五月晴れの中国ダートラ第3戦、タイヤも決まったNS1川戸惟寛選手が今季初優勝!

レポート ダートトライアル

2023年5月30日

2023年JAF中国ダートトライアル選手権は、山口県宇部市の楠木ハイランドパークで行われた第2戦から、第3戦は再び広島県安芸高田市のテクニックステージタカタに会場を移しての開催となった。朝方は深い霧に包まれていたタカタだが、競技が始まる頃には快晴となり、日中は気温が上昇。5月とは思えない暑さの中で、両ヒート共にドライ路面での競技となった。

2023年JAF中国ダートトライアル選手権 第3戦
2023年JMRC中国ダートトライアルチャンピオンシリーズ第2戦
2023年JMRC全国オールスター選抜第2戦
CCMスペシャルステージ’23

開催日:2023年5月21日
開催地:テクニックステージタカタ(広島県安芸高田市)
主催:CCM

 第3戦のコースはシンプルながらも、高速セクションと低速セクションを織り交ぜた設定で、特に最終区間のヘアピンは、立ち上がりで失速する選手も多く、重要な攻略ポイントとなった。

 また、第1戦と同じくこの一戦もJAF九州ダートトライアル選手権との併催となり、パドックには90台以上の競技車両が集結、初夏を思わせる気候の中、賑やかに開催された。

スタート直後は新たに増設された区間も駆け抜けるストレート中心、後半はコース攻略のカギを握ったヘアピンを含むコーナリング中心となる、前後半で性格が異なるレイアウトが採用された。

NS1クラス

 9台で争われたNS1クラスは第1ヒート、それまで1分52秒台で推移していた上位陣の均衡を破り、ラスト前のゼッケンの西田ツカサ選手が1分49秒台に突入。さらにその直後、ラストゼッケンの川戸惟寛選手が西田選手のタイムを0.32秒上回り、ラスト2台がコンマ差のトップ争いを展開する。

 第2ヒートになると、西田選手は1分48秒台を刻み再びトップに立つも、勝負を決めたのは一気に1分45秒61の総合トップタイムを叩き出した川戸選手。「今回はタイヤ選択がバッチリ決まりました。走りの方は、ちょっとやり過ぎたところはありましたが、タイヤが耐えてくれました」と語った川戸選手が、2023シーズン初優勝を飾った。

NS1クラスの川戸惟寛選手(YHチェリッシュランサー)は2022シーズンに2勝と3度の2位でランキング2位を獲得。2023シーズン初勝利でランキング3位に上がり、2020シーズン以来のチャンピオン奪還が射程に入った。
NS1で第1戦以来となる優勝を狙い、第2ヒートで一時トップタイムを更新した西田ツカサ選手(上殿DLカジオカACAランサー)は川戸選手に逆転を喫して2位に終わるも、ランキングトップをキープ(左)。織田一昭選手(河野モータースYHランサー)は第1ヒート3番手から第2ヒートでタイムアップを果たすが3位は変わらずも、第1戦の2位以来となるトップ3入りを果たした(右)。
NS1の上位4選手。左から優勝した川戸選手、2位の西田選手、3位の織田選手、4位の清岡毅選手(河野M☆YHランサー)。

SA1クラス

 SA1クラスはクラス内で唯一、2分を切る1分59秒台をマークした第1戦の覇者、松岡修司選手が第1ヒートをトップで折り返す。

 しかし、1分57秒台でトップタイムが入れ替わる展開となった第2ヒートで、1分54秒34を刻んでトップに躍り出たのが北野壱歩選手。ラストゼッケンの松岡選手も1分54秒台に入れるも「今回は若手にやられてしまいましたね(笑)」と、0.46秒及ばず2位止まり。

 そして「思い通りに走れたわけではなかったのですが、勝てるタイムが出たのは良かったと思います」と語った北野選手。24歳の若手ドライバーが逆転で二連勝を果たした。

SA1クラスの北野壱歩選手(クスコWORK505スイフト)の昨季は第5戦で3位、第7戦で2位に入りランキング5位を獲得。今季は第1戦で2位、第2戦から二連勝を果たしてランキングトップに立ち、大きな成長を見せている。
昨季は2勝を挙げ、SA1ランキング2位だった松岡修司選手(SP速心DL☆WM☆OLコルト)は北野選手に逆転を喫して2位に甘んじたが、ランキング2番手に上げた(左)。高橋義晴選手(SPIRITテクノ・インテグラ)は第1ヒートから7秒以上タイムアップ、順位をひとつ上げて3位を獲得した(右)。
SA1の上位4選手。左から優勝した北野選手、2位の松岡選手、3位の高橋選手、4位の坂本達哉選手(チェリッシュYH川上ミラージュ)。

