中部ダートラ開幕戦でNの松井啓史GRヤリスがクラス転向初戦を勝利で飾る!!
2025年4月22日

JAF中部ダートトライアル選手権の2025シーズン開幕となる第1戦が4月13日、愛知県豊田市の池の平ワンダーランドで開催された。2024シーズンは令和6年能登半島地震の影響により、石川県に建つ輪島市門前モータースポーツ公園で開催予定だった第3戦と第6戦が中止となり、事実上5戦での戦いとなった。今季も全5戰の日程が組まれ、第1戦と第2戦、第4戦が池の平で、第3戦と第5戦は三重県のいなべモータースポーツランドで行われる。
2025年JAF中部ダートトライアル選手権 第1戦
2025年JMRC中部ダートトライアル選手権 第1戦
CCSTダートトライアル
開催日:2025年4月13日
開催地:池の平ワンダーランド(愛知県豊田市)
主催:CCST
JMRC中部ダートトライアル部会長で、RWDクラスにも参戦する齋藤道夫選手は今季の地区戦について、「開催場所が東海地区に偏ってしまいましたが、今年の開幕戦は昨年よりも北陸勢の選手が若干増えているのと、いなべに関しては交通の便が良いことに加え、全日本の開催場所ということで、さらに参加が増えると見込んでます」と期待をよせる。
また「昨年から取り入れたU25割引の効果もあって、少しずつではありますが若い選手も増えてきました。これは各主催者の協力があってのことなので、沢山の若手ドライバーに参加していただきたいですね」とのことで、施策の成果も芽が出つつあるそうだ。
クラス区分は昨季と同じく7クラス、今回の一戦はPN2クラス以外の6クラスが成立してシーズンスタートとなった。
開幕戦の空模様は朝からあいにくの雨、そして強風が吹き荒れた。標高1000mを超える池の平は、気温も真冬並みと過酷な条件も重なり波乱の展開が多かった。雨が止む気配はなく、路面は悪化の一途を辿ったが、そんな状況下の第2ヒートでもタイムアップを果たすドライバーも多く、最後まで目が離せない緊迫のバトルが繰り広げられた。


2Pクラス
今季から駆動方式が2WDに限定された2Pクラスは、クラッチペダルを有さない2WDのAE・PN・N・SA・SAX車両で争われる。
第1ヒートで1分38秒9のトップタイムをマークしたのは、ZC31S型スズキ・スイフトスポーツを駆る昨季ランキング3位の山根勤選手。2番手には32年振りにモータースポーツに復帰し、今回の一戦がその初戦となる永井和浩選手がトヨタ・ヴィッツを操り0.12秒差で続く。第2ヒートでは山根選手が悪化した路面にてこずり、10秒以上タイムダウンしてしまった。このチャンスを活かしたい永井選手だが2.5秒のタイムダウンとなり、山根選手が逃げ切った。
「今シーズンからショックを新調しました。昨シーズンはリアのブレーキを引きずったまま走ってたみたいで、キャリパーをオーバーホールしたら、明らかにクルマの動きが良くなりました(笑)」と車両のカイゼンが優勝につながった山根選手。続けて「毎回ダブルエントリーの後走だったのですが、今シーズンから先に走る作戦に変え、荒れてない路面で走れたことが良かったと思います」と、もうひとつの勝因を語った。



RWDクラス
排気量区分なし、後輪駆動のPN・N・B・SA・SAX・SC・D車両で争われるRWDでは、アクシデントが続出。その中でも、ディフェンディングチャンピオン上角好孝選手と昨季ランキング2位の名倉陽太選手、実力者ふたりによる優勝争いとなった。第1ヒートで上角選手を1.51秒上回るタイムをマークした名倉選手が逃げ切った。
「昨年まではPN車両だったのですが、今年はマフラーなどを換えてSA車両にしました。パワー感も良くなり、戦闘力が上がったように感じます」と、名倉選手は愛車・ZN6型トヨタ86の車両区分を変更した実感を得ての勝利だった様子。
続けて走りについては「第1ヒートが勝負だと思ったので頑張って攻めました。多少のミスはありましたが、上手くまとめられたと思います。ただ、第2ヒートは上角選手に3秒も差をつけられてしまったので、試合に勝って勝負に負けた感じですね」と、第2ヒートでは課題が残る走りだったようだが、チャンピオン確定に向けて開幕戦で優勝を飾った。



