「自分史上最大のドラマ」岡本尚史選手が近畿ジムカーナ最終戦でBC3王者を確定!

レポート ジムカーナ JAFWIM

2025年10月17日

最終第7戦まで王座争いがもつれるクラスが多数となった2025年JAF近畿ジムカーナ選手権は、各クラスでシーズン最後の熱戦が繰り広げられた。最終戦決戦となったクラスの一つ、BC3クラスでは驚異の全クラストップタイムを叩き出した岡本尚史選手が今季3勝目を掴み、逆転でチャンピオンを確定させた。

2025年JAF近畿ジムカーナ選手権 第7戦
2025年JMRC近畿ジムカーナチャンピオンシリーズ第7戦
2025年JMRC全国オールスター選抜 第7戦
PROXESスーパーGスラローム

開催日:2025年9月28日
開催地:名阪スポーツランドEコース
主催:T.S.C.O

 今回の『PROXESスーパーGスラローム』で最終戦を迎えた近畿地区戦は、前戦までに5つのクラスでチャンピオンが確定しているものの、残る6つのクラスでは王座争いが継続している状態。特に、シリーズの顔ともいえるBC3はランキングトップの石田忠義選手を岡本選手が僅差で追いかける接戦となっている。

 名阪スポーツランドCコースで開催された2025年JAF全日本ジムカーナ選手権 第2戦とは異なり、近畿地区戦最終戦の舞台はEコース。チャンピオンの雌雄を決するに相応しいレイアウトが用意された。まだ温まらないタイヤで突っ込まなくてはいけない1コーナー、そしてタイヤが温まった後半に待ち構える超テクニカルセクション、コースの傾斜に対して上手く配置されたパイロン。まさにスラローマーたちに挑戦状を送るかのような設定で競われた。

2025年JAF近畿ジムカーナ選手権 第7戦の舞台を担った名阪スポーツランドEコースは今季シリーズ初開催。王座争いが今回の最終戦までもつれた6クラスのスラローマーたちも含む94選手が挑んだ。
第7戦を主催した大阪府のJAF加盟クラブ、トランピオ.スポーツ.コミュニケーション.大阪(T.S.C.O)は慣熟歩行の前に、車検が完了した車両からテストランを実施。専用のレイアウトを走行するが、車両と路面のコンディションを確認できる、と参戦スラローマーたちから好評を得ている。
本番は画像上のシンプルなテストランのレイアウトから一変、目いっぱい使ったストレートや高速コーナーから、360°ターンなどパイロンを設置したテクニカルセクションまで剛柔兼ね備えたレイアウトで競われた。随所に置かれた規制パイロンも、攻略の難易度をグッと上げている。
最終決戦にふさわしい難レイアウトを前に、慣熟歩行ではライバル同士で攻略を検討する姿も見られた。

2PDクラス

 2PDクラスは全日本ジムカーナP・AE1クラスでも活躍する段上泰之選手が5勝を挙げ、すでに三連覇を確定させている。TRY1では、第5戦で段上選手を下した谷英幸選手が1分42秒614を記録。段上選手がどう攻略するかに注目が集まったが、「2週間前の練習会のコースをトレースしてしまいました……」と、まさかのミスコース。勝ってシーズンを締めくくりたい段上選手に一気にプレッシャーが襲いかかる。

 TRY2で谷選手がタイムを上げてくると、一気に勝負の行方が傾きそうな展開だったが、谷選手はタイムダウン。段上選手はTRY1での失態を取り返すような走りで、美しいラインをトレースする。2PDでただ一人、1分40秒台の壁を破った段上選手は最終戦も勝利し、7戦中6勝を挙げた。

2PDクラスは三連覇確定済の段上泰之選手(DLプロμCgEG!A110S)がアルピーヌA110Sを駆り、TRY1でのミスコースを払しょくする見事な走りで2位以下を3秒以上離して圧勝し、有終の美を飾った。
2PDでZC33S型スズキ・スイフトスポーツをドライブする谷英幸選手(DLATIKS+IFTスイフト)はTRY1をトップで折り返したがTRY2ではタイムアップならず、2戦連続で2位に甘んじた(左)。ZC33S型スイフト勢の一角で関東地区から遠征してきた大川裕選手(DLセラメタSEIJOスイフト)はTRY1で犯したパイロンペナルティから巻き返し、3位を奪った(右)。
2PDは左から、2位の谷選手と優勝した段上選手、3位の大川選手のトップ3が表彰を受けた。
2025年JAF近畿ジムカーナ選手権2PDクラスチャンピオン 段上泰之選手(右)
「結果だけを見れば全7戦中6戦で勝利を飾り、唯一3位となった第5戦で早々にシリーズチャンピオンを確定させることができました。しかし、その過程は決して順調ではありませんでした。各戦でパイロンタッチや脱輪、ミスコースを非常に多く重ねてしまい、自らのミスと戦い続けた苦しいシリーズでもありました。最終戦も優勝で締めくくれたことで、終わった後はホッとしました。3年連続で地区戦2PDチャンピオンを獲得できましたが、これに満足せずさらなる高みを目指して走り続けようと思います」。

