四国ジムカーナ第3戦でR4チャンピオンの山下和実選手が全体トップタイム!
2024年7月11日

2024年JAF四国ジムカーナ選手権の第3戦は、JAF全日本ジムカーナ選手権のBC3クラスにも参戦する尾崎誠治代表が率いる高知県の加盟クラブ、スピリッツ.モータースポーツ.クラブ(TEAM S.M.C)が主催。クラブのホームコースでもある、高知県豊岡町に建つモーターランドたぢかわが舞台となった。当日は雨、という天気予報もあったが路面を濡らす雨は降らず、フルドライでの一戦となった。
2024年JAF四国ジムカーナ選手権 第3戦
2024年JMRC全国オールスター選抜ジムカーナ第3戦
POTENZAカップ’24スピードマスター杯SMCスラロームアタック
開催日:2024年5月26日
開催地:モーターランドたぢかわ(高知県豊岡町)
主催:TEAM S.M.C
モーターランドたぢかわは高知県唯一のJAF公認ジムカーナコース。道なりに走るロードコース区間と、自由にレイアウトを組めるコース中央の広場エリアで構成される複合コースだ。全体に緩くついたカントやうねり、路面のグリップ感が異なるクセのあるポイントがいくつか顕在する。
レイアウトを設定した尾崎代表は、「中央に配置したスラロームが今日の勝負どころです。昨年まではピシッと一列に並べていたんですが、今年はオフセットしてパイロンの距離も不等間隔に設定しました。このスラロームをどう出るかでタイム差が大きく変わると思います」と、一番の攻略ポイントを教えてくれた。
さらに、「奥のコースもスペースが異なるので、入口の進入速度を変えるのは重要ですね。今回は2021年のコースをちょっといじったコースなので、長年走っている選手は『あれ? 走ったことあるか?』と思うはずです。でも、少しパイロン配置をいじっているので、ハマっちゃう人もいると思います」と、レイアウト全体についても解説した。
上位陣が数名不参戦となってしまったが、地元・高知の加盟・準加盟クラブのクラブ員が数多く参加し、総勢42選手が集った。7戦中2戦を終え、この第3戦がシリーズ序盤最後の一戦。王座争いで一歩前をいくためにより多くのポイントを勝ち取るべく、土佐の地で熱戦の火ぶたが切って落とされた。



R1クラス
R1クラスは、第1戦を制した乃一智久選手が欠場となった。“鬼の居ぬ間”に1トライでトップタイムをマークしたのは、ホンダ・シティを操る福田和秀選手。このクラスでは圧倒的な優位性を誇るシティらしい、小回りとコーナーリング速度でタイムを伸ばす。
しかし、2トライではスズキ・アルトワークスを駆る日浦裕士選手が反撃にかかり、中間タイムでは福田選手を上回るも、最後のパイロン3本巻でつまずいてしまう。それでも、日浦選手は福田選手のタイムを約0.1秒逆転!
このタイムを聞いて気合が入った福田選手だが、「正直焦りました! ミスコースはできへんし、パイロンも触れへん… これはしくれんな」という心境でスタート。背水の陣でも、1トライで悩んだ、と語ったスラローム直後のサイドブレーキを見事に決めて、再逆転! ベストタイムを約0.7秒伸ばして勝利を手にした福田選手は、「1本目ダメだったところはちゃんと修正できたんですが、とにかくクルマが有利だったんで… 」と殊勝なコメントを残した。
次戦以降は、乃一選手を交えた三つ巴の戦いに発展しそうで、注目のクラスとなった。


R2クラス
R2クラスでは有岡大輔選手と道下貴広選手が、“シルバーコレクター”のジュウガワ貴行選手に挑む構図となった。「“鬼(土居清明選手)”が居ぬ間になんとか勝ちたいです!」と、ジュウガワ選手は意気込んで今回の一戦に臨んだ。しかし、1トライでトップタイムをマークしたのは有岡選手だった。そして、ジュウガワ選手はまたしても2番手…。このままでは宿敵・土居選手不在の一戦をとり逃してしまう。
2トライに入り、路面温度も上がってタイムアップの期待がかかる。しかし、ギヤ比が合わない有岡選手はベストを更新できず。ここで、この一本に賭けるジュウガワ選手は思い切ったセッティング変更を行う。タイヤの空気圧を思いっきり変えて、車両が緩やかにオーバーステアになるように施したのだ。
この変更が功を奏し、ジュウガワ選手はクラスでただひとり、1分12秒台に突入。2位の有岡選手に約0.3秒の差をつけ、2022シーズン、やはりたぢかわでの第3戦以来となる地区戦優勝を手にした。
「1本目フロントの入りが悪くて、大きくセッティングを変えたのが良かったです。特にスラロームの回頭性が良くなって、フロントがしっかりした分パイロンを攻めきれたと思います。ターンでちょっとしくじってしまいましたが、他で稼いだ分で勝てました」と、ジュウガワ選手はセッティング変更の効果を語った。さらに、「2年ぶりの優勝でとっても嬉しいです! 残り全部勝ってチャンピオンを狙います」と、喜んだジュウガワ選手も加わった、王座争いにも期待がかかる。



