスの受賞者たちに賞典が手渡された。













2024年JMRC北海道シリーズ戦表彰式
2023シーズンと同じく、JMRC北海道の永井真運営委員長の挨拶により始まった2024年JMRC北海道シリーズ戦表彰式だが、2024シーズンは前述のとおり、菅野事業部長による乾杯の後、ビュッフェ形式での食事がふるまわれた。
表彰はJMRC北海道WinmaXジムカーナシリーズに始まり、JMRC北海道Moty’sダートトライアルシリーズ、JMRC北海道TEINラリーシリーズ、JMRC北海道スノーチャレンジカップ、JMRC北海道レースシリーズ北海道クラブマンカップレース、JMRC北海道GRガレージ札幌厚別通オートテストシリーズの順で賞典が授与された。
プレゼンターはジムカーナが石川和男ジムカーナ部会長、ダートラは瀬尾毅ダートトライアル部会長が、ラリーは秋葉貴之ラリー部会長と藤原篤志ラリー副部会長、レースは柴田誠レース部会長、オートテストは古島淳一オートテスト部会長と、2023シーズンと同様にJMRC北海道の役員たちが務めた。そしてチャンピオンたちは表彰後に、チャンピオン獲得の喜びや来る新シーズンへの抱負などを述べた。また、JMRC北海道ジムカーナ ミドル部門とJMRC北海道ダートラ ジュニアの各クラス上位3選手には、オートスポーツランドスナガワを運営する株式会社邦明商事から走行券も進呈された。






























ラリーとジムカーナ、ダートトライアルなど、いわゆる“Bライモータースポーツ”を主に、道内で開催される数多の競技会を撮影している陶山護カメラマンが選ぶ「フォトジェニック賞」。2024シーズンはJAF北海道ジムカーナ/JMRC北海道ジムカーナ チャンピオン部門H-BC1クラスのチャンピオン獲得を有終の美に、引退を宣言した宮本雅樹選手に贈られた。
そして、2024年JAF全日本ラリー選手権JN5クラスで二連覇を果たしたドライバーの松倉拓郎選手に、その栄誉を称える特別賞が永井運営委員長から贈られた。更に、道内で開催される競技会では貴重なオフィシャルとしても欠かせない、北海道大学自動車部〔クラブ.ブラウンベアーズ北海道(B.B北海道)〕、北海道科学大学自動車部(M.S.C.DO)、室蘭工業大学自動車部(MIT ACS)の部員たちに、積極的な活動への感謝をこめた特別賞が、JMRC北海道の工藤晶裕オフィシャル部会長から授与された。
続けてパドックやサービス、更には日常生活でも活きるであろう工具類や老若男女問わず人気の家庭用ゲーム機まで、様々な景品を揃えた抽選会を2024シーズンも開催された。当落の結果に大きな盛り上がりを見せた後、JMRC北海道の西野義人副運営委員長が閉会の挨拶を述べて締めくくった。受賞者たちは2025シーズンも年明け早々から始まる長い新シーズンでも、お互いの健闘を誓い合いながら帰路についた。





2024年JAF北海道地方選手権「初」チャンピオンインタビュー

31歳で初戴冠、更にはJAFカップオールジャパンダートトライアルのPN1クラスも初制覇、見事二冠を達成した大場選手は、2024シーズンで3シーズン目だそうだ。学生ドライバーたちが多く活躍している北海道では、遅めのダートラデビューとも言える。「始めるなら人と同じじゃイヤだな、と思って」と、選んだのはNCP131型トヨタ・ヴィッツ。モータースポーツ車両も扱うショップに勤めているという大場選手は、「基本的にクルマは、修理からメインテナンスまで全部自分でやっています」と、試行錯誤を重ねた末に導き出したセッティングも相まって、ZC32S型スズキ・スイフトスポーツをはじめとした、ライバル車両より劣るパワーを補って余りある力強い走りを見せた。「スナガワは曲がれちゃうんで、突っ込みすぎたりとかやり過ぎちゃうんですよね。(サーキットパーク)切谷内と丸和(オートランド那須)でどう走ったか、トップタイム出している人はどういった走りをしてるのか研究してスナガワでおとしこんだら、“やってた動作って、ムダが多いんだな”って気づきました」と、走りの転換点があったそうだ。「道外の方から自分の走りを聞くと“アグレッシブだよね”とか“激しいよね”って聞くんで、そういう風にならない運転をしてみようと思ったら、結果につながってきたんです」とも語ってくれた。「色んな車種増やしたいな、と思って」と、新シーズンからは北海道のダートラでは初参戦という車両を投入する予定だそうだ。「ちょっとセッティング、うまく自分の好みに合わなくて」とクルマづくり真っ最中の様子だが、新たな挑戦の行く先にも注目していきたい。