BR1クラス

 BR1クラスはスポーツタイプの軽自動車や、低排気量の4WDなどで争われる近畿オリジナルクラス。王座争いはスズキ・カプチーノを操るよこ山弘之選手とダイハツ・ストーリアX4をドライブする能勢ケンヅ選手の一騎討ちとなった。ランキングでの二人の差はわずか1ポイント! 有効ポイントでは勝利数の多いよこ山選手がリードしているが、能勢選手が今回の一戦で勝利を収めれば、逆転の可能性も十分ある状況だ。

 張り詰めた空気感の中で始まったTRY1では、スズキ・アルトワークスを駆る藤林伸吉選手が固くなった二人を置き去りにしてトップタイムをマークしたかに見えた。しかし、藤林選手は脱輪ペナルティが課され、トップタイムを逃してしまう。変わってトップを奪ったのはよこ山選手だったが、藤林選手の生タイムには1秒以上の遅れをとった。

 勝利にはタイムアップがマストとなるTRY2で藤林選手は、TRY1での生タイムを約0.5秒上回るタイムでフィニッシュし、一気にターゲットタイムを押し上げる。続く能勢選手はまさかの脱輪ペナルティを犯し、よこ山選手は一気に楽になった。チャンピオンを確定して走り出したTRY2ではタイムアップはならずとも、2位を獲得した。

 優勝を収めた藤林選手は、「2025シーズンはコンパクトカーのSタイヤクラスがなくなったため、ラジアルタイヤクラスへスイッチしたのですがサイズの都合上、主にシバタイヤR23で挑む事になりました。今回、最終戦でしたが、前戦のパイロンタッチで優勝を逃したことでチャンピオンの可能性が皆無となったので、最終戦は主催のT.S.C.Oに敬意を表して、(トーヨータイヤに)新しくラインナップされた14インチのR1Rで走ることにしました」と、タイヤ選択について明かした。

 最終戦の戦いについては「1ヒート目は脱輪で順位を落としましたが、手応えを感じつつ挑んだ2ヒート目で逆転優勝と、PNタイヤ勢に一矢報いることができたのが嬉しかったです。今シーズンはペナルティで優勝を3回逃しましたが生タイム的には満足しているので、『記録よりも記憶』の気持ちを忘れず、今後も攻めの走りを追求していきたいと思います」と、コメントを残した。

BR1クラスでも逆転劇が起きた。TRY1で脱輪ペナルティを犯した、スズキ・アルトワークスをドライブする藤林伸吉選手(TLBいのがにアルト@朋茶工房)がTRY2ではTRY1を上回る快走を見せ、第3戦以来となる今季2勝目を挙げた。
スズキ・カプチーノを駆るよこ山弘之選手(YH木村自商TLBカプチーノ、左)とダイハツ・ストーリアX4を操る能勢ケンヅ選手(PRSまめ屋メカロスストーリア、右)のBR1王座争いはTRY2で能勢選手が脱輪ペナルティを犯して決着。よこ山選手が2位でチャンピオンを確定させ、能勢選手は3位に終わった。
BR1もトップ3が表彰された。左から2位のよこ山選手と優勝した藤林選手、3位の能勢選手。
2025年JAF近畿ジムカーナ選手権BR1クラスチャンピオン よこ山弘之選手(中央)
「昨シーズン末から今シーズン序盤は雨の大会が続き、無理な走りでBR1クラスの駆動方式混走の壁を越えるべく危険なアタックを試みるも、失敗続きで中盤以降は考え方を改めて、『例えイチかバチかの走りで1コーナーあたり0.3秒稼いでもペナルティひとつで負ける』と自分に言い聞かせ、これまで自分が培ってきた走りを確実に再現することでシーズンを闘い切ろうと覚悟を決めました。幸いなことに第4戦から三連勝でき、自信と覚悟をもって臨むことの大切さを学んだシーズンでした」。

BR2クラス

 上位陣が毎戦大きく入れ替わるBR2クラスだが、ここまで4勝をマークした朝原崇選手がチャンピオンを確定させている。最終戦では、今季4人目の勝者が現れるかにも注目が集まった。

