九州ダートラ開幕戦、関東に移るPN1+水野喜文選手が惜別の勝利を挙げる!
2025年3月19日

2025年JAF九州ダートトライアル選手権の第1戦が3月2日に、中国地区の広島県安芸高田市に建つテクニックステージタカタで開催された。JAF中国ダートトライアル選手権との併催も3季目となった九州地区戦。2024シーズンは全5戦、最終戦はJAF四国ダートトライアル選手権との併催で、全戦タカタで開催されたが、今季は山口県宇部市のくすのきハイランドパークを舞台とする2戦が加わり、全7戦が組まれている。
2025年JAF九州ダートトライアル選手権 第1戦
2025年JMRC九州ダートトライアル チャンピオンシリーズ第1戦
CRMCダートトライアル2025
開催日:2025年3月2日
開催地:テクニックステージタカタ(広島県安芸高田市)
主催:CRMC
全7戦のカレンダーは第1~5戦までは中国地区戦と併催し、第6戦は四国地区と併催、そして最終戦は再び中国地区戦の第6戦と併催される。
また、昨季は九州の全クラス出走後、若干のインターバルを空けて中国の出走となっていたが、今回の一戦は、類似した改造範囲のクラスを続きゼッケンで、中国と九州で交互に走行するという新たな取り組みを実施した。中国PN1+クラスに続いて九州PN1+クラス、中国SA1クラスに続いて九州S1クラスといった具合となる。
「現在、ダートトライアル場が無い九州地区は、タカタに遠征する以外競技を行うことができません。今年はくすのきでも開催を予定してますが、移動時間や経費も負担になっていく中、選手たちが少しでも楽しめるような策として提案しました」と新たな走行順の狙いを語ったのは、今季からJMRC九州ダートトライアル部会の部会長を務める今福和彦氏。
「こういった走行順にすることで、より近い条件で(九州と中国の)タイム比較ができますし、選手同士の交流も深まるのではないかと思ってます」と続け、厳しい開催状況が続いている中で参戦減少に歯止めをかけたい思いを語った。
開幕戦ではシリーズで設定された全9クラス中、5クラスが成立。当日は朝からあいにくの雨模様となってしまったが雨水と濡れた泥をまきあげながら、九州地区戦の今季は幕が開けた。


PN1+クラス
PN1+クラスは排気量1586cc以下で2WDのAE・PN・N・SA・SAX車両で争われる。第1ヒートでトップタイムをマークしたのは、ディフェンディングチャンピオン水野喜文選手。2番手以下に7秒以上もの差をつけ、貫禄の走りを見せつけた。第2ヒートはタイムダウンとなった水野選手だが、トップタイムを破られることなく優勝した。
「今シーズンはクルマの色を変え、真っ赤に塗りました(笑)。第2ヒートは、中国勢のタイムを意識しすぎて、とっ散らかってしまいました。今月(3月)末から関東に戻るので、今回が最後の九州地区戦なのですが、最後のヒートがタイムダウンというのが残念です」と水野選手。若干悔いが残る走りだったようだが、カラーリング効果も相まって、九州地区戦での有終の美を飾った。関東地区に移ってからの活躍にも期待したい。



S1クラス
1586ccを超える2WDのSA・SAX車両及び排気量区分なしで2WDのB・SC車両で争われるS1クラスは、「今年からクルマをSA化しました」と語るディフェンディングチャンピオンの荒巻健太選手が第1ヒートのタイムで逃げ切って優勝した。
連覇に向けて好発進した荒巻選手は「昨年まではPN規定の車両だったのですが、やはりクルマのアドバンテージを得たいと思いまして、別タンクのサスペンションとコンピュータ系のパワーアップで乗りやすくなりました。2本目は、後半のターンでタイヤをフルロックさせてしまったことで制御が入ってしまい、エンジンを再始動させるという大失敗をやらかしました(笑)」と、車両の改良点と第2ヒートのミスを明かした。


S2クラス
S2クラスは4WDのSA・SAX車両で争われ、岡本泰成選手がJAF全日本ダートトライアル選手権SA・SAX2クラスでも駆る三菱・ランサーエボリューションIXを持ち込んだ。第1ヒートからトップタイムをマークすると第2ヒートも2.36秒のタイムアップを果たし、2位に終わったディフェンディングチャンピオンの岸山信之選手を封じ込める走りで制した。
「今回はエンジンのシェイクダウンも兼ねての出走です。なので、1本目は慎重に走ったのですが、土手まで行ってしまいました(笑)。そこを反省して、2本目は出来る限りの走りで良い内容だったと思います。タイム的にも納得のタイムが出せました」と、岡本選手は2本の走りを振り返った。叩き出した1分52秒01は、併催した中国地区戦も合わせた全車両のトップタイム。全日本チャンピオンの速さを見せつけた。



Cクラス
排気量区分及び駆動方式区分なしのSAX・B・SC車両が集うCクラスは、東竜弥選手が第1ヒートでトップタイムを刻む。しかし第2ヒート、0.51秒のタイムアップに留まった東選手に対し、5秒以上もタイムアップを果たした上原吉就選手がトップに躍り出る。後続もこのタイムには及ばず、上原選手が逆転優勝した。
「昨年から足回りを変更して今回がシェイクダウンだったのですが、1本目は酷かったですね(笑)。2本目でなんとか走れるようになりました。昨年、地区戦は3戦しか出場できなかったのですが、今年はきっちり追う予定です」と、王座を狙う上原選手は幸先の良いスタートを切った。



Dクラス
Dクラスは排気量区分及び駆動方式区分なしのD車両をドライブするダートトライアラ―が競う。第1ヒートは、昨季ランキング2位の五味直樹選手が1分54秒54のトップタイムで折り返す。第2ヒートで五味選手は0.48秒とタイムアップはわずかだったが、この日が誕生日のディフェンディングチャンピオン、橋本和信選手の猛追から0.39秒差で逃げ切った。
優勝した五味選手は「昨年の最終戦で転倒して橋本選手に負けたので、今回勝って良かったです(笑)。クルマは板金で元の状態に戻して、追加でカナードをつけました。2週間後に全日本も控えているので、あまり無理せず走ったのが逆に良かったのではないかと思います」と、復活した車両でリベンジを果たした。



CLクラス、OPクラス
一騎討ちとなったCLクラスは、ランエボVIを駆った石原昌悟選手が大差をつけた。また、孤軍奮闘となったOPクラスでは上田力男選手がGRヤリスを操って、第2ヒートは6,2秒タイムアップした。

フォト/友田宏之、西野キヨシ レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部