2023シーズンの近畿モータースポーツ表彰式が今回も大阪市内で華々しく開催!
2024年3月7日

2023シーズンも各シリーズで熱戦が繰り広げられた近畿地区のモータースポーツ。ジュニアカート選手権とジムカーナ、ダートトライアル、そして中部地区と合同で開催したラリーの各JAF地方選手権、そしてJMRC近畿シリーズで優秀な成績を収めた選手たちを称えるJAF近畿地方選手権 JMRC近畿シリーズ2023モータースポーツ表彰式が2024年2月11日に大阪市内で開催された。
JAF近畿地方選手権 JMRC近畿シリーズ2023モータースポーツ表彰式
開催日:2024年2月11日
開催地:ANAクラウンプラザホテル大阪(大阪府大阪市)
主催:JAF関西本部、JMRC近畿
会場は2022シーズンの表彰式から晴れの舞台を担っている、大阪市北区に建つANAクラウンプラザホテル大阪の大宴会場「万葉」。新型コロナウイルス感染症も5類に移行し、日常生活においても様々な制約が緩和されつつある中、近畿モータースポーツ表彰式もコロナ禍以前に近いかたちで開催された。

式典は先に表彰式が行われた後に、懇親会が行われるスタイルが復活した。
表彰式はJAFモータースポーツ部の村田浩一部長に代わり、大野光一モータースポーツ振興・業務推進プロジェクトチームマネージャーによる代読、JMRC近畿の武地満喜運営委員長による主催者挨拶によって幕を開けた。
賞典はジュニアカート、ジムカーナ、ダートラ、ラリーの順で、ジムカーナとダートラ、ラリーは地方選手権の後にJMRCシリーズの授与が行われた。
ジュニアカートは大野マネージャー、JAF近畿ジムカーナ選手権とJAF近畿ダートトライアル選手権、JAF中部・四国ラリー選手権はJAF関西本部の金原秀行事務局長、JMRC近畿ジムカーナシリーズはJMRC近畿の吉川寛志ジムカーナ部会長が、JMRC近畿ダートトライアルシリーズはJMRC近畿の田岡一浩ダートトライアル部会長、JMRC近畿ラリーシリーズはJMRC近畿の梅津祐実ラリー部会長がプレゼンターを務め、各クラスの受賞者たちに賞典が手渡された。





全てのシリーズの賞典の授与が行われて表彰式が閉会すると参加者たちは一旦退場。暫しの間がおかれ、化粧直しを施された同会場にて、懇親会が行われた。
2020年に開催された、2019シーズンの表彰式以来となる、立食ビュッフェ形式が復活するとあって、懇親会も楽しみにしていた受賞者も多かったのであろう。前菜からデザートまで、多種多様な料理などに舌鼓をうちながら、交流を深めていた。
宴もたけなわの中、武地運営委員長が再び登壇、一本締めで近畿モータースポーツの2023シーズンを締めくくった。受賞者たちは3月から続々とスタートが切られる2024シーズンでの健闘を誓いながら、帰路についた。






































































2023年ジュニアカート選手権/JAF近畿地方選手権「初」チャンピオンインタビュー

2023シーズンのジュニアカート選手権のジュニアチャンピオン、中西選手は4歳からカートに乗り、13歳で戴冠を果たした。「(神戸スポーツサーキットでの)開幕は2戦とも勝てて良かったんですけど、東(新東京サーキットと本庄サーキットでの第3~6戦)はあまり良くなくて」と、不調に陥った。しかし、車両が不調の原因と分かり、改善した中山サーキットでの第7・8戦では「教えてくれる人がたくさんいて良い環境で練習できたので、レースではトラブルもあったんですけど、一番楽に走れました」とシーズン一番だった、と言う走りを見せて2連勝を果たして復調を果たし、スポーツランドSUGOでの第9・10戦まで一気に4連勝でチャンピオンを決めた。2024シーズンはステップアップして、新たなシリーズに挑むと言う中西選手。「新しいエンジンになったりするので、負けたりダメだったりしても、新しいことをどんどんやって経験を積んでいきたいです」と次の舞台でのさらなる成長に、期待を膨らませていた。