 しかし、TRY1から朝原選手が頭ひとつ抜け出す展開となった。中間タイムですでに2番手の柴谷匡彦選手を1.5秒近く突き放す。多くのスラローマーが1分40秒台に留まる中、朝原選手は1分38秒137を記録して折り返した。TRY2でも誰一人1分38秒台に突入できない中、朝原選手は更に0.081秒タイムアップ。今季5勝目を手にし、圧倒的な強さで最終戦を締めくくった。

新旧マツダ・ロードスターやホンダ・シビックとインテグラのタイプRなど、バラエティに富む車種が競ったBR2クラスは、NB型ロードスターを操る朝原崇選手(DLDXLS+eTロードスター)が王者確定済の貫禄を見せて制した。
BR2でND型ロードスターを駆る柴谷匡彦選手(WZD・DXLDLロードスター)はTRY1にマークした1分39秒885で2位を獲得(左)。寺谷正樹選手(YH速心プロμWZDシビック)はシビックタイプRをドライブしてTRY2でタイムアップ、逆転で3位を掴んだ(右)。
BR2は左から、4位の江島英哉選手(DLFIGURE86)、2位の柴谷選手、優勝した朝原選手、3位の寺谷選手、5位の津田耕市選手(H&T595エフェクト☆DL)のトップ5が表彰された。

Lクラス

 全国各地の女性スラローマー対象クラスで唯一、JAF地方選手権がかかる近畿地区戦のLクラスは、彼女たちによるハイレベルなバトルが繰り広げられる。王座争いは辰己知佳選手と武田とも子選手が2勝ずつ分け合い、最終戦までもつれている。3位入賞回数の差で辰巳知佳選手がポイントリーダーとなってはいるものの、今回の一戦の順位がチャンピオン確定に直結するポイント差だ。

 TRY1も二人を中心に展開、まずターゲットタイムを記録したのは砂田光恵選手だったが、クラスラスト前ゼッケンの武田選手が大きく更新。そして、ラストゼッケンの辰巳知佳選手は中間タイムで武田選手を更に上回るタイムで折り返す。しかし、後半のテクニカルセクションでタイムを吐き出してしまい、武田選手に2秒以上の遅れをとった。

 勝負のTRY2は定松舞子選手がパイロンペナルティを挽回し、2番手に割って入る。すると、砂田選手も2秒以上タイムを上げて3番手に上げた。しかし、武田選手はトップタイムを自ら1秒459押し上げ、1分40秒815に塗り替える。そして、辰巳知佳選手がチャンピオン確定を狙いスタートし、中間タイムはトップで後半へ。しかし、TRY1と同じくタイムを伸ばせなかった辰巳知佳選手は4位どまり。武田選手が最終戦を制して、Lチャンピオンの称号を確定させた。

 武田選手は「この最終戦で優勝しなければチャンピオンはない、という緊張する試合でしたが、とにかく1本目は勝ち負け関係なく、今できる限り精一杯の走りをすることに集中しました。暫定1位のタイムでしたがターンなどでミスがあり、これではライバルに抜かれてしまう、と思っていました。そして2本目は緊張ガチガチでスタートを待っていましたが、1本目にできなかった部分を思い起こしてイメトレし、スタートしてからは攻めることだけ考えました。結果、イメトレどおりに走ることができて1秒以上タイムアップ、優勝とチャンピオンを獲得できました」と、最終戦を振り返った。

ZN8型GR86をドライブするLクラスの武田とも子選手(CHADL・GR86)は両TRYともトップタイムで完勝を果たし、逆転で初のL王者を確定させた。
Lの2位はND型ロードスターを操る定松舞子選手(チャレンジャーロードスター紅)が獲得(左)、3位はフォルクスワーゲン・ゴルフGTIを駆る砂田光恵選手(YHベイシス ゴルフ)が奪取(右)と、TRY2でタイムを伸ばしたスラローマーが占めた。
Lは上位4選手が表彰を受けた。左から4位の辰巳知佳選手(BSランサー)、2位の定松選手、優勝した武田選手、3位の砂田選手。
2025年JAF近畿ジムカーナ選手権Lクラスチャンピオン 武田とも子選手(中央)
「スタートダッシュができず、序盤はチャンピオンを考えられる成績ではなかったですが、一回優勝したことをきっかけに苦手なコーナリングなどを練習し、ギリギリ逆転チャンピオンを獲れました。指導していただいた先輩&仲間に感謝です!」

