クラス統合された近畿ダートラS1で旧N王者の清水孝憲選手が貫録の開幕戦制覇!

レポート ダートトライアル

2025年4月9日

3月30日にJAF近畿ダートトライアル選手権の2025シーズン開幕戦となる第1戦が、香川県さぬき市の香川スポーツランドで開催された。今季は全5戦の日程が組まれた近畿地区戦。2024シーズンをもって京都コスモスパークが閉鎖となり、メインコースは三重県に建ついなべモータースポーツランドに移り、第2戦から最終第5戦まで開催される。開幕戦のみ香川スポーツランドが舞台となり、2025年JAF四国ダートトライアル選手権 第1戦と併催された。

2025年JAF近畿ダートトライアル選手権 第1戦
2025年JMRC近畿ダートトライアル チャンピオンシリーズ第1戦
2025年JMRC近畿ダートトライアル ジュニアシリーズ第1戦
2025ウサギとカメのホワイトダートラ

開催日:2025年3月30日
開催地:香川スポーツランド(香川県さぬき市)
主催:WHITE

 香川スポーツランド(香川SL)での開催について、「コスモスパークが閉鎖されるということで会場を探していたのですが当初はまだ、いなべの情報が無かったので、近畿圏からも比較的近い香川スポーツランドを検討し、(JMRC)四国の萩原(豪ダートトライアル)部会長に相談しました」と、JMRC近畿ダートトライアル部会の田岡一浩部会長。開幕戦の主催を担った大阪府のJAF加盟クラブ、ホワイトオートクラブ(WHITE)の代表だ。

 続けて2025年JAF四国ダートトライアル選手権 第1戦との併催については「ただ、近畿の単独開催となるとオフィシャルの人数や運営で心配な面も多いので、四国戦との併催を打診したところ、開幕戦主催の松山オートクラブの竹下(俊博)さんが引き受けてくださったので、無事に開幕戦を迎えることができました」と、田岡部会長は経緯を語った。

2025年JAF近畿ダートトライアル選手権の開幕第1戦を主催したWHITEの代表で、JMRC近畿ダートトライアル部会長も務める田岡一浩氏が今回の一戦を開催するまでの経緯を明かした。

 近畿地区戦初の香川県開催となった一戦には48選手がエントリー、今回の一戦が香川SL初走行というドライバーも多かったようだ。午前中に四国地区戦を開催し、近畿戦は午後からスタートというスケジュールが組まれたため、練習も兼ねて四国戦にエントリーしたドライバーもみられた。

 競技会当日は、ヒート1スタート時刻の正午になっても気温が10℃に満たず、3月下旬とは思えない真冬の寒さのなかでの競技となったが、香川SL特有の林道コースを攻め込む白熱のバトルが繰り広げられた。

開幕戦のレイアウトは、先に行われた2025年JAF四国ダートトライアル選手権 第1戦と同じ。シンプルながらも香川スポーツランドを隅々まで攻める設定で競った。
香川SLは2014 JMRC西日本ダートフェスティバルin四国の舞台になったが、今回の一戦では多くのドライバーが初走行。慣熟歩行を念入りに行っている姿が見られた。

2025年JAF近畿ダートトライアル選手権 第1戦

AE・PNクラス

 排気量区分なしで全てのAE車両及び、排気量1600cc以下で2WDのPN車両で争われるAE・PNクラス。今季からZC33S型スズキ・スイフトスポーツがS1クラスに移行され、主力車種がZC32S型スイフトやマツダ・デミオになると思われた。

 ヒート1でトップタイムをマークしたのは、四国戦にも参戦したデミオ勢の近藤大介選手だった。タイムは1分33秒437と、2番手以下を大きく引き離した。近藤選手は第2ヒートでトップタイムを更に0.435秒更新し、2位以下に3秒以上もの差をつけて優勝を掴んだ。

「やはり、午前中の四国戦でコースに慣れたことが大きいですね。ある程度コースの感触は掴めたので、ミスをしないよう心掛けて走りました。路面の変化にもそれなりに対応できたと思います」と、振り返った近藤選手。昨季、JMRC近畿ダートトライアル ジュニアシリーズのJPN+クラスでランキング3位を獲得し、ステップアップしてきた若手。地区戦初戦で幸先の良いスタートを切った。

PN・AEクラスは近藤大介選手(OUAC☆ADVANデミオ)がマツダ・デミオを駆って優勝した。
PN・AEの2位を平原祐一郎選手(BオクヤマGコルサMTスイフト、左)、3位を島田正樹選手(eX・S+・モチュールスイフト、右)とZC32S型スズキ・スイフトスポーツをシェアしたふたりが獲得した。
PN・AEは左から2位の平原選手と優勝した近藤選手、3位の島田選手が表彰台に登壇した。