R3クラス
R3クラスでは第1戦を制しながらも第2戦は4位となった高芝大輔選手が、地元・高知で開催の一戦でコンマ秒差の戦いを制してみせた。
1トライでトップタイムをマークしたのは武田弘己選手。高芝選手は武田選手のタイムを上回りながらも、パイロンペナルティで下位に沈んでしまう。しかし、路面状況が良くなった2トライで高芝選手が、武田選手のターゲットタイムを0.788秒更新する1分12秒228を叩き出す。
武田選手も負けじと気合の入った走りを見せるが、気持ちが先にいってしまいアクセルワークがラフになってしまう。立ち上がりでリアがブレイクするなどミスが散見してしまい、0.047秒及ばす2番手タイム。トライ2での見事なアタックで逆転劇を披露した、高芝選手が今季2勝目を挙げた。
「リアのトラクションがあるので、立ち上がりをしっかり活かせるように走りました。大きな旋回がない設定だったのも助かりました。スラロームのできが良く、苦手なフロントの入りもなんとか克服できたので良かったです」と高芝選手は勝因を語った。さらに「第2戦は捨てましたが、開幕からこれで2勝目! なんとかチャンピオン獲りたいですね」と、コメントを残してくれた。



R4クラス
R4クラスでは、開幕から山下和実選手と瀧本恭之選手が優勝と2位を分け合っている状況。そこに、第3戦でついに、ディフェンディングチャンピオンの山下選手が最も恐れる、佐藤忍選手が参戦してきた。
1トライではパイロンに引っかかるなど、ミスするドライバーが目立つ中、山下選手がひとり1分9秒台を記録する。山下選手が圧倒的な優位性を持って臨んだ2トライで逆転を期した佐藤選手のアタックは、まさかのダブルパイロンペナルティ。中古タイヤで参戦したという車両のフィーリングを掴み切れず、5番手に沈んでしまう。
瀧本選手はタイムを伸ばすものの、1分11秒台に留まり4番手で逆転はならず。この結果、山下選手は1トライのタイムで逃げ切りが確定。しかし、迎えたウィニングランはパイロンペナルティを喫し、1分8秒台はお預けとなってしまった。
走行後、山下選手は「1本目、本当にスピードロスすることなくタイムを残せたので、2本目攻めたんですがパイロンとの距離を詰めすぎてパイロンに触ってしまいました。お昼のお弁当が大盛すぎて、待ってる間にお腹がパンパンで苦しかったからかもしれませんね」と今日の走りを振り返った。
そして「今年は7月以降にセンターデフを電子制御に代える予定なので、セットアップで手間取るかもしれませんが、後半戦も頑張りたいと思います」と、今後の抱負も語ってくれた。



PNクラス
“打倒徳永”がキーワードとなっているPNクラスでは近畿からその目標を掲げ、このシリーズに参戦している田北一賀選手が気を吐いた。クラスの最後に走る、絶対王者の徳永秀典選手にいかにプレッシャーをかけられるかがポイントになるが、たぢかわ初トライの田北選手が好タイムでターゲットタイムをマークして役割を果たす。
しかし、百戦錬磨の徳永選手はこのタイムを気にもせず、自らの走りに集中していた。「1本目からミスコースしないで走れたのが良かったです! 57(歳)にもなると、コース覚えるところから勝負ですから(笑)」と語るも、圧倒的な突っ込みと立ち上がりのトラクションを見せつけ、トップタイムを塗り替える。
2トライに入っても、徳永選手の優位性は変わらない。1トライでしっかりタイムを残したアドバンテージを活かしてさらに攻め込むと、自身のターゲットタイムをさらに押し上げて見事、今季無傷の三連勝を勝ち取った。
「最初のコーナーはアンダーで落としてしまいましたが、スラロームなどをしっかり攻められたのが良かったですね。たぢかわは左右のコースはいつも通りなんですが、真ん中のパイロンセクションが勝負所でしたね」と、徳永選手は走りとレイアウトを分析した。
そして、「これって3年前に走ったことあるコースだと思うんですよね。タイヤもクルマも変わってしまったんで、どうなるか不安でしたがきちんとタイムを残せました。マシンのセットアップもちゃんとまとまってきて、あとはコースさえ覚えられればいい結果になると思っています」と、以前のコースが基であることも、しっかり気がついていたようだ。
一方、第3戦でも目標を果たせなかった田北選手は「次のたぢかわ(第6戦)辺りでギャフンと言わせたいですね!」と、変わらず目標達成に向けて燃えている様子だった。