PN1クラス

 近畿地区戦独自のクラス区分となっているPN1クラスは、トヨタ・ヤリスとZN6型トヨタ86/ZC6型スバル・BRZ、ZC32S型スズキ・スイフトスポーツによる争いとなった。多くの予想を反して、ヤリスを操る福尾成泰選手が開幕二連勝を果たす。しかし、第3戦以降は86を駆る菱田真也選手が4連勝を決めてチャンピオンを確定済。最終戦は菱田選手が連勝記録を伸ばすのか、それとも福尾選手が今季3勝目を手にするのか、それとも3人目の勝者が現れるのか、注目された。

 TRY1は福尾選手が2番手以下を1秒以上離す1分41秒901でトップに立った。TRY2になっても福尾選手の勢いは留まるところを知らず0.081秒タイムアップし、2位に上げた菱田選手も寄せつけず、今季3勝目をマークした。

 2位に入った王者確定済の菱田選手は「1本目、連勝の勢いでバチバチのアタックしたんですが脱輪をとられてしまいました。走行を終えた瞬間は『え? どこで?』という感じで動画を見返すと何とか発覚。しかし、ちょっと自信を削られることとなりました。2本目は“削られた自信”と“でも勝ちたい!”という気持ちの誘惑がありました」と、TRY2前までの気持ちを分析した。

 更に「前半セクションは悪くない、イケそうだと自覚しながら最後のテクニカルセクションで、『あれっ、リズムが狂ってる……』。後手後手の操作でクルマの動きが狂い、トップの(福尾)選手から1秒以上離されての2位になりました。『あぁ、無念、連勝が止まった……。まあでも、来年は同じ失敗を繰り返さない! そのための予行演習だったんだ』と考えました。切り替え大事ですね」と、チャンピオン確定の嬉しさ反面、連勝ストップの悔しさを滲ませた。

PN1クラスはトヨタ・ヤリスを駆る福尾成泰選手(DLレイズMoty’sヤリス)がライバルたちに劣るパワーを感じさせない、見事なタイムで2TRYともに制圧した。
ZN6型トヨタ86をドライブし、PN1王者を確定させて最終戦に臨んだ菱田真也選手(DL来夢S+86)はTRY1でのペナルティから2位まで挽回した(左)。ZC6型スバルBRZを操る田中熙選手(DL・藤井E・極・BRZ)はTRY2でタイム更新ならず、3位に終わった(右)。
PN1は左から、2位の菱田選手と優勝した福尾選手、3位の田中選手のトップ3が表彰された。
2025年JAF近畿ジムカーナ選手権PN1クラスチャンピオン 菱田真也選手(左)
「開幕戦はセミウェットでFFのヤリスに完敗。1戦休戦後の鈴鹿南から準備段階で追い込み過ぎないように、リラックス状態かつ緊張感を保つように切り替えました。それが功を奏したのか、自分でもビックリの4連勝。地区戦で初の年間タイトルも獲得できてホントに嬉しいと思えた一年でした。20歳で競技ライセンスを習得してから13年ほどかかりましたが、何とかタイトル獲れたことは誇りに思います。しかし、これに満足することなく、まだまだモータースポーツ競技を続けられるように頑張っていきたい、と強く思えた一年でもありました。頑張ってきた自分自身、たくさんのことを教えてくださった先輩方や仲間たちには心から御礼申しあげます。ありがとうございます!」

PN2クラス

 全日本PN2クラスでも活躍する古田公保選手が、3勝を挙げてチャンピオンを確定しているPN2クラスだが、古田選手は最終戦を欠場。ランキング2位を争う山本祐己選手と川西努選手、そして奥浩明選手による三つ巴の戦いが予想された。

 TRY1は1分38秒台を記録した山本祐己選手がトップで折り返す。2番手につけたのは山村一真選手。川西選手は3番手、奥選手は6番手からトップを狙うことになる。

 勝負のTRY2では、TRY1でも好走を見せた山村選手が早々にターゲットタイムを塗り替える。そして川西選手が0.047秒上回り、再びターゲットタイムを塗り替える。しかし、ラストの山本祐己選手は中間トップを記録すると、その勢いのままフィニッシュ! PN2でただ一人、1分37秒台に突入し今季2勝目を手にした。

 山本祐己選手は、「1本目はタイムを確実に残して1位で折り返すことを意識しましたが、全体的にていねいに走ることに集中するあまり、ブレーキングや外周の飛び込みが甘いなど、攻め切れない部分がありました。最終のターンセクションの精度もイマイチながら、なんとか1分38秒台でゴールし、ベストで折り返す事ができ、まずは一安心」と、TRY1を振り返った。

