残り2クラスの王者がハイランドマスターズで確定、全日本ラリー2024シーズン閉幕!
2024年10月26日
2024年JAF全日本ラリー選手権の最終戦となる第8戦、「第51回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2024 supported by KYB」が、岐阜県の高山市周辺で10月18~20日の日程で開催された。今回のラリーを前にJN1とJN3、JN5とJN6の4クラスでチャンピオンが確定しているが、JN2とJN4の2クラスはハイランドマスターズが文字どおり最終決戦の舞台となった。
2024年JAF全日本ラリー選手権 第8戦
第51回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2024
supported by KYB
開催日:2024年10月18~20日
開催地:岐阜県高山市周辺
6月に開催された第5戦「加勢裕二杯MONTRE 2024」以来のターマック(舗装)ラリーとなった今回のラリーは、ヘッドクォーター(HQ)とサービスパークが設置された高山市郊外の位山交流広場を拠点とし、高山市役所駐車場でセレモニアルスタートを実施。その後は高山市内の観光スポット「高山陣屋」の前をリエゾンで通過した。高山市役所や高山陣屋前には多くのラリーファンが駆けつけ、また、観光で市内を訪れたていた外国人観光客も足を止め、通過するラリーカーを見送っていた。
SSは19日のレグ1に「あたがす(9.54km)」、「牛牧上り(6.16km)」、「アルコピア-無数河(6.08km)」をサービスを挟み2ループする6SS、43.56kmを設定。20日のレグ2は「大山線(5.35km)」、「駄吉上り(5.36km)」、「無数河-アルコピア(6.08km)」を初日と同じく2ループする6SS(33.58km)の計12SS、SS総距離77.14kmで競われた。
エントリーは、オープンクラスの19台を含む80台が参戦。しかし、TOYOTA GAZOO Racing WRJは前戦「RALLY HOKKAIDO」にて、事前テストや本戦でオイル漏れなどの車両トラブルが発生したこと、更にJN1クラスに参戦した眞貝知志/安藤裕一組(GRヤリスGR4ラリーDAT)と大竹直生/橋本美咲組(GRヤリスGR4ラリー)がともにリタイアに終わったことを受けて、今回のラリーを欠場。GR YARIS Rally2を駆ってLUCK with ROOKIE Racing RALLY TeamからJN1に参戦する、ドライバーの勝田範彦選手もエントリーを取りやめた。
勝田範彦選手とクルーを組む、コ・ドライバーの木村裕介選手はJN2ドライバーチャンピオンを今回のラリーに賭ける三枝聖弥選手(VAB型スバルWRX STI)と組んで参戦。このことによりJN1で木村選手と王座争いを繰り広げていた松尾俊亮選手が、ドライバーの新井大輝選手(シュコダ・ファビアR5)とともにチャンピオン確定となった。
終日雨天となったレグ1はウェットコンディション、レグ2は雨があがりSSのほとんどがドライコンディションとなったものの前日降った雨の影響が残り、一部のSSでは濡れた落ち葉や泥、砂利、水たまりが点在するという難易度が高い路面となった。
JN1クラス
JN1は、今回のラリーを前に今季のチャンピオンが確定した新井大輝/松尾組がSS5までトップを快走するが、初日の最終ステージとなるSS6で痛恨のスピン。SS5を終えて2番手につけていたヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(GR YARIS Rally2)がSS6のベストタイムをマークし、新井大輝/松尾組を逆転。3.9秒差のトップでレグ1を折り返した。
レグ2は、SS9で新井大輝/松尾組が逆転に成功して首位を奪い返すものの、SS11でコバライネン/北川組が再逆転。6.3秒差で迎えた最終SS12は、スタートから約1km地点で新井大輝/松尾組がターボのサクションパイプが抜けるというアクシデントでペースダウン。コバライネン/北川組が33.2秒に差を広げ、締めくくりとなる最終戦で今季初優勝を飾った。
ウェットとなったレグ1では新井敏弘/井上草汰組(VBH型WRX S4)と奴田原文雄/東駿吾組(GR YARIS Rally2)、福永修/齊田美早子組(ファビアRally2 EVO)による三つ巴の3番手争いとなった。しかし、路面に苦しみながらもレグ1を3番手で折り返した福永/齊田組が、レグ2も3番手タイムをコンスタントに並べ、3位に入賞した。
JN2クラス
JN2は、今回のラリーでフルポイント(優勝得点20ポイント+レグ別得点3ポイント)を獲得すれば逆転チャンピオンの可能性がある石川昌平/大倉瞳組(GRヤリス)が、レグ1をトップで折り返す。レグ2に入ると、レグ1を2番手で折り返した小泉敏志/村山朋香組(GRヤリス)が猛追を見せたものの、3.5秒届かず終戦。石川/大倉瞳組が2連勝を飾った。