RWDクラス

 排気量区分なし、後輪駆動のPN・N・SA・SAX・SC・B車両が競うRWDクラスには、JAF全日本ダートトライアル選手権のSA・SAX2クラスに挑む三浦陸選手が参戦。三菱・ランサーエボリューションIXからトヨタ86に乗り換えても2ヒートともに圧倒的な速さを見せ、2位以下に6秒近い大差をつける圧巻の優勝を果たした。

「トレーニング車両ということで、去年の10月にリア駆動車を買いました。まだまだ乗りこなしているという状態ではないのですが、四駆と違って繊細なアクセルワークが求められるので腰のセンサーが鍛えられてきたかな、っていう感じです(笑)」と語る三浦選手の今季は地区戰でもチャンピオンを目指す。

トップ3をトヨタ86勢が占めたRWDクラスは三浦陸選手(レプソルFUAC86)が優勝を果たした。
RWDの2位は中原優介選手(DL杉尾ガレージ86、左)、3位は宇野研三選手(TEAMびわこ86、右)が獲得した。
RWDクラスは上位3選手が表彰台に上がった。左から2位の中原選手と優勝した三浦選手、3位の宇野選手。

S1クラス

 S1クラスは今季から排気量区分なし、2WDのPN・N・SA・SAX・SC車両及び1600cc以下で4WDのN・SA・SAX・SC車両が対象となる。旧Nクラスが統合され、ダイハツ・ストーリアX4やブーンX4も同一クラスとなった。

 新クラスとなった初戦のヒート1でトップタイムをマークしたのは、「近畿地区戦では二駆最速を目指します!」と意気込む地元・四国の谷芳紀選手。谷選手は2位を獲得した四国戦に引き続き近畿戦にも挑み、ホームコースで近畿勢を迎え撃つ。

 そしてヒート2では、クラス2番目出走の谷選手はタイムダウンに終わるも、ヒート1での1分30秒335がトップタイムのまま進む。このまま谷選手が逃げ切れると思われたが、それを阻止したのが昨年のN王者、ブーンX4を駆る清水孝憲選手。谷選手を0.303秒上回り、逆転優勝を収めた。

 王者の貫禄を見せた清水選手は、「ここ(香川SL)は10年前に西フェスで一度走ったことがあります。その時の成績が悪くなかったのと、アップダウンもあるし路面も柔らかいので、ブーンでも勝ち目があるかなと思ってました。ただ、今年はFFとの戦いで厳しいシーズンになりそうです」と、勝因と今季の展望を語った。

 一方、谷選手は「ブーンは四駆なので(笑)、目標の二駆最速は達成しました!」と、四国戦に続き再び2位となってしまったが、笑顔でコメントを残した。

ダイハツ・ブーンX4を駆る清水孝憲選手(DLダイハツ技術研究会ブーン)がS1クラスを制した。
三菱・ミラージュアスティを操る谷芳紀選手(CMSCホワイツアスティRX)がS1の2位を獲得(左)。ホンダ・インテグラをドライブする瀧岡琉選手(OUAC☆FUAC☆インテグラ)が3位に入った(右)。
S1は左から4位の眞砂徳亮選手(ファイナリストM5スイフトDL)、2位の谷選手、優勝した清水選手、3位の瀧岡選手、5位の執行翔太選手(SWK田中自ラブカDLスイフト)、6位の田中淳平選手(ADVANレイルスイフト)が表彰を受けた。

S2クラス

 排気量区分なし、4WDのN・SA・SAX・SC車両で争われるS2クラスはヒート1、上土井康朗選手が1分26秒571をマーク。1分30秒台の2番手以下に大きく差をつけてトップで折り返す。

 ヒート2に入ると辰巳浩一郎選手、石田祐輝選手がベストタイムを大幅に更新してくるが1分27秒台止まり。ウィニングランとなった上土井選手はトップタイムを更に0.229秒更新し、危なげなくS2クラスを制した。

「香川スポーツランドは初走行なので、午前中に四国戦のオープンクラスで練習しました。ウワサどおり凄いコースでした」と、上土井選手は午前中の四国戦参戦を勝因に挙げた。

 続けて「ワダチ走行は慣れてないので、コース前半区間だけ頑張って、ワダチが深い後半区間はトロトロと無理せず走った感じですね。今日だけで4本走りましたが、回数を重ねる毎に難しくなりました。ワダチがなかった四国戦の1本目が一番走りやすかったです(笑)」と、上土井選手は初コース攻略まではいかなかった様子だが、開幕戦優勝でシーズンスタートとなった。

S2クラスはGRヤリスを駆る上土井康朗選手(YHヤリスptt)が優勝を飾った。
S2の2位は石田祐輝選手(ダンロップインプレッサ)が獲得(左)。辰巳浩一郎選手(DLブーボー技研GRヤリス)が3位に入った(右)。
S2は左から2位の石田選手と優勝した上土井選手、3位の辰巳選手が表彰台に上がった。