 TRY2についても山本祐己選手は、「1本目のタイムは抜かれる前提で準備しました。案の定、山村選手に抜かされ、(自分の)出走後に川西選手も更新。だが、しっかりと(TRY1での)取りこぼしを回収して2勝目を挙げることができました。外周セクションの飛び込みやブレーキングの精度を意識して、イメージトレーニングした結果です。中間セクションはベストながら、後半のターンで(タイムを)落としたことは課題ですね」と、分析した。

新王者不在となった、ND5型ロードスターワンメイク状態のPN2クラス。山本祐己選手(DL☆EX☆XPLロードスター)がTRY2で1分37秒839をマークして優勝し、ランキング2位争いにも終止符を打った。
山本祐己選手とPN2ランキング2位を争う河西努選手(DLプロμFAロードスター)はTRY2で1秒以上タイムアップを果たすも山本祐己選手には届かず2位。ランキング3位が確定した(左)。クラストップバッターを務めた山村一真選手(DLプロμS+FAロードスター)はTRY2でいきなりトップタイムを更新する好走で、3位に入った(右)。
PN2は5位までのスラローマーが表彰を受けた。左から4位の抱博高選手(DL☆S+ESAロードスター)、2位の川西選手、優勝した山本祐己選手、3位の山村選手、5位の前田忍選手(SPMT2ロードスター)。

PN3クラス

 PN3クラスはZC33S型スイフト使い二人による王座争いが、最終戦まで続いている。総ポイントでは遅れをとっているものの今季2勝を挙げている赤沢雄太選手と、1勝と2回の2位を獲得して着実にポイントを重ねてきた、本山正悟選手の一騎討ちだ。ZN8型GR86勢の白尾泰選手とZD8型BRZ勢の田北一賀選手が1勝ずつ挙げているものの、王座争いからは後退している。

 TRY1では多くのスラローマーが1分39秒台に留まる中、赤沢選手が一人1分37秒346を記録して折り返す。TRY2に入っても、赤沢選手が記録したターゲットタイムを更新するスラローマーは現れない。TRY1で3番手につけた田北選手が1分38秒413を記録して2番手に上げるも、赤沢選手には1秒以上及ばない。ラストまでこの膠着状況は変わらず、赤沢選手の逃げ切りが確定。今季3勝目を手にして王座争いの決着をつけた。

 赤沢選手は、「最終戦で順位が上だった方がチャンピオンという、とても貴重な経験ができて光栄です。出走前は不思議な感覚で、前年の名阪Eで開催された大会を欠場していて、2年ぶりの会場なので不安でした」と、TRY1スタートまでの心境を明かした。

 続けて「コース設定はシケインや切り返しが多いレイアウトでしたが、クルマのセットが合っていてターンインのフィーリングが良く、低速コーナーでタイムを稼げたと思います。一番長いストレートへの立ち上がりでミスをしてロスが大きかったので、ダメかと思いましたが、ベストタイムが出せて良かったです」と、TRY1を振り返った。

 TRY2については「タイム更新が狙える環境で、出走直前は今までで一番緊張しました。後半のターンセクションまでは良かったのですがターンの初めでリズムが崩れてしまい、パイロンを触ってしまいました。T.S.C.Oさん恒例のテクニカルなコース設定に合わせ切ることができませんでしたが、1ヒート目のタイムで逃げ切ることができてチャンピオンになれて光栄です」と、タイムアップはならなかったが、チャンピオン確定の喜びを露わにした。

PN3クラスはメタリックブルーのZC33S型スイフトを操る赤沢雄太選手(DLプロμTアシストスイフト)がTRY1でマークした圧倒的なタイムで勝利を収め、チャンピオンを確定させた。
ZD8型BRZを駆り、第5戦のPN3を制した田北一賀選手(来夢AZUR☆DL☆S+BRZ)はTRY2でタイムアップを果たすも赤沢選手には届かず、2位を獲得(左)。赤沢選手とこの一戦まで王座を争い、激走を見せた本山正悟選手(DLプロμ弥生雨乞Cgスイフト)だったが、3位に終わった(右)。
PN3の表彰も5位までのスラローマーが受けた。左から4位の福永隆一選手(ダンロップスノコロードスター犬)、2位の田北選手、優勝した赤沢選手、3位の本山選手、5位の岡田悠河選手(ATIKプロμDLスイフト凹み)。
2025年JAF近畿ジムカーナ選手権PN3クラスチャンピオン 赤沢雄太選手(中央)
「地区戦初参戦の昨年は2勝したものの、シリーズ4位と悔しい結果でした。今年は手堅く走ることが目標でしたが、ペナルティが多く自分で厳しい局面をつくってしまったことが反省点です。それでもチャンピオンになれたのは、協力してくださるみなさまのおかげで成長できたからなので、大変感謝しています。来年以降更にステップアップできるように、今後も頑張ります」。