PN1・S1500クラス
排気量1500cc以下で2WDのB車両及び1600cc以下で2WDのPN車両、そして全てのAE車両で争われるPN1・S1500クラスは、昨季ランキング4位の樋口哲也選手が1分38秒台で第1ヒートのトップタイムをマーク。2番手には昨季ランキング2位の西畑蒼選手、そして3番手にディフェンディングチャンピオンの岸貴洋選手と、シードゼッケン勢が上位を占めた。
しかし第2ヒートでヘビーウェットと化した路面にもかかわらず1分35秒台を叩き出し、トップに躍り出たのがノーシードの深見延良選手。このタイムを追う後半のシードゼッケン勢だが、樋口選手、西畑選手ともにタイムダウン。ラストゼッケン岸選手はタイムアップを果たすも1分38秒台に留まり、深見選手が逆転で勝利を収めた。
「第2ヒートは、メッチャ上手くいきました!」と喜んだ深見選手は続けて、「第2ヒートの走行前に、2Pクラスの永井選手が『タイム上がるよ』と言ってたので1分38秒台はいけるかな、と思ってました」と明かした。
第2ヒートの走りについて「ワダチをレールのように上手く使えて、コース序盤から手応えを感じながら走ってました」とのこと。チームメイトの永井選手からの情報もあり好タイムを残し、久しぶりの地区戦優勝を果たした。



Nクラス
Nクラスは排気量による区分なし、4WDのN車両で争われる。第1ヒートでトップタイムをマークしたのは、GRヤリスを駆る松井啓史選手でタイムは1分33秒33。2番手には1分34秒76を出した三菱・ランサーエボリューションXをドライブする清水憲治選手、そして3番手にはディフェンディングチャンピオンの村松俊和選手がランエボを操って1分36秒53と続いたが、タイムはやや開き気味だ。
第2ヒートでは清水選手、松井選手ともにタイムダウンとなり、後半のシードゼッケン勢の出番となるが、昨季ランキング6位の澤田恭昌選手が1分36秒26で3番手に上がるも、軒並みタイムダウンとなり上位に食い込むことができない。ラストゼッケンの村松選手はタイムアップを果たすも澤田選手には届かず4位に終わり、松井選手が制した。
「今日は1本目がキモだなと思っていたので、頑張ったら良い結果につながりました。クルマが今日の路面に合うか不安な面もありましたが、前によく出てくれたので良かったです。シーズンを通しても次につながる走りができたと思います」と松井選手は振り返った。S2クラスから今季はこのクラスに転向、その初戦で優勝し好スタートを切った。



S1クラス
排気量区分なし、2WDのN・SA・SAX・SC・D車両で争われるS1クラスは、第1ヒートでディフェンディングチャンピオンの松原功治選手が1分33秒9という、4WD勢に匹敵するタイムを叩き出してトップで折り返す。2番手には昨季ランキング2位の広上徹選手、3番手には関東地区からの刺客、伊東拓海選手が続く。
そして第2ヒートで2.51秒のタイムアップを果たした伊東選手は、トップタイムには及ばなかったものの、松原選手と広上選手の間に割って入る2番手タイムを刻む。その広上選手はタイムダウンに終わり順位をとり返すことができずに3位止まり。広上選手のタイムを聞く前にスタートしていた松原選手はこの時点でウィニングランとなっていたが、果敢にタイムアタックした結果はタイムダウン。第1ヒートのタイムで優勝となった。
「昨夜、これまでのインカーカメラの映像を見て今日の作戦を組み立てて、当たりました(笑)。去年の雨は2本目が勝負だったので今回も2本目、下りでいい感じにスピードがのったのでこれはタイムが出るぞ! と思ってましたが、そう思った瞬間土手にぶつかりました(苦笑)」と、勝因とともにタイムダウンの原因も明かした松原選手。決勝タイムは4WD勢も含めた総合3番手に入るタイムを刻んで勝利を掴み、池の平での地区戦連勝を4に伸ばした。



S2クラス
排気量区分なし、4WDのSA・SAX・SC・D車両が競うS2は、昨季ランキング2位の伊藤祥充選手が1分37秒09で第1ヒートをトップで折り返す。しかし、第2ヒートで昨季ランキング5位の前田利幸選手が1分35秒46でトップタイムを塗り替え、ここからシードゼッケン勢による戦いとなる。
続く昨季ランキング3位の小宮僚選手は、第1ヒートでのコースアウトから1分36秒で挽回して2番手を奪取。この時点で3番手まで落ちた伊藤選手は、一気に1分32秒44までタイムを詰めてトップを奪回。ラストゼッケンで逆転優勝を期したディフェンディングチャンピオン、服部雅士選手のタイムが注目された。しかし、服部選手はベストタイムを2秒以上更新するも、1分36秒44に留まり4位に終わった。
優勝した伊藤選手は「今年からダンロップのスカラシップに登録したので、新品の良いタイヤで走れたおかげだね(笑)。今日は1本目のタイムで決まるだろうと思ってたけど、路面がフカフカだった。2本目はワダチができていたのでそれを外さず、“なり”にいけば“なり”のタイムが出ると思って走っただけ(笑)」と、飄々と語るも総合トップタイムもマーク。第2ヒートの熾烈なタイムアップ合戦を制した。


フォト/友田宏之 [Hiroyuki TOMODA] レポート/友田宏之[Hiroyuki TOMODA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]