11歳の元田選手がカートを始めたのは7歳の時。F1ドライバーをはじめ、レーシングドライバーにあこがれてカートを始めるドライバーが多い中、「お父さんがレンタルカートに乗ってて、それを見てやってみたい、と思いました」とカートに乗ったきっかけを語ってくれた。2シーズン目を迎えたジュニアカート選手権のジュニアカデットでは「1日2戦あって厳しいけど2勝が毎戦できて良かったです」と、開幕6連勝を果たす強さを見せてチャンピオンを獲得。「トップに立つと焦っちゃっていたんですが、“練習だ”と思うようにしたのが一戦目でできて自信になりました」と、6連勝を遂げたきっかけを語る。「地元ではないんですけど、周回数も多くてタイヤに厳しい感じが自分に合って結構得意です」と言う、中山サーキットで大差をつけた5勝目と6勝目が元田選手の2023シーズンベストレース、とのこと。2024シーズンは参戦クラスを変えてステップアップするそうだが、「去年も行ったけど、今年も行きたいです」と海外でのレースへの挑戦に、目を輝かせていた。

表彰式の日が12歳の誕生日、という島津選手は2023シーズンに誕生した琵琶湖・石野・神戸シリーズ ジュニアカデットの初代チャンピオンとともに、ジュニアカート選手権初の女性チャンピオンという栄誉に輝いた。ホームコースの琵琶湖スポーツランドでの第1戦を制すると、石野サーキットでの第2戦では「ほぼ走ったことがなくて、他のレースに出たりもしました」という練習の成果を見せて2連勝を果たした。最終第3戦の神戸スポーツサーキットは「何回かレースをしたことがあって、決勝のタイムは良かったけど、結果が良くなかったです」とのことで、3連勝は成らなかったものの、2位獲得で戴冠を果たした。「バトルとかで寄せられたらすぐ避けていたんだけれど、お父さんに言われたのがきっかけで避けなくなりました」という変化も、この成績にも影響を与えたようだ。表彰台に上がって喜んでいたのが、勝てなかったら悔しい、と大きな成長を遂げた島津選手。地元の琵琶湖を離れ、鈴鹿サーキット南コースや瑞浪サーキットでのシリーズに挑むという2024シーズンで、さらなる成長を果たすであろう。

全日本ジムカーナ選手権のP・AE1クラスにも参戦する段上選手は、ジムカーナデビュー以来AT車両に乗り続けているドライバーだ。「サイド(ブレーキ)使えないですからね。ライン取りですかね、どうやって回るのがいいか。突っ込んでドン! っていうのができないから、だいたい入口広めで入るのが多いかな。その辺のライン取りはいつも意識しています。なるべく踏めるラインはどこだろう、立ち上がりでできるだけ踏めるようにしたいとは思うけれど、なかなかできないですね」と、AT車両の経験が豊富な段上選手でも、奥は深いようだ。2023シーズンは「2ペダルで地区戦が初めて成立しそうだから何とかがんばりたいな、と思っていて、強いライバルがいましたから、切磋琢磨しながらなんとか獲れたんで良かったです」と、4勝を挙げて2PDクラスの初代チャンピオンに輝いた。2024シーズンも地区戦と全日本を戦う、とのことだが新たな車両を投入するそうだ。「新しいクルマで一年生です」と、新たな挑戦を始める段上選手の走りに注目したい。

太田雅喜選手とよこ山弘之選手、チームランチボックス(TLB)のチームメイトであり、ダイハツ・カプチーノを操るふたりによる王座争いとなった2023シーズンのBR1。第6戦終了時点でふたりの有効ポイント差は1点。迎えた最終第7戦では1本目のトップタイムをマークした太田選手に対し、よこ山選手は痛恨のミスコース。よこ山選手は2本目でタイムを残すも、太田選手に約0.6秒及ばず3位。太田選手はタイムダウンを喫して2位に甘んじたものの、僅か2ポイント差で初の地区戦チャンピオンに輝いた。「運が良かったんです。ここまでの接戦になったら、運もありますよ。最後に2位に入れて、本当に良かった」と振り返る太田選手だが2勝を挙げて、さらにここ一番の1本目でトップタイムを出したのは、運ではなく実力であろう。「“還暦でもカッコよく走る!”を目標にここまでやってきましたが、もうその還暦。こうなったらいけるところまでカッコよく走り続けますよ!」と笑顔で宣言した太田選手。最高のライバルでもあるよこ山選手と切磋琢磨しながら、BR1を盛り上げ続けてくれるであろう。