BPNクラス

 BPNクラスは最終戦最多のエントリー、15選手によって競われた。今回の一戦までもつれた王座争いはGDB型スバル・インプレッサWRX STIを操る森橋和也選手と、三菱・ランサーエボリューションIXをドライブする大田健太郎選手、二人によるバトルだ。優勝回数で森橋選手が上回っているものの、第6戦終了時点で有効ポイントは同じ73ポイント。ただし、森橋選手が開幕第1戦を欠場していることから、フル参戦している大田選手が逆転するためには、勝利が絶対に欲しいところだ。

 TRY1はペナルティが続出する荒れた展開になり、前半ゼッケンのスラローマーたちがパイロンや脱輪のペナルティを課される中、北村健選手が1分36秒061を記録してトップで折り返す。ただし、真のターゲットタイムはパイロンペナルティを犯した暮部雄一郎選手と杉本季優選手の生タイム、1分35秒台が予想された。

 TRY2で予想は的中していたことが証明される。まずは暮部選手が1分35秒527をマークして、一気にターゲットタイムを押し上げる。このタイムを抜くスラローマーがなかなか現れなかったが、北村選手が0.414秒更新してトップを再び奪取。王座を争う大田選手も森橋選手も北村選手には届かず、大田選手は6位に沈み、森橋選手は3位どまり。北村選手は二連勝でシリーズを締めくくり、チャンピオンは森橋選手が確定させた。

 北村選手は、「1本目はクラストップタイムだったと思いますが小さなミスが多数あり、この日は路面コンディションも良かったので他のドライバーも2本目は上げてくるだろうし、1本目のタイムでは逃げ切れない、と思ってました。そこで2本目は、ミスの個所を修正しつつ攻めにいきました。1カ所だけシフトミスしましたが、その他は概ね及第点、楽しく走り切ることができました」と勝利を掴んだ走りを振り返った。

 今季については「この日もダブルエントリーしていた、ゼッケン31の藤井一代選手所有のWRXでそもそもシリーズを追うつもりでしたが、マシントラブル中で修理に長期間かかっててシリーズとおして自分のランサーを使うことに……。そんな状況でしたができることをできる範囲でやり、最後は二連勝でシーズンを終えることができました。WRXはまだ直ってなくて2026年はどうするかまだ決めてませんが、クルマやクラスはどうあれ楽しんでいきたいと思います」と、予定どおりのシーズンではなかったことを明かし、今後の展望も語った。

 一方、2位の暮部選手は「1本目はタイヤのグリップ感も良かったんですが、パイロンターンで突っ込み過ぎてターンが大きくなってしまい、パイロンペナルティも貰ってしまいました。2本目は(1本目が)タイム的には悪くなかったので大きく変更せず、ターン時の突っ込み過ぎを修正できて悪くなかったと思っています」と手応えある走りができた様子。

 更に「今シーズンはB車両とPN車両の混合クラスとなり、台数が一気に増えました。このことで結果を出すのが難しくなり1位を取ることはできませんでしたが、第6戦、第7戦と上位争いに絡めた時は楽しいものとなりました」と、今季を振り返った。

BPNクラスで三菱・ランサーエボリューションIXをドライブし、両TRYを制圧した北村健選手(ウエストリバーSyuランサー)は二連勝でランキング2位も確定させた。
BPNの2位はランエボXを操り、1TRYで犯したパイロンペナルティから挽回した暮部雄一郎選手(DLCMSCランサー)が奪取し、ランエボ勢が1-2を占めた(左)。王座を賭けた最終戦に挑んだ森橋和也選手(DL・弥生・稲妻インプレッサ)はGDB型スバル・インプレッサWRX STIを駆って3位を獲得、初の地区戦チャンピオンを確定させた(右)。
BPNの表彰は左から、4位の亀山伸一選手(DL RSK乱人GRヤリス)、2位の暮部選手、優勝した北村選手、3位の森橋選手、5位の杉本季優選手(RSKヤリス)、6位の大田健太郎選手(DLチャレンジャーランサー)が受けた。
2025年JAF近畿ジムカーナ選手権BPNクラスチャンピオン 森橋和也選手
「半分近い選手がペナルティ対象となる波乱の展開で、私は3位に順位を下げてチャンピオン争いは微妙な状況でしたが、アナウンスで私のチャンピオン決定が知らされて、喜びは頂点に達しました。勝因は、BC3への参戦や全日本への挑戦で技術もメンタルも随分鍛えられたことと、第3戦以降3位以内をキープできたことだと思います。まずはひとつ目標を達成できたので次の目標は、記憶に残る走りと記録を残して誰もが知る選手になることと、カッコいい異名で呼ばれるようになることです!」