BSC1クラス
BSC1クラスでは開幕戦でZC33S型スズキ・スイフトスポーツに乗り換えた田中康一選手が、第2戦はホンダ・インテグラのまま走り続ける窪田竜三選手がそれぞれ優勝を分け合い、同じメンテナンスガレージに所属する同門2選手がリードしている。
1トライを制したのは、窪田選手。全日本ドライバーの朝山崇選手も絶賛するターンスキルで無双状態を築き、2番手の田中選手に1秒以上の差をつける。一方、田中選手は全くセッティングが決まらず、一向に動きが良くならない新車両に困惑気味で、この一戦を迎えていた。
セッティング変更を重ねて臨んだ2トライでも、田中選手に改善は見られずタイムダウン。ケータハム・スーパーセブンを駆る下川和大選手にもかわされて3番手となってしまった。結果、窪田選手が1トライのタイムで逃げ切って、優勝を手にした。
「2本目は1本目と同じように走ったんですが、ガス欠症状が出てしまいタイムが伸びませんでした。もう少しオーバーステアが改善できれば、もっとタイムは出ていたかもしれません」と、窪田選手は2トライでの反省も忘れない。そして、今後についても「今シーズンは田中選手次第なのと、スーパーセブンの下川選手がどんどん速くなってきているので、他が速くなってきたらエンジンを少しいじろうかな… と思っています」とコメントしてくれた。
広島県のスポーツランドTAMADAで開催された全日本第3戦で併催された、SLWクラスを制したことをきっかけに速さが開花しはじめた、下川選手の今後の成績も気になるこのクラス。終盤戦に向け、より激しい王座争いが始まりそうだ。



ATクラス、CLクラス
JAF地方選手権の対象外だが5選手が集い、2024シーズン初のクラス成立となったATクラス。安定の速さを見せたのは、ここまで不成立ながらクラストップタイムをマークし続けている鎌田孝選手だった。
コースをきっちりトレースする無駄のない走りを披露した1トライのタイムで、鎌田選手は逃げ切り優勝を果たした。「今年初成立、初優勝でとっても嬉しいです。コースが短く気温が低かったのも良かったです。コースが長いとバッテリーが切れてしまい急にパワーがなくなってしまうので、天候も味方してくれましたね」と、今回の一戦を振り返った。
さらに「ゴール前の3本パイロンの配置が難しかったですね。先週、中国地区戦にも参戦してきたので遠征も考えながら今年は参戦していきたいと思います」とも語った鎌田選手は、AT車両の更なる参戦を願っていた。



今回の一戦を終え、尾崎代表は「遠くから参戦してくれる選手も多く、また高知へカツオの藁焼き旅行を兼ねて次のたぢかわもいらっしゃって欲しいですね。オフィシャルも頑張ってくれ良い大会ができました」とまとめてくれた。残るたぢかわでの第6戦と、ハイランドパークみかわジムカーナコースでの最終戦が、王座争いのカギとなりそうだ。

フォト/鈴木あつし レポート/鈴木あつし、JAFスポーツ編集部
RECOMMENDED > おすすめ記事

2025年1月から設置されたJAFの新たな専門部会「競技運転者(ドライバーズ)部会」の第1回会議が開催
2025年3月21日

開幕戦となった全日本ジムカーナ選手権、BC3クラス参入初戦で奥井優介選手が圧勝
2025年3月14日

マツダ車ユーザーの栄誉を称えるMAZDA SPIRIT RACING モータースポーツ表彰式が挙行
2025年3月5日

今回は北九州市で開催! JAF九州本部とJMRC九州による「2024年九州モータースポーツ表彰式 in 北九州」および「2025年JMRC九州新年総会」が賑やかに開催!!
2025年1月27日