一方、ハイランドマスターズで1ポイントでも加算すればチャンピオンが確定する三枝選手は、クルーを組むコ・ドライバーの船木一祥選手が欠場せざるを得なくなり、木村選手が助っ人を務めた。
三枝選手が「今回はチャンピオンを獲得することが最大目標です」と語ったとおり、レグ1はしっかりとペースを守り4番手で折り返す。レグ2はSS8でベストを奪うものの、「木村さんから『荒れたステージで攻めすぎ! 最後まで走り切れなかったらどうする!?』と、ベストを奪って初めて叱られました」と、ドライバーの本性が出てしまうことも。
その反省から、その後は安定したペースを刻んだ三枝/木村組は3位でフィニッシュ。レグ別得点3ポイントを小泉/村山組が獲得したため、やむなく欠場となってしまった船木選手とともに、三枝選手がチャンピオンを確定させた。
TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cup
JN3クラス
JN3は、ウェットだったレグ1を快走したZC6型スバルBRZを駆る鈴木尚/島津雅彦組が、ZD8型BRZを操る上原淳/漆戸あゆみ組に4秒差をつけてトップで折り返す。
ほぼドライで争われたレグ2は、SS7で上原/漆戸組が鈴木/島津組に同タイムで並び、続くSS8でも両クルーとも同タイムをマークし、トップの座を譲らない。その後、SS9で鈴木/島津組が単独トップに立つが、SS11で上原/漆戸組が再逆転して首位に浮上。更に、猛烈な追い上げを見せた曽根崇仁/竹原静香組(GR86)も、鈴木/島津組を抜いて2番手に躍り出た。
トップの上原/漆戸組に対し、6.3秒差で最終SSを迎えた曽根/竹原組だったが、最終SSで両クルーとも譲らず同タイムでフィニッシュ。上原/選手組が、全日本ラリーでは2023シーズン第1戦「Rally of Tsumagoi」以来となる優勝を飾った。
曽根選手が「レギュラーで全日本を転戦するのは今年限り。来年からはスポット参戦の予定です。レギュラー参戦最後だから、勝ちたかったなぁ」と語った、曽根/竹原組が2位で有終の美を飾れず。旧型BRZながら存在感を充分に発揮した、鈴木/島津組が3位に入った。
JN4クラス
ランキングトップの高橋悟志/箕作裕子組とフルポイント獲得が逆転チャンピオン獲得の条件となる内藤学武/大高徹也組、スズキ・スイフトスポーツをドライブする両クルーによる一騎討ちの王座争いとなったJN4。
内藤/大高組以外が優勝かレグ別得点3ポイントを獲得すれば、高橋/箕作組のチャンピオンが確定するという状況の中、レグ1は内藤/大高組が2番手につけた高橋/箕作組に15.7秒差をつけるトップで折り返す。
レグ2に入ると、内藤/大高組が一気にスパート。高橋/箕作組との差を27.5秒に拡大し、トップの座を一度も譲ることなくフィニッシュ。レグ別得点3ポイントも加えたフルポイントを得て、獲得得点では高橋/箕作組と同点トップに並んだ。規定により有効得点の中で最大得点を獲得している内藤/大高組が、最終戦で逆転チャンピオンを確定させた。
2位には無念の高橋/箕作組、3位はラリー序盤から3番手の座を守り抜いた、鮫島大湖/船木佐知子組(スイフトスポーツ)が獲得した。
JN5クラス
前戦でチャンピオンを確定させた松倉拓郎/山田真記子組(トヨタ・ヤリス)が、ランキング2番手の大倉聡/豊田耕司組(GRヤリスRS)に18.7秒差をつけてレグ1を折り返したJN5。しかし、ドライとなったレグ2で大倉/豊田組が逆襲をかけた。
タイヤ選択を失敗した、と語った松倉/山田組に対し、大倉/豊田組は「ドライ用のタイヤがうまくマッチしてくれました」とのことで、レグ2全てのSSでベストを奪取。更に、最終SS12ではJN4のベストを上まわるスーパーベストをマークして松倉/山田組を逆転、今季2勝目を挙げた。
松倉/山田組は2位、3位にはRALLY HOKKAIDOでのリタイアで車両を失った吉原將大選手がコ・ドライバーの槻島もも選手とクルーを組み、借り物のヤリスで参戦。それでも3位に食い込む奮闘でリベンジを果たした。
JN6クラス
JN6は、すでにチャンピオンを確定させている天野智之/井上裕紀子組(MXPK11型トヨタ・アクアGRスポーツ)が、2日間全てのSSでベストを奪取する速さを見せて今季7勝目を飾った。
SSによっては天野/井上組に迫る好タイムをマークした清水和夫/山本磨美組(ヤリスCVT)が2位を獲得。3位には、全日本ラリー2戦目となる松原周勢/HARU組(NHP10型アクア)が、全日本ラリー初完走とともに表彰台の一角を掴む健闘を見せた。
フォト/CINQ、大野洋介、中島正義、山口貴利、JAFスポーツ編集部 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部