SB2クラスからBR2に転向した張選手は転向初年で見事、戴冠を果たし、ミドルシリーズのBR2クラスも制して2冠も達成した。「いっぱい走って場数踏んで上達していけました」と、4勝を果たしたミドルへの参戦に加えて、「Sタイヤでの挙動をラジアルで再現しようとしたら、ハッキリ違いが分かったんです。(以前)ミドルに出ていた時は最初からラジアルだったので認識できていませんでしたが、Sタイヤから戻ってきて見えてきました」と、タイヤの使い方で得た収穫が、5勝を挙げて満点で獲得した、初の地区戦チャンピオンに大きな影響を与えたそうだ。これまではDC2型ホンダ・インテグラを駆っていた張選手だが、2024シーズンは2季続けてのクラス転向で後輪駆動の車両に挑戦するそうだ。後輪駆動は初めて、とのことで「アクセルの開け方もそうですし、クルマに座っている時の位置、インテグラはフロント寄りですけど、後輪駆動は結構後輪寄りなんです。自分の運転がイチから変わりますね」と大きな変化を前にその表情からは、不安よりも新たな挑戦への期待が感じられた。

2004シーズンにスポット参戦して以来、というミドルシリーズに2022シーズンに復帰を果たしてBR4クラスでチャンピオンを獲得、2023シーズンは地区戦のBR4にステップアップした大田選手。開幕当初は「楽しめたらいいな、って思っていた」そうだが第2戦で勝利を挙げる。「勝ってしまったら楽しむどころかチャンピオン目指したくなるんで、グリップがいいタイヤに変えて、足のセットも変えたんです」とのことだったが、日野良一選手が第5戦で3勝目を獲得。残り2戦は必勝という崖っぷちに立たされたが、第6戦まで1カ月以上空いたことで転機が訪れる。「中休みの合間に練習して。よくターン失敗するんで、そういうところの感覚を掴むのと、足回りのセッティング変更する方向が見出せて、良い練習になったな、と思います」という成果を発揮して2連勝を挙げる逆転劇を見せる。ミドルに復帰前からレッスンや練習会でウデを磨き、復帰後2年で地区戦チャンピオンに駆け上がった。2024シーズンは並みいるライバルたちを迎えうち、連覇を目指すとのことで、BR4がさらに白熱の王座争いを繰り広げることになりそうだ。

第2戦で2023シーズン初優勝を挙げると、第5戦まで4連勝を挙げて一気にチャンピオンを決めた、PN4の西川選手。このシーズンから始めた、という全日本への参戦をとおして「緊張しなくなりまして」と変われたことが一番の勝因、と分析している。ミドルシリーズや、中部と四国の地区戦まで足を延ばして武者修行に励んだそうだが、「こんなところ壊れるの? ってところが壊れていました。よう壊れへんかったな! と思いました。あんまり走り過ぎたらダメ、っていうのが分かりましたね」と語るクルマへのダメージも、学びになったようだ。3戦参戦した全日本で「走る前に勝った時の“何で勝てたか”を考えているんですよ、全日本の人たちは。それを知れたのが良かったです。勝つために何をすれば良いか、って全部やるようになりました」という発見も、緊張しなくなった要因かもしれない。2024シーズンはフル参戦するという全日本の舞台で、目標に邁進する走りを見せてくれることに期待したい。