BC1クラス

 今季5人の勝者が誕生している激戦のBC1クラス。チャンピオンの座は開幕二連勝を果たした中嶋敏博選手と1勝ながらも確実に表彰台に上り続けている中山務選手、そして勝利こそないものの着実にポイントを積み重ねてきた野⽥太一選手の3人に権利を残して最終戦を迎えた。

 ハイスピードセクションが設定されるT.S.C.Oのレイアウトは、中間でテクニカルセクションがあるもののターボパワーが生かせるZC33S型スイフト勢が有利と思われた。しかし、この予想を覆してTRY1をトップタイムで折り返したのはホンダCR-Xを操る中山選手だった。ポイントリーダーでホンダ・インテグラタイプRを駆る中嶋選手は2番手。このままの順位でいけば中山選手が逆転チャンピオンを確定する中、勝負のTRY2を迎えた。

 ZC33S型スイフト勢の山本貴嗣選手が1分35秒台に入れて2番手に飛び込み、タイムアップ合戦が始まると思われた。しかし、中山選手はタイムダウン、インテグラ勢の野田選手はパイロンペナルティを犯して沈み、更に中嶋選手はまさかのスタートできず、リタイアしてしまった。

 中山選手が逃げ切りで最終戦の勝者となり、チャンピオンの称号も確定させた。「最終戦の1本目で、今シーズンが決まると思って走りました。90点くらいの出来でしたが、出し切れたかと思います」と、TRY1勝負の予想が当たったことを明かした。

BC1クラスでホンダCR-Xを駆り、TRY1で1分35秒438をマークしてトップに立った中山務選手(DLファインアートプロμCRX)が逃げ切り優勝、二連覇も確定させた。
BC1の山本貴嗣選手(YHプロμS+FAスイフト)はZC33S型スイフトを操り、TRY2で中山選手に0.209秒差まで迫ったが、2位に終わった(左)。インテグラをドライブした中嶋敏博選手(BS FA S+インテグラ)はTRY2をスタートできず、王座争いは万事休す。それでもTRY1のタイムで3位に入った(右)。
BC1は左から、2位の山本選手と優勝した中山選手、3位の中嶋選手のトップ3が表彰された。
2025年JAF近畿ジムカーナ選手権BC1クラスチャンピオン 中山務選手(左)
「7度目の近畿地区チャンピオンの様ですね。今シーズンは前半イマイチだったのと、(第4戦の)ABコースが暑く、Sコンパウンド(のタイヤ)で走って撃沈しました。その後に、今年からMコンパウンドを投入したおかげで何とかなりました。ダンロップスカラシップ、プロジェクトμスカラシップ、ファインアートに深く感謝いたします。今シーズンもありがとうございました!」

BC2クラス

 BC2クラスでは、岩崎玲生選手が完全無欠の開幕4連勝で、すでにチャンピオンを確定させている。リアブレーキキャリパーを追加し、縦引きサイドブレーキを搭載したトヨタMR2で無双状態となっている岩崎選手に、誰が土をつけられるか注目が集まった。

 しかし、TRY1から岩崎選手が圧倒的な速さを誇示し、1分36秒台をマーク。岩崎選手に続くのは、同じくMR2を駆る佐藤英也選手だが、4秒以上の大差をつけられた。TRY2に入って宮里佳明選手が1分37秒台に上げてくるものの、岩崎選手には届かず。

 逃げ切り優勝を決めた岩崎選手だったが、更に自身が記録したターゲットタイムを塗り替え、1分35秒09をマーク。今季全勝となる5勝目を手にした岩崎選手は「1本目、体調不良で満足な慣熟歩行もできない状況でしたが、そこはコース相性の良い名阪Eコース。T.S.C.O様のコースはチャレンジングなロングコースで私好みなのですが、今回ばかりはハンドルに力が入りにくく切り遅れなどありましたが、ギヤ比がバッチリでトップ折り返しました」と、体調が思わしくない中での走りだったことを明かした。

 続けて「2本目は慣熟歩行をあきらめて、パドックで体力温存して臨みました。右コーナーで遅れていた自覚がありましたので、シートポジションとベルトを調整してスタート。結果、リズムが良くなり、大きく改善する事が出来ました。終わってみれば二駆最速もいただくことができました!」と喜んだ。