Dクラス

 排気量区分なし、全駆動方式のD車両がひしめくDクラス。開幕戦は4台による戦いとなったが、ヒート1でトップタイムを刻んだのが小川浩幸選手。2番手に山平実選手、3番手に絹川雅之選手と続いたが、ヒート2では上位3選手が揃ってタイムダウン。4番手の山口幸男選手がクラス唯一のタイムアップを果たすも順位の変動はなく、小川選手が逃げ切った。

「香川スポーツランドは西フェス以来ですね、印象はよく覚えてますよ。今日はその時よりも悪路だったかな。今回はポイントを獲るということで、1本目は慎重に行って、2本目はもう少しタイムを出そうと思ったら、奥で刺さりました(笑)」と、優勝した小川選手は振り返った。

 小川選手は昨季、ダブルヘッダーで行われた最終二連戦は積載車のトラブルでコスモスまで辿り着けず、2戦分のポイントを逃して悔しい思いをした。今季は開幕戦優勝で好スタートを切った。

Dクラスの優勝はランエボIXを駆る小川浩幸選手(小川自動車ガルフYHランサー)が果たした。
DでランエボIIIを操る山平実選手(ダッシュ大阪エーテックランサー)が2位に入った(左)。絹川雅之選手(レそルテワコーズ駆ランサー)がランエボIXをドライブして3位を獲得した(右)。
Dの表彰台には左から2位の山平選手、優勝した小川選手、3位の絹川選手が立った。

2025年JMRC近畿ダートトライアル ミドルシリーズ

JPN+クラス

 JPN+クラスは全てのAE車両及び1586cc以下で2WDあるいは2000cc以下で後輪駆動のPN・N・SA・SAX・SC・B車両、または1200cc以下で4WDのN・SA・SAX・SC・B車両が対象と、様々な車種で参戦できる。

 ヒート1では昨季ランキング2位の加藤輝選手がトップタイムをマークする。2番手には藤原尚哉選手が約1.1秒差で続いたが、ヒート2で加藤選手は一気に4秒以上のタイムアップを果たし、2位以下を突き放して優勝を果たした。

 加藤選手は「香川スポーツランドは初走行に加えて、オーバーホールした足回りのシェイクダウンということで、1本目は安全マージンをとりました。2本目はメリハリをつけてブレーキを余らせることなく、攻めた走りができたと思います」と、自身も納得の好走でスタートダッシュを決めた。

ZC32S型スイフトをドライブする加藤輝選手(杉尾ガレージ・加藤スイフト)がJPN+クラスで優勝した。
JPN+の表彰台には左から、2位の藤原尚哉選手(DL田中自動車ルブロスFIT)と優勝した加藤選手が登壇した。

J1クラス

 J1クラスは1587ccを超える2WDのPN・N・SA・SAX・SC・B車両、あるいは1200~1600ccで4WDのN・SA・SAX・SC・B車両が争う。ヒート1は昨季ランキング4位の香林祥隆選手が、1分39秒台のトップタイムで折り返す。ヒート2では、2番手につけていた田中泰弘選手が1分37秒台を刻みトップが入れ替わるも、香林選手は1分36秒台にタイムを更新しトップ奪回で優勝を決めた。

 香林選手は「香川スポーツランドは10年以上前に1回走ったことがありますが、ほとんど覚えてないですね(笑)。今回の1本目は、クルマが固くて跳ねる感じだったので、2本目はセッティングを変えて少しマシになりました。ここは面白いコースなので、また来たいですね」と、香川SLに好印象も持ったようだ。

J1クラスの優勝はZC33S型スイフトを駆る香林祥隆選手(スイフトスポーツ)が獲得した。

J2クラス

 1600ccを超える4WDのN・SA・SAX・SC・B車両が競うJ2クラスは、昨季ランキング3位の田中均選手が1分37秒878のトップタイムをマーク。しかし、ヒート2に入ると2番手につけていた前川徹選手が1分37秒303を刻み、トップタイムを更新。田中均選手はタイムダウンを喫してしまい、前川選手が逆転優勝を果たした。

 前川選手は「香川スポーツランドは初めての走行です。ガレているのでクルマが外に跳び出しそうで怖かったですね(笑)。直線だけはきっちり踏んで、あとはきっちり減速して曲がれたので満足です」と、走りを振り返った。前川選手は学生以来、近年30年振りのモータースポーツ復帰を果たしたそうで、昨季はランキング5位。チャンピオン確定に向けて好スタートを切った。

J2クラスは前川徹選手(関西医大ランサーエボ9)がランエボIXを操って優勝した。
J2の表彰台には左から、2位の田中均選手(ティーエムランサー)と前川選手が上がった。

フォト/遠藤樹弥、友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部

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