PN1+クラス

 ディフェンディングチャンピオン山谷隆義選手が、2分03秒台で第1ヒートのトップタイムをマークしたPN1+クラス。今季は第1戦も第2戦も2位に終わっているだけに、一矢報いたいところだ。

 しかし第2ヒートでその山谷選手を抑え、開幕二連勝中の南優希選手が2分00秒01でトップに立つ。続く飯島千尋選手は0.12秒及ばず2番手と、2分00秒台でのトップ争いとなったが、ここで2分を切ってきたのが、第1ヒートで2番手につけていたラス前ゼッケンの藤原祐一郎選手。南選手を0.04秒上回る1分59秒97を叩き出しトップに立つ。

 ラストゼッケンの山谷選手は2分00秒台までタイムを詰めるも4位止まり。藤原選手は「第1ヒートは山谷選手に2秒くらい離されていたので、車載ビデオやロガーを見て修正しました。ただ、あまり勝ったという手応えでなかったのですが……」と勝利の実感がわかない様子だったが、僅差で今季初優勝を飾った。

PN1+クラスの全日本ドライバー、藤原祐一郎選手(田中自動車DL岡歯科29FIT)は2分の壁を突破する走りを第2ヒートで披露して、昨季の第4戦以来となる中国地区戦優勝を果たし、ランキングでも3番手に上げた。
PN1+で開幕二連勝中だった南優希選手(DLWMクスコスノコスイフト)が、0.4秒の中に3台が入る接戦の2位争いを制した(左)。長野から遠征の全日本ドライバー、飯島千尋選手(Moty’s☆DLスイフト神速)が3位を獲得した(右)。
PN1+の上位4選手。左から優勝した藤原選手、2位の南選手、3位の飯島選手、4位の山谷隆義選手(ベックワークスフィット)。

SCD2クラス

 SCD2クラスは第1戦を制した望月浩孝選手が第1ヒートからクラスでただひとり、1分49秒台をマークしてトップで折り返す。

 第2ヒートになると第1ヒートで3番手につけていた今川正樹選手が、望月選手のタイムを0.73秒更新してトップに立つが、その後、アキマただゆき選手が1分47秒台に突入しトップが入れ替わる。

 この時点で3番手のポジションからスタートした望月選手だが、一気に1分45秒81までタイムを詰めてトップを奪還。ラストゼッケンの西元直行選手は車両トラブルに悩まされ、第2ヒートは完走できず8位に終わり、望月選手が優勝を果たした。

「第1ヒートの結果を見て、第2ヒートは改善できたのですが、タイムはもう少し出たと思いますね」と望月選手は今季2勝目を挙げたが、反省も忘れなかった。

昨季は2020シーズン以来の優勝を含む2勝を挙げ、SCD2クラスのランキング2位につけた望月浩孝選手(DLスピリット・タカタGR86)。今季は第3戦で早くも2勝目を挙げて、ランキングトップに立った。
第1ヒートはSCD2の4番手だったアキマただゆき選手(㊆WWKケノールランサーDL)は、第2ヒートで5秒以上タイムアップを果たして2位を獲得、ランキングでも2位に上げた(左)。第1ヒート3番手の今川正樹選手(IBP 田中自動車 ランサー)は第2ヒートでタイムアップを果たすも順位は変わらず、昨季の最終戦以来となる3位を獲得した(右)。
SCD2の上位4選手。左から優勝した望月選手、2位のアキマただゆき選手、3位の今川選手、4位の上田強選手(フジイレーシング ランサー)。

ATクラス

 ATクラスは、末金晋平選手が第1ヒートから2番手以下を大きく引き離してトップに立った。

「アクセルはマントルまできっちり踏みました(笑)ただ、タイム的にはもう少し出したかったですね」と語った末金選手が、山口大学自動車部の教えをしっかり実行。第2ヒートでも6秒以上のタイムアップを果たして優勝を飾った。

ATクラスは第2戦を欠場した末金晋平選手(YUAC508デミオ)が大差で2ヒートとも制して優勝、ランキングでも3番手につけた。
ATに参戦した3選手。左から優勝した末金選手、2位の松原健一選手(MCCSミラTR-X)、3位の都田輝峰選手(デミオ)。