少数精鋭による争いとなったBC2クラスは、チャンピオン確定済の岩崎玲生選手(ADVANラブカDXL☆MR2)が最終戦の2WD勢でトップのタイムをマークする横綱相撲で優勝、2024シーズンから続く連勝を6に伸ばした。
BC2の表彰も左から、2位の宮里佳明選手(DL片山レーシング牧速RX-7)と優勝した岩崎選手、3位の佐藤英也選手(SYU:DXL:MR2)のトップ3が受けた。
2025年JAF近畿ジムカーナ選手権BC2クラスチャンピオン 岩崎玲生選手(左)
「近畿・中部のダブルタイトルを狙っていたのですが、中部では(トミー)アルパカに競り負けての2位でした。しかし、それで得るものが多く、今シーズンはスポットで出た全日本も過去イチ良い走りが出来ました。それが地区戦のメンタルの強さ(勝負強さ)につながった感じです。年齢とともに落ちる体力、しかしまだ上がっている経験値。遅咲きですが今がベストです。更に“上がりしろ”を信じて2026年もチャレンジしていきます!」

BC3クラス

 近畿地区戦最速を競うことが多いBC3では毎シーズン、毎戦激しい戦いが繰り広げられる。今季は石田選手が3勝を挙げてチャンピオンに王手をかけ、辰己浩之選手と今季2勝を挙げている岡本選手が追いかける。有効ポイントの関係から石田選手と岡本選手の実質一騎討ちだが、混戦のクラスだけに何があっても不思議ではない。

 TRY1では中間で48秒台を記録した岡本選手が、1分34秒台をマーク。続くラストの石田選手は中間で1秒以上遅れてしまう。しかし、後半セクションで一気にまくった石田選手は約0.15秒岡本選手を上回り、トップで折り返す。

 雌雄を決するTRY2では、タイムが大きく動いた。まずTRY1のトップタイムを更新したのは辰巳浩之選手で、一気に1分33秒台までタイムを押し上げることに成功した。しかし、続く岡本選手が驚愕の1分30秒966で、完全無欠の全クラストップのタイムをマーク! 再逆転に期した石田選手だったが、3つのペナルティで撃沈。石田選手に並ぶ今季3勝目を手にした岡本選手が、逆転で嬉しいチャンピオンを確定させた。

 岡本選手は「1本目は自分なりの走りはできましたが、シリーズポイントトップの石田さんが1位、自分が2位で絶望感しかありませんでした。2本目は自分の前走者、1本目3位の辰巳さんが2本目トップタイムを更新しないと、シリーズチャンピオンの可能性はゼロでしたので、辰巳さんがトップタイム更新したことを確認して出走できたことは大きかったです」と、振り返った。

 続けて「『シリーズチャンピオンをとる舞台は整った!』と、テンションマックスでありながら冷静にアグレッシブに、イメージどおりの完璧に近い走りができたと思います。自分史上、最大のドラマがあった試合でした。シリーズポイントトップ(石田選手)が3位以下で自分は優勝が、シリーズを獲れる絶対条件だったので、崖っぷちで優勝をもぎ獲れた忘れられない試合になりました!」と、興奮冷めやらぬ様子で語った。

BC3クラスはスバルWRX STIを駆る岡本尚史選手(DLアクアSTAR5WRX)がTRY2で驚異の全クラストップタイムを叩き出して逆転優勝。王座争いでもランキング3番手からの逆転で、チャンピオンを確定させた。
TRY1はパイロンペナルティに沈んだ辰巳浩之選手(BSランサー)だったが、ランエボIXをドライブしてTRY2では2位まで上げた(左)。最終戦まで岡本選手と王座を争った石田忠義選手(DLアクアWM東発インプレッサ)はGDB型インプレッサを操りTRY2でも力走を見せるがタイムアップならず3位。ランキング2位も確定した(右)。
BC3はトップ3が表彰された。左から、2位の辰巳浩之選手と優勝した岡本選手、3位の石田選手。
2025年JAF近畿ジムカーナ選手権BC3クラスチャンピオン 岡本尚史選手
「WRXで地区戦を走って4シーズン、一度もシリーズが獲れなかったのでようやく、という感じが強いです。タイムは出るのに、凡ミスで成績が残らないということが多く、マシントラブルにも悩まされた一年でした。来シーズン、WRXでは全日本メインに舞台を移して頑張りたいと思っております」。

フォト/森山良雄[Yoshio MORIYAMA] レポート/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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