「4歳の時からラリージャパンを観てきて“ラリーがある人生”が当たり前、みたいになって、気づいたらこうなってました」と、ラリーとの関りを楽しそうに語った石田選手は現在23歳。18歳、2019シーズンにJMRC北海道ラリー ジュニアへのスポット参戦でラリーデビュー、2022シーズンのJAF北海道ラリー第6戦「とかち2022」で地区戦にステップアップ、1シーズン準備期間に充て、2024シーズンはRA-2にフル参戦。「やるからには狙ってやろうかな、と思ってました。有言実行できました」と見事、チャンピオンを獲得した。「ライバルがいたり、自分との戦いでもあるので、常にゼンカイで走らなくてはいけない実戦に出ることがすごく大事なんだな、と学びました」と振り返った2024シーズン。「1回勝たないとチャンピオンは見えてこないんで、そこで勝てたのは大きかったです」と、第4戦「EZO SUMMER RALLY 2024」での初優勝をターニングポイントに挙げた。しかし、「コンスタントにポイントを重ねた結果、(最終第6戦の)とかちが始まる時点でチャンピオンを決められたんだと思います」と、リタイアを喫した第6戦以外は5戦ともトップ3フィニッシュという安定感も重要だったと分析できる、冷静さも持ち合わせる。2025シーズンは「“連覇するってすごい大変なことだよ”って色んな人に言われるので、そこを目指せるなら目指したい、と思います。今年(2024シーズン)と同じじゃ意味がないんで勝利の数を増やしていって、コ・ドラも通しで組んで一緒にチャンピオンを獲りたいです」と目標を語り、更なる成長に期待できそうだ。

「生まれた年の総理大臣が池田勇人(いけだはやと)で、語呂がいいって叔母がつけてくれたんです」と、笑顔で名前の由来を語ってくれた岸田選手。ラリーデビューは19歳、64歳となった今でも最前線で戦う。31・2歳まではドライバーだったそうだが、家族構成の変化などもありコ・ドライバーに転向。ドライバーの谷岡選手とのクルーは、谷岡選手がJMRC北海道ラリー ジュニアを走っていた頃から30年を越える長きに渡り、今も続いている。2023シーズンのランキング2位をはじめ、幾度もチャンピオンに近づいたが獲ることができず、ようやく悲願の戴冠を果たした、とのことだ。「ペースノートなんかはもう年なんで、老眼きてるんで(笑)、見えなくなるとアレなので、少しでもミスをしないようにしたら、そこから良くなりました。1個間違えたら、ドライバーが萎えちゃうじゃないですか。私もドライバーだったから分かるんです」と、ドライバー時代の経験も活かし、コ・ドライバーとしての進化を今も続けているそうだ。「来年(2025シーズン)は冬2戦と、あとはクルマが限界なんでボチボチかな。その間にドライバーは何か考えているみたいなんですけど、とりあえず参戦します」と、語る岸田選手のラリー人生は「振り返っても後悔ないですよ、モータースポーツ面白いんで!」とのことだ。そして、「ラリーやってて良かったな、って今日イチバン思っています」と、チャンピオンを獲得した実感を語ってくれた。

64歳になる三木選手のモータースポーツキャリアは約40年、という大ベテランドライバー。モータースポーツを始めた頃はラリーに加えてダートラにも参戦していたそうだ。「昔から小さいのはずっと乗ってて。当時は(マツダ・)ファミリア、1300ccかな、に乗ってたんです」とのことだ。マツダのディーラーに勤めていたそうで、「シリーズを追いかけるのが難しくて。土日に休みを取るのが厳しく、なかなか出るチャンスが少なかったんです」と、当時の苦労を語ってくれた。「最近ですね。自分で仕事始めてから、やっと(シリーズ参戦が)できるようになってきたんですよ」と、環境の変化に合わせてラリーに、モータースポーツに挑むことを楽しんでいるようだ。「自分で(仕事を)始めてからかな、少しずつ予算も出せるようになって、(三菱・ランサー)エボVIくらいまでは乗ったけど、維持するのが大変で一気に小さくしちゃおう、って(マツダ・)デミオにしたんです」と、現在はモータースポーツを始めた頃に乗っていたファミリアに近い車両に“原点回帰”して、RA-3に挑んでいる。「二連勝しても(チャンピオンを)獲れなかったりとかね」と、惜しくも戴冠を逃したシーズンもあったそうだ。2024シーズンは「たまたま全日本クラスの人(の参戦)が少なかったから」と謙遜するも開幕二連勝、そして第4・5戦で再び二連勝を果たすという圧倒的な強さを見せて、念願のチャンピオンを掴み取った。2025シーズン以降も長いキャリアで培った経験も活かした巧みなラリーを見せながら、モータースポーツの楽しさも挑んでくる若手クルーたちに伝授していただきたいものだ。
フォト/宇留野潤 レポート/JAFスポーツ編集部