NPSAクラス

 この一戦でも第1ヒート2番手から逆転で優勝を決めたのが、NPSAクラスの萩原豪選手。

「第1ヒートでトップだと、ドキドキして良くないので、いつも様子見です(笑)。今回、第2ヒートでミスをして2秒位はロスしてしまったので、何とか優勝できたという感じですね」という萩原選手は、地元四国でのJAF四国ダートトライアル選手権も含め、今季は地区戦での連勝記録を5に延ばした。

昨季は勝利を挙げられず、NPSAクラスでランキング2位だった萩原毅選手(菓舗ふくおかDLフジイスイフト)だが、今季は2勝目を挙げて、チャンピオン争いをリードしている。
第1ヒートでNPSAのトップタイムをマークした岩坂有洋選手(スピリットエクセスインテグラ)は萩原選手にかわされて2位になるも、第1戦の3位からひとつ順位を上げて、ランキング2位を守った(左)。3位のEP82型トヨタ・スターレットを駆る谷口成治郎選手(谷口左官工業所スターレット)は昨季の最終戦での2位以来となるトップ3入りを果たした。
NPSAの上位3選手。左から優勝した萩原選手、2位の岩坂選手、3位の谷口選手。

RWDクラス

 RWDクラスは、リア駆動車の競技歴10年という横山修二選手と、この一戦がデビュー戦の若手ドライバー二人、畑窪琢巳選手と丸本光選手の対決となった。

「いつもはカリーナで参戦しているのですが、修理が間に合わずアルテッツァを借りて出場しました。カリーナよりも速いですね」と苦笑いの横山選手が優勝を飾り、ベテランの貫禄を見せた。

ベテラン対新人の構図となったRWDクラスはベテランの横山修二選手(レンタル・アルテッツァ)が、第1ヒートこそ慣れない車両で2番手になるも、第2ヒートでしっかり巻き返して優勝を果たした。
RWDクラスに参戦した3選手。左から優勝した横山選手、2位の畑窪琢巳選手(上殿自動車・505・赤86)、3位の丸本光選手(チェリッシュBRZ)。

SCD1クラス

 SCD1クラスの重松良輔選手は一柳豊選手との僅差の戦いを制した。

「第2ヒートは若干ミスもありましたが、ほぼイメージ通りの走りが出来て、タイムもそれなりに出たと思っていたのですが、2位の一柳選手とのタイム差が0.02秒差だったので、危なかったです(笑)」という重松選手は今季2勝目、一柳選手は二戦連続の2位となった。

SCD1クラスの重松良輔選手(DLよしだやKSGシビック)は昨季のランキング2位。今季は昨季の最終戦から三連勝を果たし、ランキングトップを走っている。
SCD1のディフェンディングチャンピオン、一柳豊選手(DLテクノBSTシビック505)は2戦連続の2位でランキング2番手。10ポイント差で重松選手を追う(左)。第1ヒートで4番手だった鈴鹿浩昭選手(DL上殿SPIRITインテグラ)は、第2ヒートで順位をひとつ上げて3位を獲得した(右)。
SCD1クラスの上位3選手。左から優勝した重松選手、2位の一柳選手、3位の鈴鹿選手。

JMRC中国チャンピオンシリーズ チャレンジクラス

 JMRC中国チャンピオンシリーズのチャレンジクラスは、広島工業大学の伊藤良起選手が第1ヒート2番手から逆転で優勝。「6月に学生の大会がここ(タカタ)で開催されるので、その腕試しも兼ねて今回出場しました。ブレーキング等、課題は沢山ありますが、大会頑張ります」と、笑顔でコメントしてくれた。

JMRC中国チャンピオンシリーズのタイトルのみがかかるチャレンジクラスは、伊藤良起選手(広工大シビック)が第2ヒートで2位以下を2秒近く離すタイムを叩き出して、優勝を果たした。
チャレンジに参戦した3選手。左から優勝した伊藤選手、2位の石原昌悟選手(QUCC☆パンダミラージュ)、3位の野村滉揮選手(借り物イケイケオレンジデミオ)。

クローズドクラス

 クローズドクラスは、学生同士の戦いとなったが、チャレンジを制した伊藤選手と同じ広島工業大学の藤原卓司選手が、山口大学の黒木昴選手を抑えて1位となった。

クローズドクラスでは、チャレンジの伊藤選手とダブルエントリーで参戦した藤原卓司選手(広工大シビック)が2ヒートともトップタイムをマークした。

フォト/友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部

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