ダートトライアル歴は丁度10年、と言う須川裕二選手。トヨタ86に乗り換えてRWDクラスへの転向は、ダートラデビューする前に乗っていたAE86以来の後輪駆動の車両(FR)だそうだ。「FR乗るのが30年ぶりだったんで、四駆から乗り換えてもう、課題が山盛りで。いろんな人の力をお借りしてなんとか」と謙遜するものの、第2戦でクラスデビューウィンを飾る。「最後の方だったと思うんですけど、ゴール寸前で後輪が両方ともトラブル抱えて。ギリギリゴールできて結果、2位で終われたんですけど、落としていたらチャンピオンはなかったかな」と振り返る、第5戦と第6戦の連続2位を含む3度の2位獲得も効いて初のチャンピオンに輝いた。2024シーズンも「よりカッコいい“じいじ”であるために走っていきます!」と、須川選手はRWDでの戦いを続けるそうだ。晴れの舞台にも一緒に来てくれた孫たちに「カッコいいじいじ」の姿を見せるべく、山盛りの課題を突破していくことが2連覇への大きなモチベーションとなるに違いない。

優勝は第1戦だけだが、5戦参戦したうち4戦でトップ3フィニッシュを果たす安定感ある走りで初の地区戦チャンピオンを獲得した、DE-1の金岡/関本組。金岡選手はJAF全日本ラリー選手権のJN-1クラスにも参戦するドライバーだが、コ・ドライバーの関本選手は2023シーズンがラリーデビューだったそうだ。「もう初戦なんかほとんどノートなんかロストしまくりで、他にもトラブルがあったんですけど、そんな中でも金岡さんは優しく見守ってくれたんです」と控えめの岸本選手だが、「素晴らしい成長でした」と金岡選手が語る成長ぶりは、チャンピオン獲得という結果に現れているはずだ。「ちゃんと(ラリー)ジャパンに出れてセレモニアルフィニッシュまでいけました。目標が達成できて、本当に一年間大変勉強させていただきました」と金岡選手と、サポートした福永修氏はじめオサムファクトリーのスタッフに感謝する岸元選手の2024シーズンは、JN-1にひき続き挑む金岡選手とは異なるクラスだが、全日本に挑戦する、とのこと。ふたりの全日本での健闘にも注目したい。

「全勝でいきたかったんですけど一戦、セッティングを外してぶっちぎられちゃって完璧ではなかったんですけど」と謙遜する貝原選手だが、コ・ドライバーの西﨑佳代子選手とGR86を駆り、DE-2で6戦中5勝を挙げて堂々の戴冠を果たした。2023シーズンは「足とかデフのセッティングを毎戦細かく良い、悪いのデータを取って毎回毎回変えてって、というところを調整していました」と、2022シーズンまでとは変えて挑んだそうで、「メカのおかげもあって、全日本の最終戦までにはなんとかいいモノになって、シーズン通してチャレンジして良かったと思います」と、チャンピオン獲得とともに実りの多い2023シーズンだったようだ。2024シーズンについては「全日本メインでがんばりたいと思います。クルマが変わるので、またイチからになります」と語る貝原選手。ともに初の地区戦チャンピオンを獲得した西﨑選手と挑む、新たな舞台への期待に胸を膨らませている様子だった。

DE-5で地区戦初戴冠を果たした、島根/藤沢組の2023シーズンはクルー結成1シーズン目でもあり、中部・近畿ラリーへのフル参戦もふたりとも初めてだったそうだ。島根選手が「まあまあ合わなくてチグハグして。そうは言いつつ表彰台獲れたのが流れをつくる、ひとつ大事なポイントだったと思います」と、振り返った第1戦で3位を獲得、さらにポイントを積み上げて第4戦を迎えた。王座争いも佳境を迎えたラリーで、いきなりSS1で鹿が道を塞ぎ、出鼻をくじかれたそうだ。「“鹿が出て1位ないから、ほどほどにいこうぜ”って言っときながら、取り返してやろう、とド根性が一番出たかな、と思います」と、島根選手がSS2で2番手タイムの激走を見せる。最後のSS4では藤沢選手が「ヘトヘトになりながら、走りも読みもミスなく走り切って結果も出せて良かったかな、と思います」と振り返った3番手タイムをマークする走りで3位まで挽回した一戦が、ふたりの2023シーズン一番のラリーだったそうだ。全日本に挑む島根選手と、ドライバーにも挑みたい、という藤沢選手。2024シーズンはそれぞれの道を邁進する姿を見ることができそうだ。
フォト/谷内壽隆 レポート/JAFスポーツ編集部